太陽光発電の出力抑制(出力制御)

太陽光発電の出力抑制(出力制御)とは、電力会社が発電事業者に対して発電設備からの出力停止または抑制を要請し、出力量を管理する制度のことです。

太陽光発電を自宅の屋根に取り付けて発電した電気を使ってみたい、取り付けたいけど仕組みがイマイチ理解できないという方にとっては、今不安な気持ちで一杯でしょう。

  • 出力抑制(出力制御)という制度が分からない
  • 現行制度の対象(エリアや発電規模、上限など)を知りたい
  • 2015年の制度改正で何が変更されたのか分からない

太陽光発電に関わる方のために、出力抑制の制度から対象、現行のルール、抑制がかかりやすい状況について、わかりやすく解説します。

太陽光発電を導入しようとしている方や、太陽光発電を現在使っているという方は、2015年1月に改定された出力抑制(出力制御)のルールが変わりましたので要チェックです。

出力抑制(出力制御)は送電をコントロールする制度

太陽光発電の出力抑制(出力制御)とは、規定の条件下で電力会社が発電事業者に対し、発電設備からの出力を停止または抑制を要請する制度のことです。

電気は、使う量(需要)と発電する量(供給)のバランスを保たなければいけないという原則があります。もしも電力の需給が偏れば周波数のバランスが崩れてしまい、電気の安定供給ができなくなってしまうのです。

需要が多すぎれば電力不足で周波数が低下してしまい、電気の供給量が多すぎれば周波数が上昇してしまうからです。これは、次のリスクが大きい状況になります。

  • 電気設備の不調
  • 大規模停電

電力不足も問題ですが、電力の供給量ばかりが多すぎるのも、問題があるということです。

電力の需要は家庭や工場、蓄電池などがありますが、一度に消費する電力量には限度があります。電力の需要が少ない状況下では、発電設備からの送電出力をコントロールして、需要に合わせなければいけません。一日を通して必要な最低限の電力であるベースロード電源を除き、大きく変動する需要に合わせて発電出力をコントロールする必要があります。

これが、出力抑制(出力制御)です。

出力抑制される発電所には優先順位(優先給電ルール)が定められています。日本の電力は可能な限り再生可能エネルギーを取り入れる方針ですので、出力抑制が真っ先ににかかるのは、一般送配電事業者(送配電を担う大手電力会社)が確保する火力発電等です。火力発電は、数ある発電方法の中では比較的、発電出力のコントロールが容易だからです。

火力発電を抑制しても、電力供給量が需要を上回るなら、一定のルール(優先給電ルール)に則った順番で出力抑制が行われます。

以下は優先給電ルールの一覧で、太陽光発電は5番目のe.にあたります。

火力などの発電所は、電力需要の予測に合わせて、常に発電出力をコントロールしています。一方、太陽光発電などの自然エネルギーを用いる発電所は、人の手で発電量をコントロールはできません。好条件が揃うと、局所的に大きな電力を生み出します。

出力制御の仕組み

地域一帯の電力供給を安定させる手段の1つとして、出力抑制の仕組みがあるのです。

どうして出力抑制(出力制御)が必要か?

優先給電ルールに沿って数々の発電所をコントロールし、それでも電力の供給量が需要を上回るときに、個人などが所有する太陽光発電の出力抑制が発生します。太陽光発電からの電力で需給バランスが崩れる前に、パワーコンディショナをコントロールして、電力会社への送電を抑えるのです。

この制度が導入されるのは、ひとえに「太陽光発電や風力発電の接続可能量を増やすため」です。

出力制御を行わずに太陽光発電を導入する場合、電力の需要が最も少ない状況を基準に太陽光発電の接続可能量が定められるので、売電できる人や施設が限られてしまいます。出力制御を行えれば、接続の制約が緩和されて、より多くの太陽光発電が導入できるようになるのです。

太陽光発電が電力の1つとして系統に接続でき、売電できるのは、電力会社が出力抑制で発電設備を管理できるからだとも言えるでしょう。

出力抑制の新ルール3つ(2015年より施行)

出力抑制は、対象となる発電設備や出力を絞る時間の単位などにルールが定められています。2015年1月26日に再エネ特措法が改正され、一部のルールが変更されました。

最も大きい変化は、住宅用太陽光発電の一部も出力抑制の対象に含まれるようになることです。出力制御する時間の上限も、1年で30日(30日ルール)から、1年で360時間(360時間ルール)に変更されました。

①出力制御が30日ルールから360時間ルールへ。指定ルールも

従来は1年のうち30日を上限として出力を制御できる「30日ルール」でしたが、2015年より、1年で360時間を上限とする「360時間ルール」に変更されました。1日単位だった出力制御が、時間単位に変更になっています。

また、電力会社の30日等出力制御枠(接続可能量)を超過してなお太陽光発電を導入する場合、指定電気事業者制度により「指定ルール」が適用されます。

出力抑制の上限に関する3つのルール

30日ルール(旧ルール) 無補償の出力制御をする上限を年間30日とする。
360時間ルール(新ルール) 無補償の出力制御をする上限を年間360時間とする。
指定ルール 指定電気事業者制度により、無補償の出力制御の上限がない。

