過積載のメリット・デメリット・リスクとは

一般的に過積載と言えば、貨物車が規定重量を超える荷を載せることをイメージするだろう。これは法で規制されるようにリスクが高く、危険な行為だ。

一方、太陽光発電において、過積載は違法性のある行為ではない。むしろ、経済産業省も推奨するテクニックなのだ。投資家にとってもメリットがあるどころか、買取価格が下がった今となっては不可欠とすら言える。

今回は、投資用の太陽光発電における過積載についてメリットやデメリット、リスクについて解説する。特にリスクを無視すると、20年間にわたる収入への悪影響が出かねない問題になる。過積載について正しい知識を持ち、リスクを避けながら太陽光発電で利益を上げる方法について見ていこう。

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太陽光発電の「過積載」とは

太陽光発電における過積載とは、発電システムの設計に関する話だ。過積載について説明する前に、太陽光発電の仕組みについて振り返ってみよう。

太陽光発電を大雑把に表すと、ソーラーパネルで電気エネルギーを作り、パワーコンディショナーで電気を電力会社に売れる形に整える。

ソーラーパネルが出力できる電力量(設置容量)と、パワーコンディショナーが出力できる電力量(定格出力)は異なる。パワーコンディショナーの定格出力が少なければ、ソーラーパネルが出力した電力のうち、電力会社に売れずに捨てられる(ピークカットされる)ものが出てくる。

逆に、ソーラーパネルの設置容量を少なくしても、パワーコンディショナーの出力を持て余してしまうのだ。

パワーコンディショナーの定格出力とソーラーパネルの設置容量を揃えても、設備利用率の観点でムダが多い。では、どのようにすれば設備投資の費用に対するリターンを増やすことができるだろうか?

多くの事業者は、ソーラーパネルの設置容量を、パワーコンディショナーの定格出力を上回るように設計することを選んだ。これが、太陽光発電における「過積載」である。パワーコンディショナーの定格出力よりも多くソーラーパネルを設置し、ピークカットしながらでも発電させるほうが、多くの利益につながるという実績が出ているのだ。

太陽光発電の過積載の有無で、発電量にどのような違いが出るか見てみよう。

ピークカットライン(パワコン容量)

上の図は、過積載をした太陽光発電と、過積載をしない場合の発電量のイメージだ。

発電量が最大になる昼間にはピークカットが発生するが、朝と夕方の発電量がそれ以上に増えていることがお分かりいただけるだろうか。

ソーラーパネルの発電量は、日照量や気温、設置角度など、様々な要因に左右される。時間帯や天気、季節によって、その日の最大発電量が変わるのだ。ただし、最大出力が発揮できるのは、特定時期の限られた時間帯だけである。

過積載をしない場合、1年のほとんどの時間でピークカットラインを下回る。つまり、パワーコンディショナーの性能を持て余すということだ。これは、設備利用率(発電設備の最大出力値に対する、実際の発電量の比率)が低くなる要因になる。

設備利用率が低いことは、発電設備の性能を利用しきれていないということだ。発電設備の使い方が非効率的だとも言えるだろう。

パワーコンディショナーとソーラーパネル、多く設置すると得するのか。多くの事業者が試行錯誤した結果、ソーラーパネルを多く設置するほうが経済的にメリットがあると認める事業者が続々と現れた。

こうして、パワーコンディショナーの定格力よりもソーラーパネルを多く設置する、太陽光発電の過積載がメジャーになったのだ。

過積載のメリット・デメリット

太陽光発電の過積載について、メリットとデメリットをまとめると、以下のとおりだ。

過積載のメリット

  • 全体的な発電量が増えて収益が上がる
  • 設備利用率が上がる

過積載のデメリット

  • ソーラーパネルの購入費用が増える
  • ピークカットで発電した電力を捨てることになる

ソーラーパネルは、過積載すればするほど儲かるものではない。パネルの購入費用が増えるのだ。ソーラーパネルは世界的な太陽光発電の普及に伴い、著しく値下がりしている。特に海外メーカーが安く、発電効率を向上させている。

