4月以降は電圧フリッカー対策機能付パワコンしか電力会社が接続を認めません。
オムロン・安川電機・田淵・ファーウェイなどは対応確認済みです。
※交換時は必ずプロのパワコン交換専門販売店に確認するようにお願いします。
太陽光発電所で発電に欠かせない機器といえば、太陽光パネルで発電した直流電気を交流に切り替えるパワコンディショナーです。
既に2012年7月にFIT制度がスタートしてから産業用太陽光発電所も爆発的に増えて、売電を開始してから10年目を迎える発電所も増えてきました。
一般的にパワーコンディショナーは10年~12年で故障して交換が必要と言われており、パワコンの交換費用は必ず必要です。
2024年8月現在は、パワコンメーカーの中には倒産・撤退・製造中止となっているものもあり、どこのメーカーにするべきか?悩んでいる投資家さんも多数いるでしょう。
そこで、4社のパワコンメーカーについて、特徴の解説や比較をしました。
本記事では、パワーコンディショナーを交換するタイミングや新たな制度(出力制御)だけでなく、交換すべきパワコンメーカーを特徴・価格観点から選べるように紹介していきます。
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パワコン交換市場について
パワーコンディショナーは、全量固定買取制度(売電期間:20年間)を活用して発電所を保有する発電事業者が、20年間の売電期間中に交換しないと故障により売電が継続する事ができません。
ここでは、2024年以降にパワコン交換の需要が一気に増える要因として、様々な側面から解説させて頂きます。
パワコン交換時期は?2024年から加速
パワーコンディショナーの交換時期は一般的には故障したタイミングの交換を意味しますが、パワコンは8年~12年程度で故障するタイミングを迎えます。
同時にパワコンの保証は最大で10年が一般的なことから、10年前に設置した人はパワコンの保証が過ぎるタイミングでもあります。
10年を過ぎた発電所の場合は、1台故障のタイミングですべてのパワコンを交換する人が増えております。
10年目を過ぎる発電所が多い時期は?
日本全国には約60万箇所の低圧発電所が運用されておりますが、一番多い連携年度は2014年度の約14万箇所となり、次に多いのが2013年度の11万箇所となります。つまり、2024年度には全体の4割程度の約25万箇所でパワコンの保証期間が過ぎる発電所が多発します。
同時に、パワコンの故障も2024年度に一番増えてくる可能性が高く、日本中でパワコン交換ラッシュがスタートするでしょう。
特に近年は物価が世界中で高騰しており、パワコンの製造過程で利用される電材部材も多く高騰していることから、パワコンの価格が値上がりする為、壊れてから交換しようと考えている人は逆に値上がりしたパワコンを購入する可能性も否定できません。
出力制御の拡大によりパワコン交換が加速!
2023年度に急激に出力制御が加速して、売電収入が大きく減少しましたが、出力制御対応パワコンを設置している発電所(オンライン対応)は そうではない発電所(オフライン対応)よりも、出力制御量が少ないことを皆さんはご存じでしょうか?
例としては、四国電力では1日当たりの制御量は、オンライン対応発電所は3.8時間に対してオフライン発電所は8時間の実績を公表しております。
つまり、パワコン交換して出力制御対応パワコンに交換すれば、出力制御の影響が低くなるという事です。
2024年度の出力制御量の見通しは、2023年度の実績17億kwより、約7億kwh増加して24億kwhとなっております。
電力管内(年度) | 2023年度実績 | 2024年度見通し |
---|---|---|
北海道 | 50万kWh | 0.1億kWh |
東北 | 1.47億kWh | 4.0億kWh |
中部 | 0.41億kWh | 1.0億kWh |
北陸 | 1,062万kWh | 0.2億kWh |
関西 | 0.18億kWh | 0.8億kW |
中国 | 3.50億kWh | 5.7億kWh |
四国 | 1.63億kWh | 2.4億kWh |
九州 | 10.3億kWh | 10億kWh |
太陽光発電のパワコン交換タイミングとは?
そもそもパワコンの交換タイミングは、発電事業者様の考えによって大きく異なります。
一般的には以下のが交換タイミングです。
- パワコン1台が自然故障した時
- 機器保証期間が過ぎた時
- 自然災害によりパワコンが破損した時
- パワコンが1台交換するタイミングで全て交換する時
- 出力制御に対応する時
基本的には、パワコン交換するタイミングは故障したタイミングが一般的です。
ただ、1台だけ交換すると費用が一番高くなるデメリットがあり、コスト意識が高い方は、1台交換するタイミングで全て交換する方も増えてきました。
特に新電元製のパワコンや既に製造から撤退している(SMA、日立、アイデック、三菱、ZTE)等のパワコンをご利用中の方に限っては壊れても、同じメーカーを新たに購入する事はできないので、保証期間を過ぎている場合は新たなパワコンに購入するしか出口がありません。
『破損前にパワコンを交換すべき』はこんな方です!