適用されるルールは、電力会社に接続した時期や発電容量で決まります。

②遠隔出力抑制(出力制御)導入の義務化

出力抑制を自動でできるように、遠隔で出力制御できるシステムの導入が義務化されました。出力制御対応機器にかかる追加費用は、発電事業者(太陽光発電のオーナー)が負担しなくてはなりません。

なお、住宅用太陽光発電は出力制御対応機器FIT価格が少し高くなりますので、初期費用回収期間に影響はありません。

③住宅用など小規模太陽光発電も出力抑制(出力制御)の対象に

2015年1月の再エネ特措法の改正で500kW未満の太陽光発電も出力抑制の対象になったため、家庭用発電機も立地によっては出力制御の対象になります。

ただし、住宅用の太陽光発電は規模が小さく自家消費+余剰売電の為に、抑制対象にはなっておりますがかなり低い確率で抑制されると考えられております。 将来的には抑制されるタイミングで蓄電池に電気を貯めるように自動制御されるでしょう。

ご家庭で10kW以上の太陽光発電を設置し、全量売電をするのであれば、余剰売電よりは出力抑制(出力制御)の対象になりやすいです。それでも発電規模が小さいですので、確率は少ないと考えられています。

電力発電所によって条件やルールが違う

出力抑制(出力制御)がかかる対象の発電所は、発電容量(出力)により3種類に区分されます。

1つは500kW以上の大規模な高圧太陽光発電所です。2つめは10kW〜500kW未満の、個人や中小企業の投資先に選ばれる、中規模な低圧太陽光発電所です。3つめは10kW未満の、主に住宅用で電力を自家消費するタイプの太陽光発電です。

太陽光発電の容量や、電力会社への接続申し込みをした時期によって、適用される出力制御のルールが一部異なることに注目しながら見ていきましょう。

東京電力、中部電力、関西電力管内の出力制御ルール

10kW〜50kW未満の太陽光発電は、出力抑制(出力制御)の対象外です。

50kW以上の太陽光発電は出力制御の対象となり、これから新しく接続する設備は360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年4月以前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外。

500kW以上の太陽光発電は、接続申込日が2015年1月26日以降であれば360時間ルール(新ルール)が適用されます。それ以前に申請したと認められる案件は、30日ルール(旧ルール)が適用されます。

北陸電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、2017年1月24日以降に接続申込みをした案件に対して、指定ルールが適用されます。それ以前の、2015年4月1日以降の接続申込み分について、360時間ルール(新ルール)が適用されます。さらに、それより前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外です。

10kW・50kW・500kW以上の太陽光発電は、2017年1月24日以降に接続申込みをする案件には、指定ルールが適用されます。それ以前の、2015年4月1日以降の接続申込み分については、360時間ルール(新ルール)が適用されます。これ以前の接続申し込み分は、出力制御の対象外。

中国電力管内の出力制御ルール

10kW未満、10kW〜50kWの太陽光発電は、これから接続申込みをする案件には360時間ルール(新ルール)が適用されます。接続可能量を超えたあとに申請をした案件については、指定ルールが適用されます。2015年4月1日以前に接続申込みをした分は、出力制御の対象外です。

50kW・500kW以上の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件は360時間ルールが適用されます。接続可能量を超えた後の申込みについては、指定ルールを適用。2015年1月26日以前に接続申込みをした案件については、50kW〜500kW未満は出力制御の対象外で、500kW以上は30日ルール(旧ルール)の適用になります。

四国電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、これから接続申込みをする案件には360時間ルール(新ルール)が適用されます。2015年1月26日以前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外です。

50kW〜500kW・500kW以上の太陽光発電は、2016年1月25日以降に接続申込みをした案件には指定ルールが適用されます。それより前に申請をした案件は、360時間ルールが適用されます。さらに、2015年1月25日以前に接続を申し込んだ50kW〜500kWは、原則として出力制御の対象外です。500kW以上の太陽光発電には、30日ルールが適用されます。

沖縄電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、2015年4月1日以降に接続申込みをする案件に360時間ルールが適用されます。さらに、接続可能量を超えた後に接続申込みをした案件には、指定ルールが適用されます。2015年4月1日より前に接続申込みをした案件は、出力制御の対象外です。

10kW・50kW・500kW以上の太陽光発電は、2015年1月26日以降に接続申込みをする案件に360時間ルール(新ルール)が適用されます。

それ以前に申し込みが済んでいる太陽光発電は、500kW以上の案件は30日ルールが適用されており、500kW未満のものは原則として出力制御の対象外でした。接続可能量を超過した後に接続申込みをしたと認められる太陽光発電は、いずれも指定ルールが適用されます。

