太陽光発電の出力抑制(出力制御)
<重要なお知らせ>2024年4月以降に低圧発電所のパワコン交換される方へ

4月以降は電圧フリッカー対策機能付パワコンしか電力会社が接続を認めません。

オムロン・安川電機・田淵・ファーウェイなどは対応確認済みです。

※交換時は必ずプロのパワコン交換専門販売店に確認するようにお願いします。

出力制御は電気の供給が電気の需要を大きく超えたときに、電力会社が様々な発電設備の出力を停止することで需要と供給をコントロールする制度です。

出力制御が大きく話題になったのは、2023年度に大規模な出力制御が九州電力管内を中心に日本全国で17億kwh発生し、多くの発電所の売電が停止されました。出力制御のルールをあまり理解していない方は、2023年の3月~8月頃にかけて売電収入が大きく減少し、パワコンが故障したのでは?と思った方も多数いたでしょう。

売電収入の大幅な減少により、一部の発電事業者は太陽光発電所の売却に加速して、弊社が運営する売却サイトでも多くの売却依頼が発生しました!

1月に入り、2025年度の出力制御の見通しも発表されました。

          
エリア 出力制御率 出力制御量
北海道0.3%0.20億kWh
東北2.2%3.8億kWh
東京0.009%0.03億kWh
中部0.4%0.7億kWh
北陸2.1%0.4億kWh
関西0.4%0.4億kWh
中国2.8%2.8億kWh
四国2.4%1.3億kWh
九州6.1%10.4億kWh
沖縄0.2%0.01億kWh
   

2024年度の見通しと比較すると、北陸電力は大きく上昇し、九州電力管内は横ばいですが、他の電力管内は比較的に減少し、全体としては2024年の24億kwhより4億kwh減少してや約20億kwhとなっております。

2025年度の見通しは2024年度見通しより約20%に出力制御が減少します。

この太陽光発電の出力抑制(出力制御)とは、実際に電力会社が発電事業者に対して発電設備からの出力停止または抑制を要請し、出力量を管理し、実際に実施されたのは2018年頃(九州電力管内)となります。

太陽光発電所に投資して、毎月売電収入が安定的に入っていた方や仕組みがイマイチ理解できないという方にとっては、今度の売電収入に不安な気持ちで一杯でしょう。

  • 出力抑制(出力制御)という制度がわからない
  • 現行制度の対象(エリアや発電規模、上限など)を知りたい
  • 度重なる制度改正で現行の制度がわからない
  • 今度の出力制御はどうなるのか?対策は?

太陽光発電所を保有されている方の為に、出力抑制の制度から対象、現行のルール、抑制がかかりやすい状況や今後の見通しとその対策について、わかりやすく解説します。

太陽光発電を導入しようとしている方や、太陽光発電を現在使っているという方は、2015年1月に改定された出力抑制(出力制御)のルールが変わりましたので要チェックです。

本記事の最初の段落に出力制御でお悩みの方への2つの出口を書いておりますので、参考にしてください!

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出力制御にお悩みの方へ2つの出口

出力制御によって想定したいた発電量(売電収入)を得られずにお困りの方が日本全国に多数存在しますが、解決策がないわけではありません。

日本全国では、NONFIT発電所がどんどん増えております。電気が不足しているわけではなく、需要と供給のアンバランスから出力制御が起きている事実を理解すれば、現状の状態が売電期間ずっと続くわけではありません。その上で、2つの出口を解説します。

FITからFIP転する

お持ちの高圧太陽光発電所をFIPに移行して、蓄電池を設置する事で収益を大幅に改善する可能性があります。

現状のFITでの売電収入は想定できますが、蓄電池を設置したFIP転であれば高い収益性を実現できる可能性があり、この蓄電池の設置費用は補助金(名称:需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業)が活用できる場合があります。

蓄電池により市場価格が高い時間帯(夜間等)に売電するが可能です。ただ、実績がまだ少ないので実証目的でFIP転する事業者が増えております。

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発電所を売却する

九州を中心に太陽光発電所を手放す方が増えているのは事実です。九州電力管内は太陽光発電所が多すぎ状態ですので、出力制御が2025年度も高い水準で移行しております。

今後の出力制御の更なる増加により、発電所の価値が今よりも下げる前に売却するのも1つの手です。

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出力抑制(出力制御)は送電をコントロールする制度

出力抑制(出力制御)

