太陽光FIT申請の手順と書類

太陽光発電を始めるためには電力会社への申し込みだけではなく、別途多くの書類を用意して申請を行う必要がある。また、書類が多いだけでなく、複雑な申請手続きも済ませなければならない。

資源エネルギー庁は2018年8月、審査実態を踏まえてFIT制度に係る標準処理期間を見直した。太陽光発電の申請は2ヶ月〜3ヶ月かかる見通しとされたが、各々の手続きでつまづけばさらに長引いてしまうことだろう。

そこで、この記事では太陽光発電の申請を迷いなく行えるよう、必要書類や電子申請の手順について解説する。

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FIT法の設備認定の概要

まずは、太陽光発電の設備認定の概要について確認しておこう。

FIT認定を受けるには事業計画の認定が必要

従来では、固定価格買取(FIT)制度を利用して太陽光発電の余剰電力を売買するためには、発電設備の要件を満たし設備認定を受ける必要があった。

しかし、2016年4月からは、FIT認定を受けるための新しい要件が追加されている。変更内容を正しく認識しておこう。

加えられた要件は、事業計画に関するものである。これまでのように発電設備をチェックするだけでなく、事業計画についても審査される。

国は、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーの利用促進のために、確実性の高い事業計画を認定していく方向である。

事業計画を精査して、未稼働の太陽光発電設備を減らし、効率よく稼働させることが狙いだ。

事業計画認定を受ける際のポイント

太陽光発電の発電事業計画で認定を受けるために、押さえておくべきポイントがある。

認定を受けるには、FIT法改正の主たる目的である「再生可能エネルギーの利用促進」につながることが必要だ。そのためには、事業が確実に実施されることが見込まれる事業計画でなければならない。

設置する場所に対しては、地域ごとに定められた法令や条例、ガイドラインなどを守り、住民の事業への理解を得るために適切なコミュニケーションを取る必要がある。また、事業者が太陽光発電を安定、かつ効率的に発電できることも求められている。

長期に渡り運用する事業であるため、設備の適切な維持管理や保守点検を事業計画に盛り込むことは欠かせない。

事業計画の認定申請 全体の流れ

まずは、太陽光発電の申請の流れと必要書類について概要を説明する。

太陽光発電を開始するにはまず、経産省に対して「事業計画認定申請」を行わなければならない。事業計画書を経産省に提出し、申請内容を認めてもらわないと売電ができないためである。

事業計画認定の申請手続きに関する大まかな流れは、以下の通りだ。

1.事業計画認定申請書の作成

事業計画認定申請書に、発電所の規模や太陽光パネルの設置場所といった必要事項を記入する。

2.必要書類の添付・申請書類提出

必要書類を添付し、申請書類を提出する。設備規模、設置場所、申請者によって必要な書類が異なる点に注意が必要である。

3.設置者の承諾

申請が終わると、設置者のもとに確認のメールが届く。そこで承諾をすることにより、はじめて審査に進むことが可能となる。承諾をしないでいると審査が始まらないため、メールの確認を怠らないようにすべきである。

4.審査・認定

申請内容の審査が行われ、特に問題がなければ太陽光発電事業者として認定され、売電できるようになる。

なお、実際に売電を行うためには「電力会社との接続契約締結」が別途必要になる。申し込むタイミングについては認定前であれば特に決まりはなく、申請と同時に申し込むような形でも問題はない。

事業計画認定を申請するには?