九州電力、北海道電力、東北電力管内の出力制御ルール

10kW未満の太陽光発電は、2015年4月1日以降に接続申込みをする案件に指定ルールが適用されます。それ以前に申請した案件は出力制御の対象外。

10kW・50kW・500kW以上の太陽光発電は、接続可能量を超過した後に接続申込みをしたと認められる場合、指定ルールが適用されます。

出力制御が起こりやすいエリアと時期の傾向

太陽光発電の電力によって需給バランスが崩れるとはイメージしづらいかもしれません。太陽光発電の発電量が高くなりがちな一方で、電力需要が限られている場合に、出力抑制がかかりやすくなるということです。

周りに電気を使う施設が多ければ多いほど、出力抑制がかけられるリスクは低いでしょう。人口や産業が多く、近隣エリアと電力を融通しやすい東京電力・中部電力・関西電力は出力制御のリスクが低いです。

一方、周囲に誰も住んでいないような場所に設置されているメガソーラーなどは、抑制の対象になりやすいです。電気需要が高い近隣エリアへ電気を融通しますが、それでも需要が下回れば出力を抑制されます。離島などが該当しやすいです。

この条件に当てはまるエリアを避けるのも、出力制御の影響を防ぐ方法の1つです。

2011年の場合を例にすると、出力抑制(出力制御)が多いのは東北電力管内の29日、次に北陸電力管内の23日でした。2012年では北陸電力管内の28日、次に中国電力管内の14日、2013年では北海道電力管内の26日、次が東北電力でした。

毎年、出力抑制(出力制御)が多いエリアにはバラツキが生じているのがわかります。確実に出力抑制を避けるなら、抑制の対象外になるエリアで太陽光発電を始めるという方法もあります。

ただし、中規模・小規模の太陽光発電であれば、エリアを気にする必要はそれほどありません。離島を除く全域でなら、安心して太陽光発電ができます。

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出力制御が起こりやすい時期

出力制御がかかりやすい、「太陽光発電が良好で電力需要が低いシーズン」は、いつのことでしょうか。太陽光発電の発電量が増えやすい時期と、電力の消費量が少ない状況について考えていきましょう。

太陽光発電の発電量が最も高まるのは、実は5月です。雨が少なくて、気温が高すぎず低すぎない、太陽光発電にとっての好条件が揃う繁忙期なのです。

その半面、5月は全国的に過ごしやすい気候ですので、暖房も冷房も使われず電気消費量が一番少ない時期になります。そのため、出力制御が起こりやすい時期は5月と言えるでしょう。

ただし、離島などの出力抑制がかかりやすいエリアでは、3月などの春頃から小規模な出力制御がかかり始めることもあります。

九州電力が公表した2018年3月の離島における出力制御は、壱岐で3回、種子島で19回、徳之島で2回の、合計24回とのことです。

九州電力:離島における平成30年3月の再生可能エネルギーの出力制御実績

ただし、発電量のピーク時に一時的にかけられる程度で、期間中ずっと抑制されるわけではありません。さらに、大規模発電所を軸に抑制がかけられるので、規模の小さい発電所であれば確率は低いといえます。

出力制御について太陽光発電のオーナーがやること

固定価格買取制度を使い、太陽光発電で発電した電気を売るには、地域の電力会社と発電設備を接続する必要があります。出力抑制の条件に当てはまる太陽光発電は、接続を申し込むときに、出力抑制の適用について合意しなければなりません。

実際に出力制御が行われるときは、基本的にオーナーが行う作業はありません。電力会社が出力制御の必要があると判断したときは、発電事業者(オーナー)に対して情報の開示や連絡が行われます。電力会社の出力制御指示に従い、手動あるいは自動で発電停止や運転操作を実施するという手法です。

太陽光発電を設計するとき、出力制御機能に対応しているパワーコンディショナーを使いますので、自動的に出力制御の操作が行われるようになります。

出力制御の収入減少に備える保険も検討

出力抑制(出力制御)が収益に大きく影響する発電所は、ごくわずかといわれております。ほとんどの場合は、収益への心配はないでしょう。ただし、大規模な発電所を構える場合は、収入減少に備えることも検討しておくと安心です。

備えの1つに、「出力制御保険」があります。出力抑制(出力制御)により、抑制が大きくかかる場合は、保険で収益を安定させるのも有効です。

出力制御保険の加入は「収入の安定化」という点で、融資が有利になる可能性があるメリットもをもつます。保険料と出力抑制による減収をシミュレーションし、損を少なくする方法も検討されてみてはいかがでしょうか。

ほかにも出力抑制の対策に、蓄電池を設置して夜間売電する、パワコン出力を遥かにしのぐ量の太陽光パネルを設置(過積載)して、発電量を大きく稼ぐという方法もでています。過積載は太陽光システムの価格が4年前の半額程度に下落したことから、発電規模の大小を問わず定着しつつあります。

周囲の環境や時期、天候で左右されやすい再生エネルギー発電の需要と供給の仕組みを理解すれば、出力抑制はいたずらに行われる制度では無いことが分かります。太陽光発電の仕組みを理解し、暮らしやビジネスで上手に活用してみてはいかがでしょうか。

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