太陽光発電の出力抑制(出力制御)とは、規定の条件下で電力会社が発電事業者に対し、発電設備からの出力を停止または抑制を要請する制度のことです。

電気は、使う量(需要)と発電する量(供給)のバランスを保たなければいけないという原則があります。もしも電力の需給が偏れば周波数のバランスが崩れてしまい、電気の安定供給ができなくなってしまうのです。

需要が多すぎれば電力不足で周波数が低下してしまい、電気の供給量が多すぎれば周波数が上昇してしまうからです。これは、次のリスクが大きい状況になります。

  • 電気設備の不調
  • 大規模停電

電力不足も問題ですが、電力の供給量ばかりが多すぎるのも、問題があるということです。

電力の需要は家庭や工場、蓄電池などがありますが、一度に消費する電力量には限度があります。電力の需要が少ない状況下では、発電設備からの送電出力をコントロールして、需要に合わせなければいけません。1日を通して必要な最低限の電力であるベースロード電源を除き、大きく変動する需要に合わせて発電出力をコントロールする必要があります。

これが、出力抑制(出力制御)です。

出力抑制(出力制御)がかかる発電所の優先順位

出力抑制される発電所には優先順位(優先給電ルール)が定められています。

日本の電力は可能な限り再生可能エネルギーを取り入れる方針ですので、出力抑制が真っ先にかかるのは、一般送配電事業者(送配電を担う大手電力会社)が確保する火力発電等です。火力発電は、数ある発電方法の中では比較的、発電出力のコントロールが容易だからです。

火力発電を抑制しても、電力供給量が需要を上回るなら、一定のルール(優先給電ルール)に則った順番で出力抑制が行われます。

以下は優先給電ルールの一覧で、太陽光発電は5番目にあたります。

そもそもなぜ電気が余るのか

火力などの発電所は、電力需要の予測に合わせて、常に発電出力をコントロールしています。

一方、太陽光発電などの自然エネルギーを用いる発電所は、人の手で発電量をコントロールはできません。好条件が揃うと、局所的に大きな電力を生み出します。

出力抑制

地域一帯の電力供給を安定させる手段の1つとして、出力抑制の仕組みがあるのです。

そもそも電気はなぜ余るのでしょうか。電気には需要が高まるピークと、あまり電気が使われないオフピークの時間帯や時期があります。

電力の需要が高まる例として、真夏の昼から夕方にかけて、または真冬の朝夕の時間帯などがあります。この季節のこのような時間帯には、エアコンなどの電化製品が多く使われるので、一時的に必要な電力が一気に増えることになるのです。

需要が高まる時期には、今でも電気が余るどころか足りなくなる恐れがあります。実際に、2018年の1月下旬から2月にかけて、東京電力管内では安定供給するために必要な電力供給力を下回りそうになりました。このときは、ほかのエリアからの電力供給を受けて乗り切ったのです。

一方、エアコンの需要が少ない春や秋の時期や、工場も休みが多い休日の電力需要は、ピーク時の半分ほどになります。太陽光発電で多くの電力が得られる時期に需要が少ないとなれば、電力は余ることになるでしょう。

どうして出力抑制(出力制御)が必要か?

出力抑制(出力制御)が必要な理由

優先給電ルールに沿って数々の発電所をコントロールし、それでも電力の供給量が需要を上回るときに、個人などが所有する太陽光発電の出力抑制が発生します。太陽光発電からの電力で需給バランスが崩れる前に、パワーコンディショナをコントロールして、電力会社への送電を抑えるのです。

この制度が導入されるのは、ひとえに「太陽光発電や風力発電の接続可能量を増やすため」です。

出力制御を行わずに太陽光発電を導入する場合、電力の需要が最も少ない状況を基準に太陽光発電の接続可能量が定められるので、売電できる人や施設が限られてしまいます。出力制御を行えれば、接続の制約が緩和されて、より多くの太陽光発電が導入できるようになるのです。