事業計画認定の申請には、電子申請システムを利用して手続きをすることが可能である。ただし、太陽光発電の事業計画認定の申請方法には、50kW未満と50kW以上の設備で異なる点があるので注意したい。

太陽光発電設備が50kW未満のばあい

「再生可能エネルギー電子申請ホームページ」からWeb申請ができる。これは、事業者が直接または代行事業者に依頼して「代行申請機関」への手続きを行うと、経済産業局への申請が完了するシステムである。

太陽光発電設備が50kW以上のばあい

「再生可能エネルギー電子申請ホームページ」のWeb上で申請内容を入力したものを、いったん印刷する。申請内容をプリントアウトしたものを、経済産業局へ郵送または持参する。その後、経済産業局が申請内容を閲覧して確認する。

事業計画認定は、事業者が自分で申請手続きをする場合には費用はかからない。ただし、代行業者へ申請手続きを依頼する場合には、手数料が発生するため、事前に確認しておくといいだろう。

設備規模が10kW未満の申請に必要な書類

住宅用太陽光FIT申請の方法

設備規模が10kW未満の申請に必要な書類は以下の通りである。

1.土地の取得を証する書類

屋根でなく地面に立てる「野立て」で設置する場合には、土地の取得を証明する書類が必要となる。自己所有地であれば土地の登記謄本を提出することが求められる。他者所有地であれば土地の登記簿謄本と賃貸借契約書、または地上権設定契約書、または権利者の証明書が必要となる。

2.建物所有者の同意書類

屋根上に設置する場合は、建物所有者の同意書類が必要である。自己所有建物の場合は建物の登記謄本か、建築確認済証・売買契約書もしくは請負契約書、または土地の登記謄本を提出する。他者の所有する建物の場合は、建物の登記簿謄本と建物所有者の同意書、または建築確認済証と建物所有者の同意書が必要になってくる。

3.構造図、配線図

標準の構造図・配線図と異なる場合は、構造図や配線図も提出する必要がある。

4.接続の同意を証する書類の写し

電力会社から接続の同意があったことを証明する書類の写しが必要となる。例えば接続契約の締結を証明する書類(工事費負担金通知書、太陽光契約確認書など)、工事費負担金の請求書といったものがあてはまる。

5.委任状、印鑑証明

設置者本人ではなく、業者が代行で申請する場合には本人の委任状や印鑑証明も必要となる。

設備規模が10kW以上の申請に必要な書類

10kW以上太陽光のFIT申請手順

設備規模が10kW以上の申請に必要な書類は以下の通りである。

1.戸籍謄本または住民票

設置者の戸籍謄本または住民票が必要となる。

2.申請者の印鑑証明

3.土地の取得を証する書類

野立ての場合、自己所有地であれば土地の登記謄本。他者所有地であれば土地の登記謄本、賃貸借契約書・地上権設定契約書・権利者の証明書のいずれかが必要になる。

4.建物所有者の同意書類

屋根上に設置する場合は建物所有者の同意書類を準備する。自己所有の場合は建物の登記謄本、または建築確認済証・売買契約書・請負契約書、もしくは土地の登記謄本のいずれかを準備する。

他者所有の場合には、建物の登記簿謄本・建物所有者の同意書・所有者の印鑑証明、または建築確認済証・建物所有者の同意書・所有者の印鑑証明を用意しておく。

5.発電設備の内容を証する書類

太陽光パネルやパワーコンディショナーの仕様書が該当する。

6.構造図、配線図

標準の構造図・配線図と異なる場合のみ必要となる。

7.接続の同意を証する書類の写し

8.事業実施体制図

事業計画を実施するための事業体制(保守点検会社等の事業実施関連会社など)を明らかにする書類の添付が必要である。

9.関係法令手続状況報告書

事業を実施するために必要な、関係法令の手続状況が分かる書類も必要となる。

10.委任状

業者が代行で申請する場合、かつ設置者のメールアドレスがない場合には委任状が必要である。

太陽光発電の申請「新規事業計画」の電子申請手順

太陽光発電の申請は電子申請で行うのが一般的である。ここでは、具体的な電子申請の手順について解説する。

電子申請は、再生可能エネルギー電子申請ページから行うことが可能である。

まず、申請者が行う手続きから見ていこう。

  1. 「電子申請マイページ」にログインする。未登録の場合はまず「新規登録」を行ってから手続きに進む。
  2. メニューから「設備申請入力」をクリックする。
  3. 「発電設備区分」の中から該当するものを選択する。
  4. 各申請項目を入力する。
  5. 申請内容を確認し「保存して次へ進む」をクリックする。
  6. 必要書類の添付を行う。
  7. 申請が完了すると、申請IDが表示される。
  8. ※ 今後の手続きに必要となるため、この時点で忘れずに控えておく。

