太陽光発電や風力発電の発電効率

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取ることを国が義務付けたものです。再エネ投資は、投資家や企業が再エネ発電所を運営し、FIT制度で電気を売って(売電して)利益を狙うものです。

売電収入を増やすには、再エネ発電所での発電量を増やすことが重要です。それならば、再エネの中でも発電効率が良いエネルギーに投資すれば、売電収入を多く得られるとお考えになるかもしれません。しかし、発電効率が良いエネルギーだから投資に有利とは限りません。

ここでは、FIT制度の対象となるエネルギーの発電効率などを解説いたします。

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再生可能エネルギーの発電効率を見てみよう

まずは、自然エネルギーが電気エネルギーに変わるときの発電効率(変換効率)を見ていきましょう。

なお、発電効率(変換効率)とは、発電に用いられたエネルギーが電気に変換される割合のことです。太陽光発電なら、太陽電池(太陽光パネル)に当たった光エネルギーが電気に変換される割合です。

太陽光発電最大20%
(発電に使う太陽電池の素材により変換効率が異なります。)
風力発電30%〜40%
水力発電最大80%
バイオマス発電20%〜31%
(ガスエンジン4〜25kWの場合)
地熱8%
データ出典:NEDO,新エネルギー大辞典

比べてみると、発電効率が最も高いのは、水力発電の最大80%ということがわかります。次に、風力発電、バイオマス発電、太陽光発電と続きます。もし、発電効率が良いエネルギーが投資に有利というならば、投資目的に多くの人が水力発電を始めようとするはずです。

投資先に選ばれるエネルギーに発電効率との相関性は見られない

ここで、資源エネルギー庁が発表した、FIT制度が始まってから実際に導入された発電設備の容量(発電所が出力できるエネルギー)について見てみましょう。

電源種別(太陽光・風力)のコスト動向等について (資源エネルギー庁) のデータより作成

上記の表を見ると、太陽光発電の導入量が圧倒的に増えていることが分かります。逆に、中小水力発電と地熱発電はほとんど増えていません。水力発電・地熱発電は、投資家が始めるにはハードルが高すぎるのです。

ここで、各発電エネルギーごとの建設費用と燃料費を見てみましょう。

太陽光木質
バイオマス
風力小水力地熱
建設費用
(kWあたり)※1
29.5万円41万円47万円132万円213万円
燃料費
(kWhあたり)
0円20.7円0円0円0円
FIT価格
(kWhあたり)
2017年12月時点
21円24円 ※255円29円 ※440円 ※3
発電効率最大20%最大31%最大40%最大80%8%
※1 データ出典:調達価格算定委員会(資源エネルギー庁)
※2 発電容量が20,000kW未満の場合
※3 新規設備で15,000kW未満の場合
※4 新規設備で200kW以上1,000kW未満の場合

再エネ投資で重要なのは、建設時や燃料費などにかかるコストを回収しながら利益を得ることです。投資先を選ぶときには、売電収益に大きく関わるFIT価格と想定される発電量、投資費用のバランスを慎重に検討することとなります。

その中で、導入量が伸び悩むエネルギーがそれぞれ抱えるハードルがあるのです。

発電効率が最高な水力が投資に向かない理由「用地の調達が難しい」

水力発電は、FIT制度が始まるより前に最も導入量が多いエネルギーでした。ただし、FIT制度が始まってからの導入量は伸び悩んでいます。平成24年7月〜平成28年6月末までの導入量は19万kWにとどまっています。

これは、水力発電に求められる立地(多くの水量・大きい落差)の確保、そして水利権に関する諸々の手続きなど、条件が厳しく手間が多いのが最大の要因です。水力発電は、一般的な投資家や中小企業が手を出すには、ハードルが高い投資先と言えるでしょう。

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地熱は発電効率が低いうえに用地調達がネック

地熱発電も、FIT制度の対象でありながら導入量が増えていないエネルギーの1つです。その理由は、地熱発電に適した地区が自然公園や温泉が沸く地域と重なること。自然公園法や環境への影響調査などのクリア、そして地元関係者との調整が難しいためです。

極めつけとなるのは、水力発電・地熱発電の建設コストです。

小水力地熱液体
バイオマス
太陽光木質
バイオマス
風力
建設費用
(kWあたり)
132万円123万円21万円29.5万円41万円47万円
データ出典:「調達価格算定委員会(資源エネルギー庁)」

建設コストが高いとされる風力発電は41万円/kW。太陽光発電が29.5万円/kWです。これらと比較すると、小水力発電や地熱発電のイニシャルコストがいかに高額かが分かります。

