老後の生活資金について考えた際、「公的年金だけで足りるかな?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。快適な老後を過ごしたいなら多少の経済的ゆとりは不可欠です。必要最小限の生活費のほか、趣味や娯楽にかける費用も欲しいというのが本音でしょう。
しかし、こうしたゆとりある老後の生活は、残念ながら公的年金や企業年金だけでは叶えられない可能性が高いです。そこで、考えたいのが、自力で年金を準備する「自分年金」です。
ここでは、「自分年金」とは何なのか、さらに各保険会社の提供する年金保険の特徴について解説します。
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自分年金とは?
自分年金とは、預金・株式・債券・投資信託・保険などの金融商品を利用し、自分で準備した老後の生活費のことをいいます。
これまで日本では、主に国や企業の提供する「公的年金」「企業年金」が、高齢者のセカンドライフを支えてきました。しかし、現代の日本では少子高齢化により、働く世代が減る一方、年金受給者は増え続けています。そのため、従来の年金制度では老後資金をまかなえるか心もとない、というのが現状です。
したがって、充実したセカンドライフを送るためにも、今の現役世代には「公的年金」「企業年金」に加え、自分自身で年金を準備する「自分年金」が必要とされる時代になっているといえるでしょう。
個人年金の種類とそれぞれの特徴
自分年金を準備する方法はいくつか考えられますが、その1つが個人年金保険への加入です。ここでは、個人年金の種類・特徴について、受け取り方法の違いに着目して説明します。
保証期間付終身年金
被保険者が一生涯受け取れる年金のことを終身年金といいます。終身年金にはいくつかタイプがありますが、そのうち一定期間確実に年金を受け取れるのが保証期間付終身年金です。
保証期間終身年金では、支給開始から一定期間(保証期間)は、被保険者(=受取人)の生死にかかわらず年金が受け取れます。また、保証期間終了後は被保険者(=受取人)が生存している限り支給されます。
たとえば、10年の保証期間付終身年金の場合、5年間年金を受け取ったのちに受取人が死亡したときには、残りの5年分の年金は遺族が分割もしくは一括で受け取ることが可能です。
確定年金
確定年金は、ある特定の期間に年金を受け取れるタイプの個人年金保険です。
確定年金の特徴は、契約時に定めた一定期間(支給開始から10年・20年など)、被保険者(=受取人)の生死にかかわらず年金が受け取れる点にあります。たとえ年金を受け取っている期間中に被保険者が死亡した場合でも、遺族が残りの期間の年金を継続して(または一括で)受け取ることができるのです。
その代わり、被保険者が生きている限り一生涯保障が続くというタイプの年金ではないため、一定期間が過ぎた時点で年金の支給はストップしてしまいます。
保証期間付有期年金
有期年金とは、年金の支払期間があらかじめ決められており、かつ被保険者が生存している間のみ支払われるタイプの個人年金保険です。
そのうち、保証期間付有期年金は保証期間があり、保証期間中は被保険者(=受取人)の生死にかかわらず年金が受け取れます。また、被保険者が死亡した場合は、遺族が残りの保証期間分の年金を分割、または一括で受け取ることができます。
そして、保証期間終了後は、契約時に定めた一定期間(10年、20年など)、被保険者が生存している限り年金が受け取れるのです。こうした特徴を持つ保障期間付有期年金は、「保証期間付終身年金」と「確定年金」の中間的な存在の商品といえるでしょう。
夫婦年金
夫婦年金とは、戸籍上の夫と妻のどちらか(あるいは両方)が生存している限り、年金を受け取れるタイプの個人年金保険です。つまり、夫婦二人が被保険者となる個人年金保険です。
夫婦年金については、最初に「保証期間付終身年金」や「確定年金」で契約して、年金受取時に夫婦年金に変更するタイプが主流となっています。ただし、夫婦年金の取り扱いなどについては保険会社によって異なります。
最初から夫婦年金で加入する必要があったり、変更ができなかったりすることもあるので、加入前の確認は必須といえるでしょう。
また、補償内容が保険会社によってまちまちである点にも注意しましょう。夫婦二人とも生存している状態で受け取る年金額と、どちらか一人が亡くなって、一人で受け取る年金額が「同額のもの」と「減額されるもの(夫婦二人生存の場合の70%など)」があります。
代表的な個人年金の事例
この段落では、各保険会社が提供する代表的な個人年金を紹介します。それぞれの特徴を知り、実際に加入を検討する際の参考にしてください。
