2024年は太陽光発電設備や売電権利を売買する「セカンダリ―市場」が注目を集めるでしょう。
太陽光FITブームに毎年大量に建設販売された土地付き低圧発電所の新規申請は2019年を最後に終了しており、 2020年~2022年までは認定を取得した新設発電所は市場に溢れておりましたが、2024年現在はかなり減少しております。
現在、太陽光発電所の売買サイト「タイナビ発電所」に掲載している物件の5割が中古太陽光発電所です。
現状は、新規認定を受ける発電所は工場等の屋根に設置できる自家消費用や農地に設置可能なソーラーシェアリングしかありません。
その背景は、FIT制度に次のような変化が起き、新規参入の難易度が上がり投資の安定性が失われつつあることです。
- 小規模な低圧太陽光発電所は地域活用要件で3割以上の自家消費がFITの条件に
- ソーラーシェアリング(営業型太陽光発電)を除き投資向けの新規FIT適用は廃止
- メガソーラー等の大規模な太陽光発電のFIT制度が入札やFIPに移行
2012年にFIT制度(固定価格買取制度)ができてから、日本の太陽光発電は急速に普及した。太陽光発電に投資して利益を出すために、これまでは「全量売電」が一般的な方法だったといえます。
しかし、イニシャルコストが少なく個人投資家に人気が高かった低圧太陽光発電所は全量売電ができなくなり、大規模な発電所はFITの固定価格というメリットを失いました。
つまり、
いまから太陽光発電投資の長期メリット・安定収入を得るには、中古物件の購入が最も確実だということです。
※グッドフェローズは中古発電所の買取再販ビジネスを行っており、サイト内に掲載されている中古物件のほとんどを販売しております。
この記事では、これまでの太陽光発電投資から一歩前進し、セカンダリー市場と投資の展望について解説します。
太陽光発電におけるセカンダリー市場とは
「セカンダリー(secondary)」とは「第2の、二番目の、次の」を意味する言葉で、太陽光発電においてはすでに稼働している設備を指します。
太陽光発電における新規案件とセカンダリー案件の最大の違いは、発電量・売電量の実績データがあることです。
つまり中古の発電所は、過去の発電実績(売電収入)がわかるので、本当に発電するのか?というリスクが避けられます。
さらに「設備の稼働直後に起きるトラブル」も避けられるのが利点です。売電収入を得るまでに生じるトラブルと、その対応に追われるリスクが少ないというので以前からすでに需要がありました。
これまでの日本ではセカンダリーの売買が盛んではありませんでしたがこれからは、新設の太陽光発電所がなくなることで、セカンダリー市場が盛り上がると予測されています。
ただ、太陽光発電投資は20年間の固定単価で売電が継続できる安定投資なのは変わらないので不動産投資などと比較すると売る方の割合は比較的少ないのが現状であり、案件によっては取り合いの状況です。
セカンダリー市場が盛り上がりを見せる3つの理由
過去の高額FIT単価で売電できる
第1に、新規で太陽光発電設備を開設するよりも、セカンダリーを購入して売電を始めるほうが、高額な固定価格で売電ができることが挙げられます。
国が定める固定買取価格は年々低下しているため、これからFIT制度を利用して新規に太陽光発電を始めるとしたら、過去に始めた場合と比較して条件は良くありません。
しかし、セカンダリーの太陽光発電設備の場合は、過去の買取価格が高い時期に事業認定を受けており、新規開設するよりも高額な固定価格で電気を売買できます。
発電実績がデータで明らか
第2に、稼働済みの中古太陽光発電設備であれば過去の発電実績を参照できるため、収支を予想しやすいことも利点です。買い手にとっては購入後すぐに売電が開始できるというメリットがあるため、根強い需要があるのです。
以前は中古発電所を購入する場合は、金融機関・信販会社を利用できずに、現金購入しか難しかったが、これも緩和されて、銀行ローン・ジャックス・アプラス等の信販会社を利用して購入しやすくなっています。
売り手と買い手が増加する、中古市場の確立
第3の理由は売り手の増加です。太陽光発電投資家の中には、減価償却費の計上といった節税を目的としている人もいます。
その場合、減価償却の計上を終えたら売却したいと考えるケースが多く、セカンダリーの太陽光発電設備物件が売り出されるようになりました。
特に売却時に得る利益に対する税金が5年を境に半分になるなど、売り手にとってもメリットが増えているからです。
2020年より新設低圧発電所は全量売電ができなくなった
2020年の制度改正により、新設の低圧太陽光発電(10kw以上50kW未満)はFITを用いた全量売電が原則はできなくなりました。
低圧発電所は投資家人気が最も高い電圧区分であり、人気は衰えていません。それなのに新設できないため、FITの売電権利を持つ中古発電所を買うしか選択肢がないのです。
地域活用要件(自家消費要件)の低圧発電所及びソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に限っては低圧発電所でも売電が可能です。