用地の調達と、建設コスト。2つの課題を抱える水力発電と地熱発電は、個人や中小企業の投資先として選ぶのは厳しいといえるでしょう。どうしてもの場合があれば、水力・地熱発電所を自前で持つのではなく、ファンド※ を探すのがおすすめです。
※ ファンドとは、発電所を複数人で出資して運営し、分配金を得る投資方法です。分配金は、出資比率や配当率で変わります。

ファンドの募集は不定期です。インターネットで募集情報を探せますので、「(希望する再エネ) ファンド 募集」などのキーワードで検索してください。

バイオマス発電は効率が高め! ただし燃料調達と建設コストがネック

バイオマス発電とは、生物から作り出される有機性のエネルギー資源を用いる発電方法です。木材や食品廃棄物を燃やし、蒸気でタービンを回して発電します。パーム油などの液体燃料の場合、ディーゼルエンジンで発電します。

いずれも固定価格買取制度(FIT制度)の対象ですが、燃料にするものによって電気の買取価格(売電価格)が異なります。2017年度から2020年までの売電価格は、1kWあたり13円〜40円。2017年時点では、輸入パーム油が燃料費も建設コストも安く、注目されています。

液体
バイオマス
木質
バイオマス
太陽光風力地熱小水力
建設費用
(kWあたり)※1
21万円41万円29.5万円47万円213万円132万円
燃料費
(kWhあたり)※2
20.6円20.7円0円0円0円0円
※1 データ出典:液体バイオ燃料「バイオマス発電事業(パーム油発電)の現状と課題について(バイオマス発電協会)」、木質バイオマス「調達価格算定委員会(資源エネルギー庁)」
※2 データ出典:液体バイオ燃料「バイオマス発電事業(パーム油発電)の現状と課題について(バイオマス発電協会)」

ただし、輸入燃料を扱う場合は調達ルートの確保や、原産国企業とのやりとり(燃料供給証明の入手など)が大きな障壁になるでしょう。

パーム油などのバイオマス油脂を使う液体バイオマス発電は、木質バイオマスと同等のFIT価格が適用されてきました。なおかつ、液体バイオマス発電の方が建設費用と燃料費が安いため、高い利回りが得られるとして注目を集めてきたエネルギーです。

しかし、2018年より、バイオマス油脂に向けた新しいFIT価格区分が増設されることになりました。木質バイオマスよりも安価なバイオマス油脂の建設費用・燃料費に合わせて、FIT価格が下方修正されると予想できます。

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風力発電は発電効率・コスト・利回りがやや高め!

風力発電は、風車で自然の風を受け、運動エネルギーを発電機に伝えて発電する方法です。設備認定などを受けた発電設備は、固定価格買取制度(FIT制度)の対象です。特に発電容量が20kW未満の小型風力発電は、FIT価格が1kWあたり55円(2018年1月時点)。FIT制度において、最も高い単価で電気を売ることができます。

風力発電のハードルは、発電に適した土地の調達と、建築コストです。風力発電システムに経済性をもたせるには、風速6m/秒の風が目安となります。そして、風の障害物が少ない開けた土地であること、近隣住民とトラブルが起こらないことも重要です。

さらに、周辺環境や住民にもたらされる影響が懸念されており、風力発電を始める土地を選ぶには環境アセスメントを始めとした、数々の法令や条例をクリアしなければなりません。つまり、土地の調達が最大のハードルとなっています。

土地の問題を解消する方法として、ファンドや土地付き(分譲型)風力発電に注目が集まっています。土地付き(分譲型)風力発電は、利回り10%前後が一般的です。ただし、建設費用がかかるので、初期費用は3000万円前後と比較的高めです。

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発電効率が低い太陽光が選ばれるのは初期費用と利回りのバランスが良いから

太陽光発電は、光があたると電気が発生する太陽電池を用いて光エネルギーを電気に変換する発電方法です。固定価格買取制度(FIT制度)開始以降、最も導入量が多いエネルギーです。投資の利回りは、平均10%前後。土地と発電システム一式を合わせて900万円前後で買える機会も増えており、最も簡単に着手できる再エネ投資として根強い人気を保っています。

しかし、投資や事業用に使う安価な太陽光パネルの発電効率は、平均で16%〜18%前後。つまり、太陽光投資の発電効率は、それほど高いわけではありません。

そこで、太陽光発電は、発電効率の低さを補うために、安い太陽光パネルを大量に使う方法(過積載)が主流となりました。太陽光発電の普及に伴って建設コストが値下がりを続けたことも、過積載の後押しになっています。資源エネルギー庁の発表によれば、2018年度の建設費用はおおむね30万円/kW以下を実現できます。

儲ける太陽光発電の初期費用! メンテナンスや保険も必須コストだと考えよう

まとめますと、太陽光発電は発電効率が低いものの、初期費用の安さと高利回りを実現しています。そのため、太陽光発電が投資先に選ばれ続けているのです。

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