この度、土地付き太陽光・風力発電物件サイト「タイナビ発電所」などエネルギー業界のWebプラットフォーム「タイナビシリーズ」を運営する株式会社グッドフェローズの代表取締役 長尾(以下、長尾)の対談相手に、産業用太陽光発電所モジュールの開発販売・施工及びオペレーション&メンテナンス(以下、O&M)のプロフェッショナルカンパニーである株式会社CO2O・代表取締役 酒井正行 様(以下、酒井)をお迎えし、今後の太陽光業界の展望について語っていただきました。

本インタビューでは、太陽光発電業界の健全化を目指す二社が、現在の太陽光業界のO&Mをどう分析しているのか、それを踏まえた評価ガイドの活用法について、さらには両社の今後の展望ついてもお話いただきました。

CO2O社の実績と策定委員会への参加の経緯

長尾:本日は対談の機会をいただきありがとうございます。CO2O社はこれまでの太陽光発電のO&Mの実績を認められ、6月にJPEAが機関幹事として公開した「太陽光発電事業の評価ガイド」の策定委員会に参加されています。これまでのCO2O社の実績や策定委員会への参加の経緯についてお聞かせいただけますか?

酒井: 当社はO&M会社として、これまでにおよそ1.6GWの発電所の評価診断業務やコンストラクションマネジメント業務を行ってまいりました。これはおそらく国内でも最大規模の実績になります。元々当社のビジネスのスタートは、日本で既に2GWぐらい出荷されている中国最大手のモジュールメーカーとアフターサポートのパートナーシップを結び、発電所の診断を行ってきたことでした。

そういった評価診断の実績が認められ、一年以上前に経済産業省資源エネルギー庁から、「事業評価のガイドを作りたい」とのご相談いただき、策定委員会のボードメンバーに任命されました。特に我々がこれから重要になっていくと考えている土木・構造のワーキンググループ主査と、土地の権原・電気設備に関してはサブリーダーとして、中心的な役割を任せていただきました。

現状、トータルで事業評価のできるエンジニアは、まだ少ないこともあり、今回は一般の方でもわかりやすく評価できるようにしたいというのが、資源エネルギー庁からのオーダーでした。その点を踏まえ、可能な限り分かりやすいものを作ったつもりなので、是非ご覧のうえ、活用いただきたいと思っています。

また、環境省等からも「発電所の解体やモジュールの適正処理の仕組みについて」などの相談を受けています。

そして、発電所の評価診断やセカンダリーのマーケットもこれから大きくなっていくことを踏まえ、日本資産評価士協会や、日本不動産鑑定士協会連合会と一緒に、国際会計基準に基づいた発電所の評価価値を診断する研究会等を発足しています。また、日本アセットマネジメント協会においては、太陽光発電所のアセットマネジメントの在り方について取りまとめを行うべく検討を始めています。今後ますます発電所の適切な評価診断ならびにそのアセットマネジメントをどう進めていくかには、注力していきたいですね。

アセットマネジメントの視点から考える新しいO&Mの形

長尾:すごいですよね。評価ガイドの策定委員会のメンバーに選ばれるって、相当だと思うんですよ。どういった経緯で各省庁からそれほどまでに信頼されるようになったんですか?

酒井:我々の一番の特徴は発電所を一つの設備=ファシリティとして捉えているところです。一般的に発電所は、電気に強い企業が見るケースが多いと思いますが、我々の場合は電気設備だけではなく、造成や排水計画といった土木面、基礎・架台の構造の問題、発電環境の整備面までを包括的に検証し、ハード部分の評価診断や、運営に至る総ての領域において実務を遂行してきたのが他社との非常に大きな違いだと思っています。

残念なことに、今の発電所のO&Mのやり方は単なるアセットケアの域を出ていないと言えます。例えば事業計画上、「草刈りを年2回しましょう」「パネルの洗浄は、このタイミングでしましょう」「パワコンはこの年に交換しましょう」など、定型業務に終始するケースが多いのですが、我々は、これらに留まらない考えを持っています。

当社は、個々の発電所はすべて性質の異なるファシリティと捉えているので、メンテナンスのやり方、オペレーションのやり方は画一的にならないことを前提にしています。そういう意味では投資家や発電事業者の視点を踏まえて、「発電所のパフォーマンスを最大に上げるために、どういった方法が最適なのか?」「運用コストの最適化をはかるためには如何にすべきか?」を我々の経験値からご提案させていただき、付加価値をどんどん向上できるようなO&Mを心がけてきました。

アセットマネジメントの考え方を踏襲してO&Mをされている会社は国内ではまだまだ数少ないのが実態ですので、我々はそこをビジネスチャンスとして捉え、大きく伸ばしていきたいと思っています。