ここから先は、設置者が行う手続きだ。

  1. 申請が終了すると、あらかじめ登録した設置者のメールアドレスに承諾コードが届く。
  2. 承諾コードを入力し、内容に問題がなければ「承認」をクリックする。
  3. ※ 内容に間違いがあった場合には「拒否」をクリックして、修正しよう。

以上で審査前にやるべき手続きは終了となり、あとは認定が降りるのを待つのみとなる。

事業計画認定を受けるために必要な基準

事業計画認定を受けるために知っておきたい、具体的な基準について解説していく。

まず、発電設備には適切な保守点検や、メンテナンスを行う体制があることが求められている。設置時に機器に対する維持管理の計画を立てることで、長く運用していく見通しを持つことができる。

安定した発電量を確保するために、特定計量器を使って売電量を計測することも必要とされている。機器の不具合や発電量の低下などを早期に発見し対処するためには、発電性能を適正に計測することが欠かせないのだ。

また、太陽光パネルには、種類ごとに定められている規定の変換効率以上でなければならない。具体的には、シリコン単結晶やシリコン多結晶系の太陽光パネルは13.5%以上、シリコン薄膜系の太陽光パネルは7.0%以上、化合物系のパネルは8.0以上とされている。

事業計画の申請手続き時には、発電設備の型番などの具体的な記載も必要だ。そのため、申請準備の段階では、機器のメーカーや型番についても確認しておきたい。

平成29年のFIT法改正により追加された基準

平成29年4月、再生可能エネルギーのさらなる拡充と、再エネ賦課金による国民負担を抑制するため、改正FIT法が施行された。この改正で追加された基準について解説する。

長期間の事業計画

再生可能エネルギーの発電事業は、20年間という長期に渡る調達期間が定められている。そのため、「長期間の安定した発電事業が可能」と判断できるような事業計画が必要になるのだ。

保守点検と維持管理

長期に渡って安全に太陽光発電設備を運用するには、機器類のメンテナンス欠かせない。そのため、事業計画には、設備の適切な保守点検や維持管理ができる運用体制を明確に盛り込まなければならないとしている。

標識の掲示

20kW以上の太陽光発電設備の場合には、事業者情報を記載した標識を掲示しなければならない。これは、近隣の住民が見やすい場所に掲示し、責任の所在を明らかにすることで事業に対する不安へ対処するためである。

発電設備廃止に伴う取り扱い

事業計画には、発電設備を廃止する際に機器を撤去する内容も記載する必要がある。リサイクルやリユース、廃棄といった設備の処分方法や費用について、発電事業を廃止する際の取り扱い計画が明確でなければならない。

3年以内の運転開始計画

10kW以上の太陽光発電に関しては、事業計画認定後3年以内に運転開始が可能な計画であることが定められた。

運転開始が遅れた場合、事業計画時の買取価格で想定した事業コストが年々下がっていく。そのため、事業者が高いFIT価格を持ったまま、抵コストで事業を行うのを避ける必要がある。

法令の遵守

再生可能エネルギー発電事業には、関連する法令や条例の規定があり、事業者はこれを遵守しなければならない。設備の設計時には「電気事業法」、設置する際には「建築基準法」などがある。

太陽光発電に関する法令は多岐に渡るため、遵守すべき法令・条例については、設置する自治体に問い合わせて確認する必要がある。

接続契約の締結

改正前のFIT制度では、太陽光発電設備の設置後に送配電業者と接続契約を締結することが認められていた。しかし、改正後の事業計画認定制度では締結後に申請することが基準となったため、事前に接続契約を締結しておかなければならない。