太陽光発電が電力の1つとして系統に接続でき、売電できるのは、電力会社が出力抑制で発電設備を管理できるからだともいえるでしょう。

出力抑制の新ルール

出力抑制は、対象となる発電設備や出力を絞る時間の単位などにルールが定められています。2015年1月26日に再エネ特措法が改正され、一部のルールが変更されました。

最も大きい変化は、住宅用太陽光発電の一部も出力抑制の対象に含まれるようになることです。出力制御する時間の上限も、1年で30日(30日ルール)から、1年で360時間(360時間ルール)に変更されました。

①出力制御が30日ルールから360時間ルールへ。指定ルールも

従来は1年のうち30日を上限として出力を制御できる「30日ルール」でしたが、2015年より、1年で360時間を上限とする「360時間ルール」に変更されました。1日単位だった出力制御が、時間単位に変更になっています。

また、電力会社の30日等出力制御枠(接続可能量)を超過してなお太陽光発電を導入する場合、指定電気事業者制度により「指定ルール」が適用されます。

出力抑制の上限に関する3つのルール

30日ルール(旧ルール) 無補償の出力制御をする上限を年間30日とする。
360時間ルール(新ルール) 無補償の出力制御をする上限を年間360時間とする。
指定ルール 指定電気事業者制度により、無補償の出力制御の上限がない。

適用されるルールは、電力会社に接続した時期や発電容量で決まります。

②出力制御機器(出力制御)導入の義務化

出力抑制を自動(オンライン)でできるように、遠隔で出力制御できるシステムの導入が義務化されました。出力制御対応機器にかかる追加費用は、発電事業者(太陽光発電のオーナー)が負担しなくてはなりません。

この出力制御機器の設置義務対象は、2015年1月26日以降に連携した発電所のみが対象となりますので、それ以前に連携した発電所に対しては機器の設置は義務となっておりません。簡単にまとめると以下の図になります。

30日ルール(旧ルール)
2015年1月25日までに連携
出力制御機器の設置義務なし
360時間ルール(新ルール) 出力制御機器の設置義務あり
指定ルール
2015年1月26日以降に連携
出力制御機器の設置義務あり

出力制御機器とは、具体的には出力制御対応のパワコンと遠隔監視機器(出力制御ユニット+インターネット接続が可能な機器)を指します。つまり、設置義務に該当する発電所を所有する発電事業者はこういった機器を設置しなければなりません。

出⼒制御(オンライン代理制御)で出力制御機器(出力制御)設置はいつまでに?

出⼒制御(オンライン代理制御)はいつまでに?

2025年現在、オンライン代理制御が実施されています。それまでは、オフライン制御で出力制御がかかった分が売電収入から自動的に引かれる形になります。

ただ、機器を設置しない場合はオフライン制御(オンライン代理制御ができないので)となり、通常よりも多くの出力抑制が引かれる可能性あるので、早めに設置するほうが賢明かもしれません。

実際に、2025年度の出力制御の見通しの詳細にも、オンライン制御の出力制御の減少が高い状態です。

出力制御対応機器(パワコン・遠隔監視機器)の設置検討者の方は是非以下のパワコン一括見積もり比較サイトよりお問い合わせください。激安価格で機器を設置(工事込)ができます。もちろん、全国の優良販売店が設置します。

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なお、住宅用太陽光発電は出力制御対応機器FIT価格が少し高くなりますので、初期費用回収期間に影響はありません。

③住宅用など小規模太陽光発電も出力抑制(出力制御)の対象に

小規模太陽光発電

2015年1月の再エネ特措法の改正で500kW未満の太陽光発電も出力抑制の対象になったため、家庭用発電機も立地によっては出力制御の対象になります。

ただし、住宅用の太陽光発電は規模が小さく自家消費+余剰売電の為に、抑制対象にはなっておりますがかなり低い確率で抑制されると考えられております。 将来的には抑制されるタイミングで蓄電池に電気を貯めるように自動制御されるでしょう。

ご家庭で10kW以上の太陽光発電を設置し、全量売電をするのであれば、余剰売電よりは出力抑制(出力制御)の対象になりやすいです。それでも発電規模が小さいですので、確率は少ないと考えられています。