トラブルを未然に防ぐ「予防保全」の重要性

株式会社グッドフェローズ
代表取締役 長尾泰広
長尾:我々グッドフェローズも、2015年よりO&M事業に参入しています。O&M事業は、今後間違いなく世の中に必要とされるサービスだと感じたからです。 その理由には二つあり、まず一つは、太陽光発電は単なる投資商品ではなく、国の重要電源インフラだと思っているからです。我々がO&M事業をスタートした2015年は、低圧発電事業者を中心に、まだまだ『太陽光発電所運営はメンテナンスフリー』という風潮がありました。当時、当社が行ったアンケート調査では、回答者の40%がメンテナンス契約をしていないと回答していたんです。そこに対する問題意識は非常に大きかったですね。「20年もほったらかしで良いわけがない」と。

もう一つは、CO2O社もよくおっしゃっている「予防保全」という考え方をメディアの責任として周知していく必要があると思ったからです。一般的に太陽光発電O&Mというのは、何かトラブルが起こってから対応する「事後保全」という考え方が一般的だと思うのですが、実のところ最も重要なのは、トラブルを未然に防ぐための「予防保全」なんですよね。そのため、当社のメンテナンスサービス「はつでん管理人」のメニューには、事後保全としてのメンテナンスだけではなく、「予防保全」としての引渡し前検査サービスも展開しています。

酒井:O&Mというのはリスクマネジメントだと思っています。つまり、リスクをどう評価するのか。リスクをどう捉えるかが重要だと思うんですよね。我々は「予防保全」の考え方も採用していますが、リスクを如何にコントロールして行くのかを主軸に据えた「リスクベースメンテナンス」のアプローチをしています。

O&Mで対処できるリスクとできないリスクを見極める

酒井:太陽光マーケットはバブル的に大きくなりましたよね。そうした中でこれまで数々の発電所の評価診断を進めてきましたが、根本的な問題を抱えている発電所が存在することが分かってきています。それらをO&Mだけで対処しようとしても対症療法にしかなりません。根本からリスクを見直さないと、発電所ビジネスは健全なマーケットとして成長できないと強く感じています。

例えば、造成計画がデタラメ、架台に脆弱性があるなど、20年間の稼働に耐えうる設備ではないものも数多く存在します。排水計画に不備があって雨裂(うれつ)や洗掘(せんくつ)が出ていたり、杭が浮き上がって不具合が起きたり、調整池の浚渫計画と実際の土砂の流入に大きな誤差が生じていたり、地盤の問題で架台がずれてモジュールが変形していたり。

長尾:そういったものは、施工業者(以下、EPC)と話をして根本から作り直しを考えないといけない部分ですよね。

酒井:その通りです。O&Mでコントロールできるリスクとできないリスクをきちんと見極めて、コントロールできないものをどのように改善していくのかを考えることが非常に大事だと思います。

我々はO&M会社ですが、現在は発電所の設計段階から入り、コンストラクションマネジメント(施工管理)の仕事もしています。また、開発段階からは、アドバイザリーとしてのコンサルティングの仕事を通じて、実際に大きな特高発電所の設計にも携わっています。

長尾:人間の体と同じですよね。日々食事に気を付けたり、健康管理をしていたりしても、根本的な病巣があったときは、それを取り除かないといけない。

酒井:おっしゃる通りですね。風邪をひいているのに赤チンを塗っても仕方ないですから(笑)。人間ドッグじゃないけれど、きちんと診断を行って、どこに原因があるのか、どんな問題があるのかというのを正しく評価し、適切な治療を行っていくことが必要だと思います。

「評価ガイド」に則った施工診断でリスクを未然に防ぐ

長尾:評価ガイドは太陽光発電事業の入口と出口の両方において、とても大きな役割を果たすことでしょう。繰り返しになりますが、予防保全に対する意識は、すべての発電事業者が高くお持ちとは言いがたいのが現状ですが、それは仕方がない部分もあります。発電事業者はプロであるEPCがしっかりやってくれると信頼して依頼しているからです。ただ、現実にはそうではないEPCも存在しています。その問題を解決するのが、評価ガイドです。つまり、事業を開始する入口となる完工・引渡し前検査の際、我々やCO2O社のようなO&M会社に依頼して、評価ガイドに則った設計・施工のチェックをしてもらう。これができれば、リスクの大半は未然に防げると思っています。

次に出口ですが、今後セカンダリーマーケットが盛り上がるにつれ、買い手側に発電所をデューデリジェンスしてほしいといったニーズが高まると思っています。やはりここでも、評価ガイドは一つの指標になると思います。新設・既設問わず、投資の判断軸となる評価ガイドはとても重要です。

私はリスクの判断基準が必要であるという経産省やCO2O社の考え方にとても共感しました。そして当社も何かできないかと、タイナビ発電所でもWeb上で人間ドッグのようにABCD判定をできる「Webリスク診断評価機能」をリリースしています。これもCO2O社に相談しながら作らせていただきました。D判定が出てご不安になった方が訪問診断を依頼できる仕組みも作りました。グッドフェローズも、この社会的な問題に真摯に取り組んでいきたいと考えています。

太陽光発電所を格付けし健全なマーケットを育てる

長尾:酒井社長は、評価ガイドの活用の可能性をどのようにお考えですか?

