風力発電の倒壊事故

2018年8月に発生した台風20号の影響により、兵庫県淡路市で風力発電設備の倒壊事故が起こった。

日本では再生可能エネルギーとして太陽光発電を重視してきたこともあって、欧米と比較すると総発電量に占める風力発電の割合は高くない。そのため、今後普及を進めていくうえで、台風や災害時の安全対策についてもより強化していく必要性が明らかになった形である。

この記事では、施されていた安全対策など今回の事故からわかることについてまとめてみた。

兵庫県で起きた風力発電の倒壊事故を振り返る

倒壊事故はどのように起こったのか、風力発電設備にはどのような安全対策が施されていたのか、事故後の経済産業省の対応など、今回の倒壊事故について詳しく紹介する。

施されていた安全対策

2018年8月24日に倒壊した風力発電設備は、兵庫県淡路市の北淡震災記念公園の横に設置されていたものだ。2002年4月に稼働を開始したが、2017年5月に電気系統が故障したため、それ以降は稼働していない。

倒壊した風力発電設備は風速60mまで耐えられるように設計されていた。また、風の強い時には、本体の羽の角度を変えて風を逃がすことができる構造になっており、停止中であっても羽の角度は変えられる状態だった。

今回の台風が接近した日の淡路市の最大瞬間風速は28.6mで、強度や風速に多少の誤差はあったにしても十分に耐えられるはずだったのである。

事故後に行われた経済産業省の現地調査によって、土台部分のコンクリートをつなぐ鉄筋が何らかの理由で破断していることが判明した。なぜ破断したのかなど、今後の詳しい調査が待たれている。

事故後の経済産業省の対応

経済産業省によると、風力発電設備の支柱が倒壊する事故は過去に沖縄で2件、青森で1件起こっている。倒壊した原因は、想定を超える強風や故障による風車の回転制御不能であった。

経済産業省では今回の倒壊の原因解明を急ぐとともに、2018年8月27日付で全国の風力発電設備設置者に緊急の安全確認を指示した。

風力発電事故後の対応

指示の内容は次の3つである。

・技術基準への適合性
風力発電設備の技術基準への適合性を再確認し、不適合の場合は適切な処置を行うことと産業保安監督部へ報告すること。

・安全対策の徹底
台風の接近時における安全対策の徹底、停電時でも羽の角度を変えて風を逃がせるようにするための予備電源の設置、倒壊に備えて周辺への立ち入り防止対策を行うこと。

・健全性の確認
各種点検の際には設備全体の健全性の確認を徹底すること、運転開始から10年以上経過した風力発電設備に関しては特に入念に点検を行うこと。

さらに、9月18日付で基礎の構造が経済産業省が示す構造に該当しているかを速やかに報告する旨が指示された。これは、今回の事故原因について調査中ではあるが、基礎の構造等に起因する可能性が高いためである。

淡路島の風力発電事情

兵庫県の淡路島には、島内6カ所に20基以上もの風力発電設備が設置されている。この背景には、兵庫県、洲本市、南あわじ市、淡路市が一緒になって取り組んでいる「あわじ環境未来島構想」がある。

あわじ環境未来島構想で取り組みの3本柱としているのが、「暮らしの持続」「エネルギーの持続」「農と食の持続」だ。エネルギーの持続については、地域資源を生かした再生可能エネルギーのベストミックスを理念に掲げ、2050年の電力自給率100%を目標にしている。風力発電設備もこれに沿って設置されたもので、いずれも2002年以降に稼働を開始している。

淡路市では2012年12月20日から淡路風力発電所が運転を開始し、6基の風力発電設備によって年間約2000万kWhの電力が発電されている。これは一般家庭約6500世帯分の年間電気使用量に相当する電力量である。

日本における風力発電普及の現状

日本の風力発電普及には

再生可能エネルギーには、太陽光発電や風力発電、地熱発電、バイオマス発電などがある。世界的には風力発電が主力で、2015年のIAEのデータによると、約49%が風力、約25%がバイオマス、約14%が太陽光となっている。

設備容量の世界1位は中国で18万8232MW、2位が米国の8万9077MW、3位がドイツの5万6132MW、4位がインドの3万2848MW、5位がスペインの2万3170MWとつづく。

一方の日本は再生可能エネルギーといえば太陽光発電が主力で、風力発電の普及はあまり進んでいない。

新エネルギー・産業情報開発機構の資料によると、2017年度の日本の風力発電設備の導入量は、設置基数が2253基、設備容量が350万kWとなっている。この数字は世界的にみると19位という順位で、中国や欧米に比べるとかなり低いものだ。

日本も2004年時点では風力発電先進国で、イギリスに次いで8位に位置していた。しかし、その後は欧米や中国に比べると新規の設置が進まずに、どんどん順位を落としているのだ。現在は、人口大国であるインドやブラジル、トルコ、南アフリカなども積極的に風力発電に取り組んでいる。

日本で風力発電の設置が進まない理由

日本で風力発電が進まない理由として、設備を設置するための費用が高いことが挙げられるだろう。太陽光発電などと比べると、どうしても大規模な設備となるため高額な設置費用が必要だ。

風が吹かないと発電することができないため、役に立たないというデメリットもある。また、台風などによる強風時も事故を防ぐために羽の回転を停止させなければならず、その間は発電できない。

たとえば、風力発電が普及しているヨーロッパでは偏西風が吹いているので、安定的に電力を得ることが可能だ。しかし、日本では海沿いの、それも一部でしか年間を通して安定的な風は吹かないといわれている。

風力発電設備を設置する際には、風切り音が発生するため周囲への騒音対策も必要である。そのため、国土の狭い日本では設置できる場所はかなり限定的になることもあり、風力発電の普及が進んでいない。

また、風力発電設備は太陽光発電と比べると動力部分が多いため、十分なメンテナンスを行う必要があるというのも設置が進まない理由だろう。

風力発電の普及には一層の事故対策が重要

世界的にみると日本の風力発電設備の設置は遅れているため、今後普及させることが大切だ。しかし、今回のように台風時に事故が起こってしまうようでは本末転倒だろう。これから風力発電の普及促進をしていくうえで、しっかりとした安全対策を行うことが大切だ。

風力発電設備は動力部分が多いため、どうしても故障や破損のリスクがある。京都や三重、北海道などでは羽が落ちるなどの事故も起こっている。日本は落雷が多いため、落雷による被害の可能性も否定できない。

もし、風力発電設備に落雷すれば羽の交換が必要な場合もある。羽の交換などは高所での作業となるため簡単にはできず、修理費用も高額になりがちだ。

このような被害を保障してくれる風力発電用の保険もある。万一の事態に備えて保険に加入しておくのが有効である。

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