電力発電所によって条件やルールが違う

出力抑制の条件

出力抑制(出力制御)がかかる対象の発電所は、発電容量(出力)により3種類に区分されます。

  1. 1つは500kW以上の大規模な高圧太陽光発電所です。
  2. 2つめは10kW〜500kW未満の、個人や中小企業の投資先に選ばれる、中規模な低圧太陽光発電所です。
  3. 3つめは10kW未満の、主に住宅用で電力を自家消費するタイプの太陽光発電です。

太陽光発電の容量や、電力会社への接続申し込みをした時期によって、適用される出力制御のルールが一部異なることに注目しながら見ていきましょう。

https://www.tainavi-pp.com/investment/solar/83/

東京電力、中部電力、関西電力管内の出力制御ルール

10kW〜50kW未満の太陽光発電も、出力抑制(出力制御)の対象です。

2022年より、10kW以上の太陽光発電は全て出力制御の対象となり、これから新しく接続する設備は360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年4月以前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外でしたがルールが変わりました。

500kW以上の太陽光発電は、接続申込日が2015年1月26日以降であれば360時間ルール(新ルール)が適用されます。それ以前に申請したと認められる案件は、30日ルール(旧ルール)が適用されます。

https://www.tainavi-pp.com/investment/solar/286/

北陸電力管内の出力制御ルール

10kW未満と10kW以上〜50kW未満の太陽光発電は、これから接続申し込みをする案件については、指定ルールが適用されます。

2015年4月1日から2017年1月23日までの接続申込み分については、360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年4月1日より前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

50kW以上500kW未満の太陽光発電は、これから接続申し込みをする案件には、指定ルールが適用されます。2015年1月26日から2017年1月23日までの接続申込み分について、360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年1月26日より前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

500㎾以上の太陽光発電は、これから接続申し込みをする案件には指定ルールが適用されます。2015年1月26日から2017年1月23日までの接続申込み分については、360時間ルール(新ルール)が適用、2015年1月26日より前に接続申込みをした案件は、30日ルール(旧ルール)が適用されます。

今からFIT認定する発電所に適用されるルール

今からFIT認定する発電所の場合、すべての規模(10kW未満、10kW以上〜50kW未満、50kW以上500kW未満、500kW以上)の太陽光発電に指定ルールが適用されます。

中国電力管内の出力制御ルール

10kW未満、10kW以上〜50kW未満の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件には指定ルールが適用されます。2015年4月1日から2018年7月11日までに接続申込みをした分は、360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年4月1日以前に接続申込みをした分は、出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

50kW以上500kW未満の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件には指定ルールが適用されます。2015年1月26日から2018年7月11日までに接続申込みをした分は、360時間ルール(新ルール)が適用され、2015年1月26日以前に接続申込みをした分は、出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

500kW以上の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件は指定ルールが適用されます。2015年1月26日から2018年7月11日までに接続申込みをした分は、360時間ルール(新ルール)が適用、2015年1月26日以前に接続申込みをした案件については、30日ルール(旧ルール)が適用されることになります。

今からFIT認定する発電所に適用されるルール

今からFIT認定する発電所の場合は、すべての規模(10kW未満、10kW以上〜50kW未満、50kW以上500kW未満、500kW以上)の太陽光発電に指定ルールが適用されます。

四国電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件には指定ルールが適用されます。2014年12月3日から2016年1月22日までに接続申込みをした案件は、360時間ルール(新ルール)が適用されます。

ただし、このうち 2014年12月3日から2015年3月31日までに契約申込みした案件は、経過措置により出力制御対象外です。2014年12月2日までに接続申込みをした案件は、30日ルールが適用されますが、当面は出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

10kW以上500kW未満、500kW以上は、これから接続申込みをする案件には指定ルールが適用されます。2014年12月3日から2016年1月22日までに接続申込みをした案件は、360時間ルール(新ルール)が適用されます。

2014年12月2日までに接続申込みをした案件は、30日ルールが適用されます。ただし、10kW以上500kW未満については、当面のあいだ出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。

今からFIT認定する発電所に適用されるルール

今からFIT認定する発電所には、すべての規模(10kW未満、10kW以上〜50kW未満、50kW以上500kW未満、500kW以上)の太陽光発電に指定ルールが適用されます。

