九州電力の出力制御

2018年8月30日、九州電力は「電力の需給状況によっては9月中にも九州本土で再生可能エネルギー出力制御を実施する可能性がある」と発表した。

出力制御の実施中は電力会社により太陽光発電の事業者に出力を停止あるいは減らすよう求められる。そして、10月13日、14日には実際に九州本土を対象にした出力制御が実施された。出力制御が本土で行われるのは、国内初の事例だ。

このコラムでは、なぜ出力制御を行う必要があるのか、各事業者はどのような対応をとればよいかなど、出力制限の内容および今後の発電事業について詳しく解説していこう。

九州電力の2018年10月13日出力制御の事例

2018年10月11日、九州電力から「13日・14日両日において九州本土で出力制御を行う可能性がある」との発表があり、実際に10月第2週の土・日の2日間にわたり出力制御が実施された。

今回の出力制御は、週末で企業による電力需要が減少すること、および快晴による太陽光の発電量増加が予想されたために実施されたものである。

13日については、前日の12日に43万kWの出力制御を行うと公表があり、当日は予告と同量の出力制御が実施された。その内訳は、旧ルール指定業者が8件9万kW、指定ルール事業者が9751件34万kWであった。

翌14日については前日の13日に62万kWの出力制御を行うと公表。しかし、実際には当初の発表を9万kW上回る71万kWの出力制御が実施された。これは、当日になって需要予測を下方修正したことが原因である。この日に関しては、対象事業者などの内訳は公表されていない。

なお、14日の出力制御については原因不明のシステムトラブルがあり、10時30分から30分間、発電所3263件で不必要な制御が行われる事態となった。しかし、該当事業者の減収分について、九州電力側で補償することはないとしている。

すでに出力制御が行われている以上、今後も九州電力管内で同様の事態が起きる可能性は十分にある、と考えざるを得ない。投資家としては、その点をあらかじめ考慮しておく必要があるだろう。

ただし、実際に出力制御が実施されるかどうかは当日の天候や電力需要によっても左右される。実施の予定があったとしても、必ず行われるとは限らない点に留意したい。

九州電力で出力制御が行われる理由

太陽光発電と出力制御

九州本土で出力制御が具体的に検討される背景には、九州電力管轄内の「電力余り」がある。

九州電力では原発4基が再稼働しており、電力供給力が高い。さらに、九州エリアは日照条件がよいことから、もともと太陽光発電が盛んな土地でもあった。すでに、日によっては九州の需要電力の約8割を太陽光発電でまかなうだけの出力があるのだ。

そのため、電力の需要が少ないシーズンなどでは電力が余ってしまう可能性が出てくる。

電気は発電と同時に消費が行われ、貯めておくことができない。したがって、需給が常に一致している必要がある。発電量が多すぎても周波数が安定せず、最悪の場合は大規模停電が起きるおそれも出てくるのだ。

そこで、必要になってくるのが出力制御である。

太陽光発電の出力制御は「優先給電ルール」の後半に位置する

国のルールでは、各電力会社で電力が余り過ぎたときには、あらかじめ決めた優先給電ルールに沿った順番で電力の出力抑制等を行う。それによって、電力の需要・供給のバランスをとっていくのだ。

まず、火力発電所の出力を下げる。それでも発電量が多ければ他地域への送電や揚水発電を活用するといった方法で、電力の出力を調整する。それでも電気が余ったときに初めて、太陽光などの再生エネルギーの出力制御が行われることになる。

太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーが増えたからといって、すぐに出力制御を連発されるということではないのだ。

【徹底解説】太陽光発電の出力制御とは?

2018年秋の太陽光発電出力制御の対象となる事業者

太陽光発電と出力制御の理由

出力制御の対象範囲になるかどうかは、太陽光発電を始めたタイミングや発電設備の規模によって異なる。これは、申請のタイミングによって旧ルール対象事業者と指定ルール対象事業者の区別があるためだ。

2018年秋の出力制御において、注目すべきは以下の2点である。

  • 10kW以上50kW未満は指定ルール適用者のみが制御対象
  • 指定ルール適用者でも10kW未満の住宅用太陽光発電については、当面の間は制御対象外

以下、「旧ルール」と「指定ルール」の違いも含め、出力制御の対象範囲について詳しく解説していくことにしよう。

旧ルール対象事業者

旧ルールの対象となる事業者には、平成27年1月25日までに九州電力が連系承諾した事業者が該当する。

旧ルール対象事業者の出力制御実施時の取り扱いについては、以下の通りである。

500kW以上の発電設備を持つ事業者の場合は、制御対象となる。この場合、制御に必要な操作は手動で行う必要がある。また、年間30日まで無補償・無制限の出力制御が認められている。

一方、10kW以上500kW未満および10kW未満の場合は出力制御の対象外となっている。

指定ルール対象事業者

平成27年1月26日以降に九州電力が連系承諾した事業者は、指定ルール対象事業者となる。

500kW以上ならびに10kW以上500kW未満の設備を持つ事業者は、無制限・無保証の出力制御実施時の制御対象となる。このときの出力制御関連の操作については、出力制御機能付PCSで自動的に行われる。

10kW未満の設備を持つ事業者については、本来は制御対象であるものの、当面の間は制御対象外という扱いになっている。今後ルールが変更される可能性もあるので、九州電力の動向には十分注意したい。

出力制御の指示方法と前日・当日のスケジュール

出力制御が実施される場合、いつどのように連絡が来て、また当日はどんな操作が必要になるのだろうか。この段落では、出力制御実施時の詳しいスケジュールについて解説する。

基本的には出力制御を予定する前日に連絡があり、その後の状況に応じて当日実際に出力制御を実施することになる。ただし、「旧ルール対象事業者」と「指定ルール対象事業者」で連絡方法や操作方法が異なる点には注意が必要だ。

旧ルール対象事業者のスケジュール

旧ルール対象事業者については、出力制御を予定する前日の17時までに電話とメールで翌日の出力制御実施の連絡がある。連絡を確実に受け取れるように、受信できる電話番号1件、メールアドレス最大3件をあらかじめ登録しておこう。

出力制御当日になったら、指示に基づき手動で発電停止や運転再開の操作を行う。実施する時間帯は現状8~16時の間で予定されている。なお、特別高圧の事業者については、必要に応じて出力制御解除の連絡が来ることもある。

指定ルール対象事業者のスケジュール

指定ルール対象事業者の場合は、原則個別連絡が来ることはない。出力制御を行う予定がある場合、前日の17時までに九州電力のホームページ【再生可能エネルギー出力制御見通し】で翌日の出力制御実施が通知される。該当する人はこまめにホームページをチェックしておこう。

なお、事前に【九州電力再エネ出力制御登録フォーム】で登録しておけば、メールで個別に連絡を受け取ることも可能だ。

出力制御当日は、出力制御機能付PCSへの制御信号に基づいて出力が自動制御される。旧ルールの対象者とは違い、特に必要な操作はない。

九州電力エリアでも太陽光発電は可能!出力制御の保険を検討しよう

九州地方をはじめ、出力制御の可能性があるエリアはいくつかある。太陽光発電ができなくなってしまうわけではない。

また、出力制御によって受けた損害を九州電力で補償してもらうことは難しいものの、販売会社によっては出力制御によって逸失した利益を補償する「出力制御保険」がある。こうした保険にあらかじめ加入しておけば、不測の事態が起きても安心だ。

タイナビ発電所に登録している販売会社でも、投資物件と共に「出力制御保険」を取り扱っている場合がある。今後の出力制御の動向が気になる人は、こうした保険の取り扱いがある物件を中心に検討するのが良いだろう。

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