- 機器保証期間が過ぎている方
- 現在の使用中のパワコンメーカーが既に撤退している
- 安く設置したい方
低圧太陽光発電所であれば、システム構成としてはオムロン(5.5kw×9台)だったり、安川電機(10kw/9.9kw×4台~5台)となります。 パワコンは同じタイミングで全て壊れる事はありません。1台づつ購入・設置する費用と、全てを購入・設置する費用は大きく異なります。また、製品によってはパワコン納期が3か月となり、破損時の交換に3か月かかりますので、その時に売電損失が増える可能性も出てくるでしょう。
※2024年3月現在、納期が早いパワコンメーカーは安川電機の2週間が最短となります。
パワコンは太陽光発電の心臓!運用には必須!
太陽光発電のパワコンとは、電気を変換するシステム機器です。全ての太陽光パネルで発電した電気を変換して送電しております。
低圧太陽光発電所では、10kw(9.9kw)のPCSを4台~5台使うタイプと、5.5kwのPCSを9台使うタイプが主流です。
パワコンは発電した電気を変換しているため、パワコンが1台停止したら、そのパワコンに繋がっている全ての太陽光パネルで発電した電気が変換されません。
つまり、1台の故障で全体発電量の10%~25%が売電できなくなります。
近年の遠隔監視システムは、パワコン単位で発電量を監視する事ができるのでパワコンに以上があった場合は即座に問題のパワコンを知ることができます。
パワコンは落雷などにより一時的に停止する事もありますので、発電事業者にとっては発電量に以上があった時に、太陽光パネルに問題があるのか、 パワコンに問題があるのかを知る事で、今後の対処法も異なってきます。
近年のパワコンには出力制御機能が標準となっております。出力制御は今まではオフラインで行われてきましたが、現在はオンライン出力制御が一般的となっており、古いパワコンには出力制御機能が付いていない事から、オフライン出力制御がされております。
オフラインの場合は、通常のオンライン出力制御より多く出力制御がかけられることから、売電収入を増やしたい発電事業主はオンライン対応のパワコンに切替するケースも増えております。
故障前にパワコン交換するメリット・デメリットは?
太陽光発電システムの心臓であるパワコンを故障前に交換するメリット・デメリットについて説明します。
【パワコン交換メリット】
基本的にはいずれ破損する事を考えると、交換メリットが高いです。ポイントは交換する台数を一気に全てやるか否かで 費用が大きく変わってくることでしょう。また、最新の機器・出力制御対応に交換する事で売電収入を増やす効果もあります。
- 性能が上がっている(変換効率が高い)
- 出力制御に対応
- 価格が安くなっている
- 不安解消※撤退メーカー使用中の場合
【パワコン交換デメリット】
- 費用がかかる
パワーコンディショナを全部取り換える場合
パワコンを早期に交換するメリットは理解頂けたかと思いますが、交換するなら1台だけ?全て?どれがいいの? これは各発電事業様のファイナンスの問題にもよりますが、経済的観点でいえば全部一気に交換したほうがメリットがあります。
【パワコン全台!早期交換メリット】
- 部材費用・工事費用が安い
- 壊れてから設置する場合と比べて売電損失がない
【パワコン全台!早期交換デメリット】
- 一時的に交換費用が発生する
10年~12年でパワコンが壊れたとしても、どのパワコンが一番先に壊れるかを予測するかは困難です。
ただ、いずれは壊れます。その場合に、1台づつ交換した場合の費用と全て交換する費用は倍ぐらい費用が変わる可能性があります。
しかも、パワコンの納期は2024年3月現在で2週間から長いもので3か月です。壊れてから新しいものを待っているだけで、売電損失が3か月失いますので、賢明な方であれば、壊れる前に全部取り換えたほうが経済的メリットはかなり高くなるでしょう。
パワコン故障時の一般的な流れと交換・修理費用
一般的には、購入したパワコンの「型番」「シリアルナンバー」「故障状況」をメーカー様や仕入先に伝えることで、メーカーのエンジニアが現地で修理対応します。ただ、故障の原因がお客様の責任なのか?メーカー側の責任なのか?によって機器の送料がお客様の負担になってしまいます。
問題になっているのは、メーカー側も故障原因の特定の為に、送られた故障した機器を調査するのですが、その故障原因がお客様の責任の場合は、送料だけでなく、修理費用や現地調査費用を別途請求します。
その場合に、修理費用が新規で購入する費用よりも高くなるケースもあるのが事実です。
こういった背景からも、故障時にメーカーに無料で修理してもらえるから安心だと思っている方がいれば、危ないかもしれません。
このやり取りの工数や万が一に、故障原因がメーカーの責ではない場合は全てお客様の出費になり、新規購入費用を上回る可能性がゼロではないです。
パワコン故障したら、どのパワコンメーカーが良い?