株式会社CO2O
代表取締役 酒井正行 氏
酒井:評価ガイドの活用に関しては、①設計や施工の計画時、②竣工時、③実際の運用・保守点検時、そして④売却もしくは中古購入時の4つのステージがあると思っています。 そして活用される方は、発電事業者はもちろんのこと、融資する側である金融機関や保険会社、実際に発電所を作られるEPCがご参考にされるケースもあるでしょうし、さまざまなステークホルダーの活用の仕方があると思います。

長尾:CO2O社は金融機関、保険会社、EPCからの信頼も厚いですよね。それは他社にはない強みですし、御社の技術力の高さの裏付けでもあるとも言えるでしょうから、本当に尊敬しています。

酒井:ありがとうございます。金融機関とも話をしていますが、投資をするにあたって、不動産や証券、株式などは審査をする格付け会社のようなものがあるじゃないですか。そういうものが太陽光にはないんです。そこで、我々が発電所を格付け・ランク付けする機能を持てないかと考えています。それによって投資家への情報公開を進めて、マーケット自体を安定したものにしていきたいなと。よくわからない会社にお金を預けるというのは非常にリスクが高いことですが、そこに透明性を持たせられれば、より健全なマーケットを育てることができる。我々はその役割を担っていきたいと考えています。

メディアとテクノロジーの視点から見る再エネビジネスの可能性

長尾:それぞれのやり方で再エネ市場を支えてきた会社同士ですが、私は2社が協力をすれば面白いことができると考えています。酒井社長は今後の可能性についてどう思われますか?

酒井:グッドフェローズ社は、「タイナビ」という国内でもトップクラスのメディアを運営されていて、お客様と直接コミュニケーションができる強みをお持ちです。一方、我々はどちらかというとテクノロジーカンパニーで、「発電所をどのように建設すれば20年間で最大の価値を見出せるか」というソリューションを提供しています。両社それぞれの特色を組み合わせたらいろいろな面白いビジネスができるんじゃないかと思います。我々は開発も行っていますので、発電所をつくって、投資家を募って、販売もする、さらには、管理も担うというビジネスモデルも、将来的には十分検討できると思います。いろんな可能性を感じています。クリーンテック(※1)のインキュベーションオフィス(※2)や、将来に向けて新しい再エネのビジネスを進めているベンチャー企業を一緒に支援するといったチャレンジもしていきたいですね。

※1:クリーンテック(CleanTech)…化石燃料などの再生不能資源をまったく消費しないか、またはその消費量を減らして、従来と変わらない効用を生み出すことのできる製品やその技術のこと。

※2:インキュベーションオフィス(Incubation Office)…起業や創業をするために活動する人々を支援する賃貸オフィスのこと。

長尾:ちょっと大きな話ですが、世界に目を向けると、脱炭素が進んでいますよね。21世紀の最大のテクノロジーとして、再生可能エネルギーが導入されている現実もあります。例えば「RE100(※3)」に加盟するグーグル社が2016年12月に「事業で使う電力を100%再エネにします」と掲げ、1年後の2017年12月に見事達成しました。今後そういった企業が増えるにつれ、そこと取引をしたい企業は、自らも再エネを使わないと取引が出来なくなってしまうでしょう。個人情報でいう、「Pマークを取得していないと取引できない」というのと同じことが電力業界に限らず、ビジネスのスタンダードになっていきます。そうなると、国内企業もグローバル化の波を無視できなくなり、再エネの重要度は国内でもますます高まることが考えられます。ただその一方で、今までの話にも出てきたとおり、設計施工の問題やO&M、20年後どうするのかという問題も残っています。

そうした目まぐるしい環境の中、当社は「IT×リアルでエネルギーをつくる・えらぶ・まもる」というミッションを軸にこのエネルギープラットフォームを最大化し、太陽光発電という重要な電力インフラを、安全・安心に流通できる仕組みを作っていきたいと考えています。

この構想のもと、エネルギーのITプラットフォームとテクノロジーカンパニーが組めば高いシナジー効果を発揮できると思っています。当社とCO2O社は、特に相性が良いと思っていますので、エネルギー業界の発展に向け、今後何かご一緒できることがあるとうれしいですね。

※3:RE100…「Renewable Energy 100%」の略。事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟する国際イニシアチブのこと。

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