沖縄電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、2015年4月1日以降に接続申込みをする案件に360時間ルールが適用されます。さらに、接続可能量を超えた後に接続申込みをした案件には、指定ルールが適用されます。2015年4月1日より前に接続申込みをした案件は、対象外でしたが、2022年より対象となっております。

10kW・50kW・500kW以上の太陽光発電は、2015年1月26日以降に接続申込みをする案件に360時間ルール(新ルール)が適用されます。

それ以前に申し込みが済んでいる太陽光発電は、500kW以上の案件は30日ルールが適用されており、500kW未満のものは原則として出力制御の対象外でした。接続可能量を超過した後に接続申込みをしたと認められる太陽光発電は、いずれも指定ルールが適用されます。

九州電力、北海道電力、東北電力管内の出力制御ルール

10kW以上500kW未満、500kW以上は、2015年1月26日以降に接続申込みした案件に、指定ルールが適用されます。2015年1月25日までに接続申込みした案件は、10kW以上500kW未満の場合には出力制御の対象外でしたが、2022年より対象となっております。500kW以上の場合には30日ルールが適用されます。

今からFIT認定する発電所に適用されるルール

今からFIT認定する発電所の場合、すべての規模(10kW未満、10kW以上〜50kW未満、50kW以上500kW未満、500kW以上)の太陽光発電に指定ルールが適用されます。

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出力制御が起こりやすい時期

出力制御の時期

出力制御がかかりやすい、「太陽光発電が良好で電力需要が低いシーズン」は、いつのことでしょうか。太陽光発電の発電量が増えやすい時期と、電力の消費量が少ない状況について考えていきましょう。

太陽光発電の発電量が最も高まるのは、実は5月です。雨が少なくて、気温が高すぎず低すぎない、太陽光発電にとっての好条件が揃う繁忙期なのです。

その半面、5月は全国的に過ごしやすい気候ですので、暖房も冷房も使われず電気消費量が一番少ない時期になります。そのため、出力制御が起こりやすい時期は5月と言えるでしょう。

ただし、離島などの出力抑制がかかりやすいエリアでは、3月などの春頃から小規模な出力制御がかかり始めることもあります。

九州電力が公表した2018年3月の離島における出力制御は、壱岐で3回、種子島で19回、徳之島で2回の、合計24回とのことです。

九州電力:離島における平成30年3月の再生可能エネルギーの出力制御実績

ただし、発電量のピーク時に一時的にかけられる程度で、期間中ずっと抑制されるわけではありません。さらに、大規模発電所を軸に抑制がかけられるので、規模の小さい発電所であれば確率は低いといえます。

出力制御の実績と今後の見通し

出力制御は、実際のところどのように行われているのでしょうか。ここでは、出力制限の実績がある九州電力の実施例と、気になる今後の見通しについて説明します。

九州電力は日本で一番多くの出力制御の実績

出力制御の実績

太陽光発電に対する出力制御の実績があるのは、2020年6月時点では九州エリアのみとなっていましたが、2025年現在はほぼ全電力管内で実施されております。特に九州では2022年以降は全国的にもかなり高い水準で実施されております。

九州電力管内は2024年の出力制御の見通しで約10億kWhとなり、2025年度の見通しも10.4億kWhと発表されており、日本全体の出力制御量の約50%以上となっております。九州電力は日本初の出力制御を2018年10月13~14日の2日間、九州電力は離島を除く広域での太陽光発電に対する出力制御を国内で行いました。対象は両日とも10kW以上の規模の太陽光発電所でした。

制御されて売電の機会を逸した電力量は、13日が43万kW、14日が71万kWでしたが、今と比べると本当にわずかな量だと言えます。

出力制御の大きな要因となったのは、土日の週末で工場などが稼働していなかったこと、過ごしやすい気温で電力の需要が少なかったことです。

その一方で、晴天で日射量も多く太陽光による発電量が多かったため、需要と供給のバランスが取れなくなり、2019年は10月までに56日出力制御が実施されました。

出力制御に関する今後の見通し

出力制御の見通し

出力制御は、今後緩やかに減少する事が見込まれております。この背景としては火力の調整・蓄電池増加による需要喚起による調整です。ただ、日本全体の温暖化により、出力制御期間が増える可能性もあります。

