FIPとは

2022年度のFIT発表! 固定価格買取制度の最新情報をこちらの記事で解説しています。

2022年度 太陽光発電FIT価格まとめ[住宅用/低圧/高圧/特別高圧]

太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)を見直そうという議論が進行中だ。再生可能エネルギー産業を推進する次の策としては、FIP(フィップ)制度が候補に挙げられている。

これから太陽光発電を検討するならFIP制度について知っておいたほうが良いだろう。今後の展開によっては、太陽光発電投資の収益を左右する重大なトピックの1つとなるからだ。

この記事では、FIP制度の種類について、FIP制度とFIT制度の違い、欧州におけるFIP制度の実施事例などについて紹介する。

FIP制度には3つの種類がある

3つの種類

FIP制度は、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電事業者が市場価格で売電する時、プレミアム(割増金)として補助金が上乗せされる方式だ。

FIP制度には「プレミアム固定型FIP」「プレミアム固定型FIP(上限・下限付)」「プレミアム変動型FIP」の3種類がある。この段落では、この3種類についてくわしく解説する。

「プレミアム固定型FIP」は一定の金額を上乗せする

プレミアム固定型FIP制度においては、電気の市場価格が上下することとは関係なく、常に定額のプレミアムが賦課されることが特徴である。そのため、市場売買に最も近いタイプといえる。

このタイプは再生エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が定額以上にはならないため、消費者にとっては電気代の負担が軽くなるというメリットがある。

しかし、発電事業者にとっては、売上の予測を立てにくくなり、安定した収益を得るのが難しいともいえるのだ。なぜなら、卸電力価格(市場売電価格)の変動によって利益も大きく左右されてしまうからである。

「プレミアム固定型FIP(上限・下限付)」は市場価格と上乗せ額の合計に下限・上限を定める

市場価格

プレミアム固定型FIP(上限・下限付)は、卸電力価格とプレミアムを合計した価格に上限と下限を設定する点が特徴である。

卸電力価格が上限と下限の範囲内にある場合は定額のプレミアム分が上乗せされ、上限値を超える場合はプレミアム分が上限でカットされる。また、卸電力価格とプレミアム価格の合計が下限を下回った場合は、下限の価格までプレミアム分が加算される。

つまり、消費者にとっては電気代が常に下限から上限の間にあるため、予想以上に高額な電気代を請求される心配がなくなる点がメリットだ。発電事業者にとっても、卸電力価格の変動が事業の収益性に及ぼす悪影響を多少は減らすことができる。とはいえ、適正な上限値・下限値の設定が難しいというデメリットもある。

「プレミアム変動型FIP」は市場価格と上乗せ金額の和を一定に維持する

プレミアム変動型FIPは、卸売電価格の変動に応じて上乗せする金額が調整され、市場価格とプレミアム金額の合計額を一定に維持することが特徴である。

つまり、卸電力価格の上下に対応して賦課されるプレミアム金額が変動することになる。

発電事業者にとって、プレミアム変動型FIPは卸電力価格が変動しても収益性への影響が少ないというメリットがある。設定金額にもよるが、前述した2つのFIP制度と比較すると最も売り上げ予測を立てやすいともいえるだろう。

しかし、卸電力価格が低下した場合は賦課金で補うことになる。それにより国庫負担が増大すれば、再び別の制度に移行されてしまう可能性もあるだろう。よって、プレミアム変動型FIPは制度の長期的安定性という面で不確実といえるかもしれない。

FIP制度とFIT制度(固定価格買取制度)の違いを比較

比較

FIP制度が導入された場合にはFIT制度からどのように変化するのだろうか。それぞれの制度の特徴をまとめたものが下の表である。

【FIP制度】 【FIT制度】
制度の目的 再生可能エネルギー発電への補助金の削減・市場競争の促進・電力需要に合わせた再エネ開発 再生可能エネルギーの普及を促進し再生可能エネルギー設備の設置コストを下げる
制度の特徴 発電した電気を市場で自由に売電してプレミアム×売電量の収入を上乗せする (市場での売電収入を超えるプレムアムを受け取ることで投資インセンティブが確保される) FIT価格(固定価格)で必ず買い取られるため、 将来の配電収入の予見ができることにより投資インセンティブを確保している
売電価格 市場価格を基本としプレミアム分を上乗せする 固定された売電価格
売電期間 未定 10kW未満:10年 10kW以上:20年
電力の買取り義務 未定 送配電事業者
電力の販売先 未定 電力会社
制度の開始時期 未定 2012年7月

※FIPには3つの種類があるが制度設計次第で内容が変わるため、どの程度変わっていくのかについては2019年11月現在、明確には分からない。

このように、FIP制度とFIT制度はいずれの特徴においても大きな違いがあるといえる。しかし、上述したようにFIP制度には大きく分けて3つのタイプがあり、制度の設計次第で内容もかなり異なるのだ。

つまり、FIP制度に移行しても、太陽光発電投資の収益効果がどの程度変化していくのかについては、2019年11月現在は、まだ明確には分からないというのが実情である。

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欧州のFIP事例〈ドイツ〉

この段落ではFIP制度を導入した実績がある欧州の発電事業者の実例を紹介し、FIP制度の意義について解説していくことにしよう。

市場競争力の成長を目的とするドイツ

ドイツは世界で最も早期にFIT制度を導入したが、2017年にFIT制度からFIP制度へと移行している。

ドイツではFIT制度導入後に太陽光発電パネルの価格が大幅に下落したことにより、家庭向けの小売り電力よりも再生可能エネルギーの発電コストが低くなった。

その状況下で電力会社が高額で電力を購入するといった過剰な保護が続いた結果、再生可能エネルギー発電業者の市場競争力が健全に成長しないという弊害が出てきたのだ。

そのような背景から、ドイツはFIP制度を導入することになった。需要と供給に基づく市場の動きによって販売価格が調整されるため、再生可能エネルギー事業者が過剰に電力を供給することがなくなったのだ。

一方、電力の供給量が不足している時には電気を高く売ることもできるため、再生可能エネルギー事業者が利益を得ることも可能である。

FIP制度における再生可能エネルギー事業においては、需要と供給のバランスを見極めることが売り上げを伸ばすためのポイントといえるだろう。

また、FIP制度では需要と供給バランスによって変動する市場価格をベースにするため、FIT制度よりも補助金を削減できる可能性がある。くわえて、電力市場での競争促進も期待されている。

太陽光投資をめぐる最新ニュースを要チェック

チェック

日本でFIP制度が採用されるかどうかについては、2019年11月16日現在未定だ。

FIP制度が採用されるとしたら、次に注目するべき点はプレミアムがどう付与されるかである。FIP制度の実質的な内容は制度設計によって大きく変わるため、あらかじめ、さまざまなパターンにおける内容を十分に理解しておく必要があるだろう。

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