新規低圧全量売電の廃止が中古発電所のプレミア化をすすめる
太陽光投資を盛り上げたFIT制度の低圧区分ですが、全量売電の適用対象から外されてしまいました。この背景にあるのは、国民負担の軽減です。
FIT制度下では、市場価格より高い単価での電力買取が義務化されています。電力会社が負担するコストが大きくなりすぎるため、買い取り費用の一部を広く国民が負担する設計になりました。
この「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は電気代に上乗せされ、国民の電気代負担を増大させています。
これを問題視して、FIT制度は見直されることになったのです。
注目すべきは、見直しが検討されているのが「2021年以降に新規で事業認定を取得する太陽光発電設備のみ」という点です。これから数年以内にFIT制度が終了しても、すでに売電している太陽光発電が売電権利(固定単価で20年間売電できる)を失うことはありません。
FIT廃止までに稼働させておけば、10kW以上の設備は、20年間の固定価格買い取りが保証されているのです。
このことは、太陽光投資に新しい収益の可能性をもたらすでしょう。高単価の売電権利を持つ投資物件が、セカンダリー市場でプレミア化することです。
実際に、タイナビ発電所に掲載された中古発電所は、エリアによっては即日で販売終了となっています。
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すでに発電所を持っている場合にやるべきこと
FITで売電できる太陽光発電所を持っている投資家は、転売することも視野に入れて管理しましょう。メンテナンスと売却査定・リスク判断をやっておくべきです。
セカンダリー市場が盛り上がると先程申し上げたが、一方で転売が困難と見られる太陽光発電所も少なくありません。日本の太陽光発電所はもともと、転売を想定して設置や管理をされていないケースが多いのです。
適切にメンテナンスが行われてこなかった発電所は、トラブルも散見されます。モジュールの劣化や地盤沈下による架台の乱れなどは、中古物件として人気は出ないでしょう。これまで放ってきたささいな不調や、管理をしなかったという負の実績が、中古市場での価値を落としてしまうのです。
メンテナンス
2017年の改正FIT法により、太陽発電事業者に設備の保守点検と維持管理が義務付けられました。そこで、現在は転売を考えていない場合であっても、メンテナンスはしっかりとしておく必要があります。
また、2021年4月からは太陽光発電10〜50kW未満の発電所に対しても事故報告が義務化となり、報告義務を怠るとFITの取消しがされる可能性もでてきました。
メンテナンスや管理を怠れば、機械トラブルや発電能力低下の原因になります。
たとえば、定期的な草刈りなどを実施しなかった場合、太陽光パネルに伸びた草の影が影響して発電能力が十分に発揮されないといったリスクも想定できます。
さらに、設備や周辺環境を良好な状態に維持しておかなければ、いざ転売しようと考えたタイミングで市場価値を失っているという事態も起こり得るのです。
売却査定とリスク判断
下表は太陽光発電所の売却査定やリスク判断のチェックポイントを一覧にまとめたものです。
立地環境 | 太陽光発電を十分に行うことができる(十分に発電できる)環境。出力抑制のかからない地域は、特に高評価 |
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設備の部材 | 信頼性の高いメーカーの部材を使用している、監視カメラなどの付帯設備があることで売却価格が高くなる傾向 |
施工業者 | 実績がある施工会社が施工/メンテナンスを手掛けている |
書類 | 経済産業省の認定書や電力会社との受給契約書、土地の権利書や設備の保証書、発電実績がわかる書類などが揃っている |
タイナビ発電所では太陽光発電設備の売却査定が無料でできるため、現状の物件価値を把握し、維持するためにもチェックしておきましょう。
売却を将来的に視野に入れている方は、売却する場合にどうやったら高く売れるのかを知っておく必要があります。
セカンダリーも視野に入れて投資物件を選ぼう
太陽光発電に関する法改正後に既存の発電所のプレミアム化が期待されるなど、太陽光発電のセカンダリー市場は、今後ますます活性化すると考えられます。
すでに所有している太陽光発電所物件の価値を判断するためには、売却査定やリスク診断について、タイナビ発電所に問い合わせてみましょう。
これから太陽光発電投資の物件を入手するなら、中古市場での価値をチェックすることが重要です。将来的に転売するパターンも視野に入れて管理/メンテナンスなどをしつつ、売却査定なども行っていくと良いでしょう。
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