たとえば、四国電力は2019年のゴールデンウィークに、電力需要に対する太陽光の供給が90%に達しました。結果的にはそのタイミングでの出力制御は避けられましたが、こうした状況は今後も起きると考えられます。

ほかに出力制御が起こる可能性が懸念されているのは沖縄電力です。東北電力や北陸電力など、出力制御をできるだけ回避するための準備をするよう依頼している電力会社も増えています。

指定ルールの適用がない「太陽光発電の指定電気事業者」となっていたのは、東京電力・中部電力・関西電力です。3電力は電力需要が特に高いエリアのため、全国で最も出力制御が起こりづらいエリアと見込まれていましたが、実際に関西・中部では既に出力制御が起きております。東京電力でも2025年の見通しでは出力制御が起こる事が予想されております。ただし、実際の出力制御量はかなり低く、太陽光発電所への売電損失の影響は低いの現状です。

そのため、東京電力・中部電力・関西電力の投資用物件は、中古買取り評価が高まる傾向にあります。もし、これから太陽光発電所を購入するなら、売却査定で有利なエリアを選ぶのも戦略の一つです。

https://www.tainavi-pp.com/investment/solar/105/

出力制御への対応策

出力制御への対応策

出力制御への対応策は多方面からすすめられている現状です。たとえば、電力が余った場合には「地域間連系線」を活用し、電力会社間で電力を融通し合うことが技術的に可能になってきています。

九州電力ではすでに効果を挙げていて、2018年10月には中部電力・中国電力・関西電力など合計5つの電力会社へ余剰電力を送電しました。

四国電力では、「揚水発電所」を積極的に活用しています。揚水発電所とは、電力需要が少ないときに余剰電力を消費して水を上池にくみ上げ、電力需要が多い際には上池から下池に水を落として発電する発電所のことです。四国で太陽光発電所の出力制御が行われていないのも、こうした仕組みによる恩恵だといえます。

出力制御について太陽光発電のオーナーがやること

太陽光発電のオーナー

固定価格買取制度を使い、太陽光発電で発電した電気を売るには、地域の電力会社と発電設備を接続する必要があります。出力抑制の条件に当てはまる太陽光発電は、接続を申し込むときに、出力抑制の適用について合意しなければなりません。

実際に出力制御が行われるときは、基本的にオーナーが行う作業はありません。電力会社が出力制御の必要があると判断したときは、発電事業者(オーナー)に対して情報の開示や連絡が行われます。電力会社の出力制御指示に従い、手動あるいは自動で発電停止や運転操作を実施するという手法です。

太陽光発電を設計するとき、出力制御機能に対応しているパワーコンディショナーを使いますので、自動的に出力制御の操作が行われるようになります。

https://www.tainavi-pp.com/investment/wind/35/

出力制御の収入減少に備える方法も検討

出力抑制(出力制御)が収益に大きく影響する発電所は、九州・中国・東北・四国電力管内の発電所です。それ以外の発電所は、収益への心配はないでしょう。ただし、大規模な発電所を構える場合は、収入減少に備えることも検討しておくと安心です。

備えの1つに、「出力制御保険」がありました。出力抑制(出力制御)により、抑制が大きくかかる場合は、保険で収益を安定させるのも有効でしたが、2025年現在はそういった保険はほとんどありません。

出力制御保険の加入は「収入の安定化」という点で、融資が有利になる可能性があり人気でした。

ほかにも出力抑制の対策に、オンライン制御対応のパワコンに交換にする方法があります。全ての電力会社がHP内でオンライン化を推奨しております。パワコンは壊れてから交換が当たり前でしたが、10年の機器保証期間を過ぎたら新しいパワコンへ交換してオンライン対応する事で出力制御の影響を減らう事をお勧めします。

周囲の環境や時期、天候で左右されやすい再生エネルギー発電の需要と供給の仕組みを理解すれば、出力抑制はいたずらに行われる制度ではないことがわかります。太陽光発電の仕組みを理解し、暮らしやビジネスで上手に活用してみてはいかがでしょうか。