なによりも、購入費用が増える以上に利益が出れば問題ない。そのために、ソーラーパネルの価格と性能の見極めが必要だ。太陽光発電システムにかける費用対効果を最大限に高めるための、緻密なシミュレーションと設計力が重要なのである。

過積載のリスク

過積載の太陽光発電を設置するとき、気をつけなければならないポイントがある。これに該当してしまうと事業計画が大幅に狂い、当初の予定より利益が少なくなるだろう。過積載のリスクは知識があれば絶対に避けられることなので、ぜひ知っておこう。

  • パワーコンディショナーによっては保証対象外になる
  • FIT認定後に過積載率を大きく変えるとペナルティがある

パワーコンディショナーは基本的に、10年前後のメーカー保証がある。しかし、パワーコンディショナーは、過積載への保証を曖昧にしてきた。

過積載がメジャーになった現在、主要なパワーコンディショナーは、過積載への保証に関する姿勢を明確にしている。もちろん、保証範囲内にできるソーラーパネルの接続量には限度がある。太陽光発電を設計するときは、パワーコンディショナーの仕様を確認するべきだ。

さらに、FIT認定を取得した後にも気をつけなければならないことがある。2017年に加わった制度なので、詳しく解説していこう。

認定取得後にパネルを増やすと買取価格にペナルティ

2017年の改正FIT以降、FIT認定を取得した後にソーラーパネル容量を「3%以上もしくは3kW以上の増設、あるいは20%以上の減設」すると、買取価格にペナルティが付くようになった。ペナルティの内容は、太陽光発電の規模により異なる。

10kW以上2MW未満の太陽光発電へのペナルティ

「買取価格が最新の単価に変更される」ので、タイミングが悪ければ売電価格が下がる。

2MW以上の太陽光発電へのペナルティ

2MW以上の太陽光発電は入札制度の対象だ。落札された太陽光発電へのペナルティは「落札者決定が取り消され、2次保証金が没収」される。

いずれにしても20年間の売電収入にダイレクトに影響するので、投資計画そのものを見直す必要もでてくるだろう。

これについては、2つの対応策がある。

  • 20%割増のパネル容量で申請しておき、積みきれなかった分を手続きで減らす(20%以内の減少はペナルティ対象外)
  • 太陽光発電を増設したいときは新規認定で対応する

太陽光発電の設計やFIT認定の手続きを自力でするときは、十分に用心する必要がある。太陽光発電の稼働後にソーラーパネルを交換するなど、イレギュラーへの対応が引っかかりやすいタイミングだろう。

経済産業省は、過積載そのものは禁止していない。むしろ過積載を推奨している立場だが、再エネ賦課金による国民負担の軽減を求められている。高額なFIT価格で認定を取得した過去の設備に対して、現代の安価になったソーラーパネルで過積載率を増やされるのを問題視しているのだ。

投資家からすれば、売電収入に直接影響が出るので、絶対に避けたいリスクである。

過積載のリスク対策をして太陽光発電投資を始める方法

施工店が設計から認定取得まで行うなら、知識や経験があるので任せる姿勢で良い。

リスクを避ければ、過積載で不利になる要素はほとんどない。利益が目的の太陽光発電なら、過積載の物件や設計で検討するべきだ。

ただし、やみくもにソーラーパネルを増やせば儲かる、という話ではない。ソーラーパネルとパワーコンディショナーの割合と、かかるコスト、発電量の増加などを加味した利回りが重要だ。

タイナビ発電所では、過積載を前提に太陽光発電の設計が決まっている投資物件を数多く紹介している。全物件で設置するソーラーパネルとパワーコンディショナーを公表しているので、投資用太陽光発電がどれほど過積載しているのかの参考になるはずだ。

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