事業計画認定の手続きに関する注意点

事業計画認定の手続きは、正しく行わないと認定されない。予定通りに進められるよう、手続き時の注意点を確認しておこう。

事業計画認定には2カ月以上かかることもある

通常の場合では、事業計画認定には1~2カ月程度かかると考えられる。しかし、認定手続きや審査が複雑になったため、認定されるまで2カ月以上かかるケースも多い。

改正前の設備認定では発電設備だけで申請できたが、改正後は事業者や土地などに関する確認事項も増えたからである。

さらに、申請内容に不備があれば、指摘された箇所の補正が必要になる。そうなれば、認定までの期間がさらに長引くだろう。できるだけ早めに事業計画を作成し申請しておきたい。

事業計画認定には申請期限があることにも注意

買取価格が下がらないうちに認定を受けたいという申請者が多く、事業計画認定の申請は、年度末に集中していた。そのため、2018年度からは、年度内に申請期限が設けられた。

もし、期限を過ぎてから申請した場合、年度内の案件として認定が受けられず、次年度のFIT価格が適用されることになる。

申請内容に不備があり補正依頼があった場合にも「補正期限」が設けられているため、期限内に再申請しなければならない。補正依頼の可能性も視野に入れて、早めに申請すると安心だ。

事業計画認定の変更のしかた

事業計画認定を受けられたあとも、事業計画の内容に変更があった場合はその都度変更手続きが必要だ。ここでは、事業計画の変更手続きの方法について説明する。

事業計画の変更手続き

変更手続きには「変更認定申請」「事前変更届出」「事後変更届出」の3種類がある。

事業計画に大幅な変更がある場合は、「変更認定申請」を行う。軽微な変更の場合は、「事前変更届出」または「事後変更届出」により変更手続きを行う。

変更内容によっては調達価格が変わることもあるため、事前に確認しておきたい。

変更認定申請が必要な大幅な事業計画の変更例

発電設備の区分変更、移設に伴う設置場所の変更、事業譲渡などが挙げられる。

軽微な変更に該当する変更内容

社名変更や相続、接続契約締結先の変更などである。事前変更届出や事後変更届出をする。

事業計画認定の変更手続き方法

事業計画認定の変更手続きは、50kW未満の場合「固定価格買取制度 再生可能エネルギー電子申請」から行う。

手続きがweb上で完結するため、準備ができたらすぐに申請しておきたい。

50kW以上の場合は、必要な書類を用意してから、発電所がある都道府県を管轄する経済産業局へ郵送で申請する。変更の申請をしてから認定されるまでには3カ月程度かかるため、早めに進めることが大切だ。

事業計画認定の変更手続きが受理されれば、経済産業局から「変更認定通知書」または「受理印が捺印された届出書」が郵送される。

1日でも早く売電するため!太陽光発電の申請は正確に

今回のコラムで紹介してきた通り、太陽光発電の申請は必要書類も多く、また申請方法も複雑である。

また電子申請では入力した内容に不備があったとしても、後から編集できない仕組みになっている。万が一入力内容に誤りがあった場合には、設置者に内容を拒否してもらうか、問い合わせ窓口に電話して修正できるようにしてもらうなど、余計な手間がかかってしまう。

太陽光発電の申請から認定まではもともと時間のかかる手続きだが、申請数の増加に伴い、審査が終わるまでの期間がさらに長期化している傾向にある。申請から認定までに3~6カ月かかってしまうことも珍しくない。

入力内容や書類の不備などのミスがあれば、さらに時間がかかることが予想される。

太陽光発電の買取価格や関連制度は毎年のように変更があるため、現在の買取価格や太陽光発電関連の補助金が来年度以降も続くかは不透明な状況と言える。つまりは、太陽光発電を始めると決めたら、1日でも早く始めたほうが有利になるだろう。

そして、差し戻しを防ぐために、各手続きを慎重に確認することが重要だ。

せっかくの太陽光発電、なるべく有利な状況で始めたいものだ。単純なミスでタイムロスをしないよう、正確な申請を心がけるべきである。

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