パワコンメーカー多数ありますが、ここではその中でもシェアが高く・安心の代表的な4社(安川電機・オムロン・ダイヤゼブラ電機※旧田淵電機・ファーウェイ)を紹介します。
各メーカーの企業の特徴やパワコンの特徴やラインナップ・価格などを紹介しましょう。
項目 | 会社規模 | 商品ラインナップ | 過積載率 | 出力制御対応 | 1台価格目安 ※機器のみ |
---|---|---|---|---|---|
安川電機 | 1部上場 | 三相PCS1種 (9.9kw/10kw) | 200%まで可 | あり | 42万円前後 |
オムロン | 1部上場 | 単相PCS4種 (4.8kw/5.5kw) | 過積載率250% | あり | 16万円前後 |
ダイヤゼブラ電機 ※旧田淵電機 | 1部上場 | 三相PCS1種 (9.9kw) | 不明 | あり | 42万円前後 |
ファーウェイ ※HUAWEI | 非上場 | 単相三相・PCS数種 単相(4.95kw) 三相(20kw/33.3kw/49.9kw) | 過積載率300% | あり | 10万円前後 |
新電元工業 | 上場 | 生産・販売終了中 PVS-B・Cシリーズ三相(9.9kw/10kw) | 不明 | 不明 | ※撤退(生産・販売終了中) |
※本価格は2024年8月現在の目安であり、市場相場よりも高い・安い場合があります。安く設置した場合は、見積もり比較するなど 複数社の見積もりを取得する事をお勧めします。
※タイナビが提供する一括見積もり比較サイトでは市場価格よりも安く設置(工事込)が可能です。
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パワコンメーカーの安川電機とは?
こちらではパワコンメーカーである安川電機の企業特徴や製品、修理対応、様々な視点で説明していきます。
安川電機は「ACサーボ」「インバータ」「産業用ロボット」といった『産業用製品』を中心にグローバルな展開をしている東証一部上場企業であり、 「インバータ」「産業用ロボット」分野では世界トップシェアを誇ります。
三相型パワコン9.9kw(絶縁・非絶縁タイプ)/10kw(非絶縁タイプ)のラインナップがあります。
安川電機のパワコン価格・特徴は?
産業用製品トップシェアの高い技術を活かしたパワコンメーカーであり、新電元製PCSからの交換時には配線工事が簡易となるため工事費も抑えられる。価格帯は1台あたり約42万円前後とされている。
- 自立運転機能
- 出力制御対応
- 過積載率200%まで可
- 電線のショートなどを防ぐ二重構造
- 高周波トランス内蔵のため、外部に絶縁トランスを設置することなく、系統電源へそのまま接続可能 (絶縁タイプのP2Hシリーズ)
安川電機の故障時対応について
「型番」「シリアルナンバー」「症状」情報を元に仕入先の「安川メカトレック」に依頼すれば、安川電機のエンジニアが現地修理対応 を頂けます。ただ、お客様責任による故障の場合は、送料はお客様負担となり、メーカー責任の場合はメーカー負担(着払)となります。
パワコンメーカーのオムロンとは?
次に、産業用だけでなく、住宅用でも幅広く利用されているオムロンの企業特徴や製品・価格についてです。
オムロンは体重計・体温計などで身近なメーカーではありますが、血圧計においては世界シェア50%を誇ります。オムロンの成長は「制御機器事業」であり、売上高構成比のなかでも46パーセントを占めています。
太陽光で言えば、単相型パワコン4種類のラインナップがあり、単相4.8kW/単相5.5kW(一般・自立運転・重塩害)のラインナップがあります。
「三相PCS」KPTシリーズは製造が中止されておりますので、パワコンに関しては単相パワコンのみとなります。
オムロンのパワコン価格・特徴は?
