長期未稼働案件にFIT価格引き下げ

太陽光発電の長期未稼働案件の売電価格(買取価格、調達価格)が引き下げられることになった。

対象となるのは、10kW以上の産業用太陽光発電の未稼働案件だ。1年程度の未稼働案件へのペナルティはない。制度の改正内容や買取価格減額を回避するためのポイントを解説していこう。

さらに、制度改正後に好条件で太陽光発電投資を始めるにはどのようにするべきなのかを紹介する。

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長期未稼働案件に課せられるペナルティとは

FIT制度による売電権利を取得していながら、発電設備を設置しないでおく「長期未稼働案件」の売電価格が引き下げられることが決まった。

固定価格買取制度(FIT制度)は、電力会社が電力を固定価格で買い取ることを国が約束するものである。これまでの制度上、FIT価格の認定から稼働開始までは時間をおける仕組みになっており、安価な発電設備を高額な売電価格で稼働させて大きな利潤を追えるようになっていた。

こうした案件が再エネ賦課金の国民負担を増やし、系統に接続できる容量を圧迫しているなどと問題視された結果、認定取得済の一部案件についてFIT価格(買取価格、売電価格)を引き下げる措置に至ったという。

JPEAの調査によると、今回の制度変更で売電価格が切り下げられる見込みの太陽光発電は113件あるという。対象者と、その影響を見ていこう。

なお、10kW未満の住宅用太陽光発電と、すでに発電所が稼働している10kW以上の太陽光発電は対象外だ。

売電価格引き下げ対象となる案件と引き下げ額

ペナルティ対象の長期未稼働案件

売電価格が引き下げられる対象は、以下の条件に当てはまるものである。

  • 2012年度〜2014年に認定を受けた産業用太陽光発電(FIT価格40円〜32円)のうち、運転開始期限を設定していないもの
  • 系統連系工事の着工申し込みが期限までに受領されなかった案件

従来の売電価格を維持するには、開発工事に本格的に着手していることが公的に確認できる状況にしなければならない。送配電事業者に対し、系統連系工事着工申込みが、不備なく受領されているなどの状況だ。

系統連系工事の着工申し込み期限は、発電設備の規模等によって異なる。

FIT価格引き下げを決める着工申込期限http://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181205004/1812005004-2.pdf

引き下げの対象となる未稼働案件については、系統連系工事の着工申し込みを受領した日から2年前の買取価格が適用される。

FIT価格引き下げイメージhttp://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181205004/1812005004-1.pdf

例えば、2012年に認定を取得しても、2019年度中に受領された場合は2017年度の買取価格になる。この場合、買取価格は40円から21円に引き下げられるということだ。

売電価格引き下げを回避するには?着工申し込みの受領日がポイント

FIT価格引き下げを回避する方法

2012年~2014年度に認定を受け、太陽光発電設備が未稼働となっている場合、売電価格の引き下げを回避するにはどうすればいいのだろう。

認定年度の売電価格が適用となるには、定められた期限までに運転開始準備に入る必要がある。運転開始準備は、送配電事業者が発電事業者から系統連系工事の着工申し込みを受領した日が基準とされる。

系統連系工事着工申し込みにあたっては、林地開発の許認可などをあらかじめ得ておかなければならない。案件によっては猶予が全くないか、すでに間に合わないケースも有り得るため、高額なFIT価格が適用される案件の投資には注意が必要だ。

FIT価格の引き下げにより売電収入にはどのくらい影響が出るのか

今回のペナルティを受けた場合、売電収入にどのくらいの影響がでるのか見てみよう。売電収入は、売電量に経済産業省が発表する売電価格をかけて計算する。

例えば、2018年度に着工し、2年前(2016年度)のFIT単価が適用されたケースで計算すると以下のようになる。結論を言ってしまえば、売電価格が減額された場合には年間6万8400円の差が出ることが分かる。事業への影響は甚大だ。

1万1400kWh(売電量)×24円(売電価格)=27万3600円

一方、2018年度の単価が適用された場合の売電収入は、次のとおりだ。

1万1400kWh(売電量)×18円(売電価格)=20万5200円

着工申込みまでなら、太陽光パネルを安いものに変える手続きが比較的容易である。設備費用を減らして、事業へのインパクトを低減するしかない。

FIT価格はどのように決められていたのか

FIT制度は、一定期間固定価格で電力を買い取り続けるという約束が最大の魅力だった。今後、このような後出しのルール変更が頻発してしまう可能性はないだろうか。FITの価格の根拠から見ていこう。

FIT価格は認定時の設備購入費や工事費用、維持費などを基に決められている。FIT制度導入時は太陽光発電の事例が少なかったため、スケールメリットが働く余地があった。発電設備が増加すれば設備購入費と工事費用は下落する。

つまり、それに伴いFIT価格も見直されることになるのだ。1年ごとにFITが安くなるのはそのためである。

しかし、FIT制度は認定を受けた時点での売電価格が長期間保持されることを約束するものであった。今回のように、FIT認定を済ませた未稼働案件が売電価格を切り下げられるのはやはり異例のことなのである。

転売された高額FIT権を買うのは危険

FITの売電価格が下落するなか、警戒するべきは転売されている高額FITの権利だ。高額FIT権とは、売電価格が高い時期に取得したFIT認定のこと。FIT権利、売電権利、権利IDとも呼ばれる。

高額FIT権の転売は以前から行われてきたが、最近は落ち着いていた。しかし、今回の制度変更を受けて再び活発化する可能性もある。転売されたFIT権を買う場合にはリスクがあることを理解しよう。

転売されている高額FIT権が抱えるリスクは、土地の権利関係と、権利の売買関連だ。もともと、太陽光発電設備を認定する上で、土地の権利関係に関するチェックはきちんと機能していなかった。他者が保有する土地を無断でFIT認定したケースすらあり、そのような権利を入手したところで太陽光発電は稼働できない。

そもそも高額FIT権の案件が存在せず、手付金などを狙う詐欺の可能性もある。「割の良い案件なら、なぜ今まで稼働していなかったか」を注意深く見る必要があるだろう。むしろ、転売されている権利が抱えるリスクを考えれば、購入すべきではないとも言える。

すぐに始められるプレミアム投資物件を探す方法

太陽光発電で安定した収益を狙うなら、売電価格がキモだ。FITの申請を通し、制度で定められた準備期間を守らなければならない。

しかし、土地の調整などで予期せぬ出来事がおこる可能性も排除できない。土地の用意から始めて、自力で太陽光発電所を建てようとすると、そうしたリスクをすべて抱えなければならなくなる。

一方、土地つき太陽光発電は土地と発電機器をすべて揃い、系統連系(売電できるようにする)までのスケジュールが立っている状態で売られている。見通しの立たないことへの不安が小さく、投資を始める難易度が限りなく低いのだ。

さらに、タイナビ発電所は物件の掲載数が多いのが特徴である。売電単価での絞り込み検索に対応し、FIT価格引き下げ対象外の高額FIT物件もチャンスがある。タイナビ発電所で、すぐに始められる投資物件を探してみよう。

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