住友生命「たのしみワンダフル」
【基本情報】
契約可能年齢 | 0~75歳 |
---|---|
支払回数 | 月払い、半年払い、年払い |
支払方法 | 口座振替、クレジットカード払い |
年間受給回数 | 1回、2回、4回、6回、12回 |
保証内容 | 5年・10年・15年確定年金 |
主な特約 | 指定代理請求特約 |
その他 | 保険料割引制度「たのしみランク」があり、保険料の支払いが月15000円を超えると受取率が上がります。 |
【契約例】
- 10年確定年金・60歳払込満了・65歳年金開始・「たのしみランク」適用 【男性】
契約年齢 | 月払保険料 | 払込保険料総額 | 一括受取率 | 基本年金額 | 年金受取総額 | 年金受取率 |
---|---|---|---|---|---|---|
20歳 | 1.5万円 | 720万円 | 約106.1% | 77.88万円 | 778.8万円 | 約108.1% |
30歳 | 1.5万円 | 540万円 | 約104.3% | 57.41万円 | 574.1万円 | 約106.3% |
40歳 | 1.5万円 | 360万円 | 約102.9% | 37.79万円 | 377.9万円 | 約104.9% |
【契約例】
- 10年確定年金・60歳払込満了・65歳年金開始・「たのしみランク」適用 【女性】
契約年齢 | 月払保険料 | 払込保険料総額 | 一括受取率 | 基本年金額 | 年金受取総額 | 年金受取率 |
---|---|---|---|---|---|---|
20歳 | 1.5万円 | 720万円 | 約106.1% | 77.88万円 | 778.8万円 | 約108.1% |
30歳 | 1.5万円 | 540万円 | 約104.3% | 57.42万円 | 574.2万円 | 約106.3% |
40歳 | 1.5万円 | 360万円 | 約103.0% | 37.80万円 | 378.0万円 | 約105.0% |
【総評】
住友生命の個人年金保険「たのしみワンダフル」は保険料払込満了後、据置期間を設けることで年金額を増額できるのが特徴です。
一般的に、個人年金保険は高年齢で契約すると運用期間が短くなり、返戻率が低くなってしまいます。しかし、この商品はすぐに年金を受け取らないことで返戻率を高くすることができます。
ただし、高度障害状態、障害状態による保険金の支払いや、保険料払込免除はない点には注意が必要です。
明治安田生命「年金かけはし」
【基本情報】
契約可能年齢 | 0~70歳 |
---|---|
支払回数 | 月払い、年払い |
支払方法 | 口座振替 |
保証内容 | 5年・10年確定年金 |
主な特約 | 個人年金保険料税制適格特約など |
【契約例】
- 10年確定年金、据置期間なし【男性】
契約者 | 年金開始年齢 | 月払保険料 | 払込総額 | 年金累計受取額 | 年金累計受取額 |
---|---|---|---|---|---|
20歳 | 60歳 | 2万円 | 960万円 | 約1,020万円 | 106.30% |
30歳 | 65歳 | 2万円 | 840万円 | 約883万円 | 105.20% |
40歳 | 65歳 | 2万円 | 600万円 | 約618万円 | 103.00% |
- 10年確定年金、据置期間なし【女性】
契約者 | 年金開始年齢 | 月払保険料 | 払込総額 | 年金累計受取額 | 年金累計受取額 |
---|---|---|---|---|---|
20歳 | 60歳 | 2万円 | 960万円 | 約1,020万円 | 106.30% |
30歳 | 65歳 | 2万円 | 840万円 | 約883万円 | 105.20% |
40歳 | 65歳 | 2万円 | 600万円 | 約618万円 | 103.00% |
【総評】
保険料払込完了後、1~5年の据置期間を設定すると返戻率が高くなる商品です。
保険料払込期間中の死亡保障は押さえられている代わり、医師の診査や健康状態の告知が不要なのがメリットです。持病がある人、健康状態に不安がある人でも契約できます。ただし、保険料払込期間中に障害状態になっても、保険料払込免除のしくみがない点には要注意です。
また、所得税の申告時に「個人年金保険料控除」を受けたい人は、控除を受けるために一定の要件を満たす必要があり、そのためにも「個人年金保険料税制適格特約」を付けなければなりません。その場合、契約内容に条件や制限が出てくることに注意しましょう。
太陽生命「保険の組曲Best 100歳時代年金」
【基本情報】
おすすめ対象年齢 | 50~65歳 |
---|---|
支払方法 | 口座振替 |
保証内容 | 終身生活介護年金保険(所定の介護状態になったときに年金を受け取れることができます)+長寿生存年金保険(5年間保証期間付終身年金) |
【契約例】
- 保険料払込期間75歳まで
- 終身生活介護年金保険〔Ⅰ型〕の保険期間:終身
- 長寿生存年金保険は支払保証期間付終身年金
状態 | 適用保険 | 受取額 |
---|---|---|
公的介護保険制度の要介護2以上
もしくは、当社所定の要生活介護状態が180日継続したとき |
終身生活介護年金保険〔Ⅰ型〕 | (一生涯)毎年48万円
支払保証期間:5年間 |
年金支払開始日(75歳)に生存しているとき | 長寿生存年金保険 | (一生涯)毎年24万円
支払保証期間:5年 |
保険料例【男性】
年齢 | 口座月払保険料 | 割引前保険料 | 保険料割引 |
---|---|---|---|
50歳 | 17,378円 | 18,389円 | 1,011円 |
55歳 | 22,077円 | 23,402円 | 1,325円 |
60歳 | 29,557円 | 31,444円 | 1,887円 |
65歳 | 45,198円 | 48,082円 | 2,884円 |
保険料例【女性】
年齢 | 口座月払保険料 | 割引前保険料 | 保険料割引 |
---|---|---|---|
50歳 | 24,002円 | 18,389円 | 1,011円 |
55歳 | 30,457円 | 23,402円 | 1,325円 |
60歳 | 40,951円 | 31,444円 | 1,887円 |
65歳 | 62,642円 | 66,621円 | 3,979円 |
【総評】
太陽生命の「保険の組曲Best 100歳時代年金」は個人年金保険だけでなく、様々な主契約と特約を組み合わせて必要な保障や年金を確保できる点が特徴です。
死亡保障は行わず、解約払戻金を低く設定することで、受け取る年金額を増やすことができます。また、終身年金であり、長生きするほどお得になるのもポイントです。
個人年金だけではなく、医療、介護、就労不能などの保障も合わせて考えたい人におすすめの保険といえるでしょう。
ソニー生命「個人年金保険」
【基本情報】
契約可能年齢 | 15~60歳(契約内容によって異なります) |
---|---|
支払回数 | 月払い、半年払い、年払い |
支払方法 | 口座振替・カード払い |
保証内容 | 5年・10年・15年確定年金、保証期間付終身年金(5年・10年) |
主な特約 | 5年ごと利差配当付き年金支払特約、個人年金保険料税制適格特約 |
【契約例】
被保険者 | 35歳 |
---|---|
年金額 | 100万円/年 |
年金の種類 | 確定年金 |
年金支払期間 | 10年 |
年金支払開始年齢 | 60歳 |
保険料払込期間 | 60歳まで(25年) |
月払い保険料 | 男性:32,010円 女性:31,990円 |
総支払保険料 | 男性:9,603,000円
女性:9,597,000円 |
返戻率 | 男性:104.1%
女性:104.2% (増額年金、増加年金分は含みません) |
60歳から70歳の受取額 | 1年あたり 100万円+年金支払開始日以前の積立配当金による増額年金 |
65歳から70歳の受取額 | 1年あたり 100万円+年金支払開始日以前の積立配当金による増額年金 +年金支払開始日後の配当金による増加年金 |
【総評】
ソニー生命の個人年金保険は、契約者貸付があるのが特徴です。年金支払日前であれば、解約返戻金の範囲内で貸付を受けることができ、一時的にお金が必要になったときも解約せずにお金を準備することができます。
契約時は面談が必要なので手軽さはありませんが、その代わりオーダーメイドのように細やかな相談ができます。
なお、所定の要件を満たし、個人年金保険料的確特約を付加すると「個人年金保険料控除」の対象となります。その場合、支払った保険料の分が所得控除の対象になります。
自分年金は返戻率からチェックしましょう
自分年金(個人年金)を選ぶなら、返戻率を念頭において商品を比較検討することをおすすめします。
返戻率は「受取総額÷総支払保険料」で求められます。返戻率が100%を超える場合は積立金が支払った保険料から増えたということ、逆に100%を割り込んだ場合は元本割れを意味します。
それぞれの商品の返戻率も考え、自分にとってもっとも有利と思える商品を選んでいきましょう。
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