オムロンはパワコンメーカーの中では抜群の知名度があり、一般ユーザーにも好まれています。またパワコンは10年保証となっており、他のパワコンメーカーと比較すると、比較的に短い時間で納品が可能です。また、過積載率も250%まで可能です。
- 自立運転機能(KPWシリーズのみ)
- 出力制御対応
- 過積載率250%まで可(条件を満たせば保証対象)
- 小型軽量なので施工性に優れている
- 併設可能なため初期投資を抑えられる(KPW/KPV)
オムロンの故障時対応について
基本的には安川電機と同じような対応となり、製品情報(型番・シリアルナンバー)と症状を仕入先に伝える事で、オンサイトでエンジニアが修理を対応してくれますが、故障原因がお客様の場合は送料はお客様負担となります。
パワコンメーカーのダイヤゼブラ電機(田淵電機)とは?
次に、ダイヤゼブラ電機(田淵電機)の企業特徴や製品・価格についてです。
田淵電機はその他日本メーカーと比較しても安価なパワコンとしてFIT全盛期(2013年~2016年)にはよく使用されていたパワコンメーカーとなります。
2016年から2期連続で赤字となり、この経営悪化により2018年6月に事業再生ADR申請しました。
2019年にはダイヤモンドエレクトリックホールディングス株式会社の100%子会社となり、社名をダイヤゼブラ電機となりました。
また、海外市場向け及び国内の高圧用産業用パワーコンディショナー事業からの撤退しました。
2024年現在は、三相型パワコン1種類のラインナップがあり、三相9.9kW(EPG-T99P5)となります。
「三相PCS」EPU/EPF/EPEシリーズは製造が中止されております。
ダイヤゼブラ(田淵電機)のパワコン価格・特徴は?
ダイヤゼブラのパワコンは三相PCSとしては安価となり、絶縁タイプで自立運転機能もついているためお得です。
価格帯は1台あたり約42万円前後とされています。
- 自立運転機能
- 出力制御対応
- 高周波絶縁トランス方式のため低圧連系時に外部商用トランスが不要
- 発電量を最大限に引き出すフルMPPT(最大電力点追従)方式
- ストリング単位で太陽電池モジュール発電状態確認が可能(外部計測装置併用時)
ダイヤゼブラ(田淵電機)の故障時対応について
基本的には安川電機・オムロンと同じような対応となります。故障時の対応はスピードが求められるので、各メーカーの対応が同じようなフローを考えると、実際のメーカー側の対応スピードがポイントとなるでしょう。
パワコンメーカーのファーウェイ(HUAWEI)とは?
こちらでは世界で一番有名なパワコンメーカーであるファーウェイ(HUAWEI)の企業特徴や製品価格について説明します。
ファーウェイ(HUAWEI)は、1987年設立された中国の企業となり、通信機器(5G関連・スマートフォン)を開発するベンダーとしてグローバルで事業展開しております。パワコンについては、世界NO.1のパワコンシェアを誇る企業で、日本市場においても1位の中国企業です。
低圧用・特別高圧用に様々なパワコン機器を取り扱っておりますが、2021年には住宅向けの蓄電池メーカーとして製品を販売したからは、蓄電システムメーカーとしての知名度も高くなりつつあり、2022年には大型産業用蓄電池を日本市場へ投入するなど産業用自家消費市場への参入への注目も高まっております。
低圧向けの単相パワコン4.95kwだけでなく、高圧用の三相(20kw・30kw・33.3kw・40kw・49.9kW・62.5kw)のラインナップがあります。
ファーウェイ(HUAWEI)のパワコン価格・特徴は?
ファーウェイ(HUAWEI)のパワコンは、単相・三相両方ともに対応したラインナップがあり、特に日本で人気なのは、低圧単相向けパワコン4.95kw(SUN2000-4.95KTL-NHL2)です。
市場価格帯は1台あたり約10万円前後とされ、保証期間は10年となっており、有償で保証期間を15年・20年まで対応が可能ですが、4.95kw以外は保証期間が5年となっております。
FIT価格が下落する中で、安く・過積載ができるパワコンメーカーとして多くの販売店様の指示が高く、2018年以降から低圧太陽光発電所のPCSと利用されるケースが多く、4.95kwのPCSを10台で構成するシステム構成パターンが主流です。
また、高圧発電所のパワコンリプレイス需要を狙った新製品を2022年に導入しており、メガソーラーなどに設置されている大規模PCSのリプレイス需要を狙った中型パワコンを安く提供しております。
- 自立運転機能
- 出力制御対応
- 過積載率300%まで可
- 11.6kgで軽量小型化、作業員1人で設置可能
- 重塩害対応※IP65完全密閉構造
ファーウェイ(HUAWEI)の故障時対応について
万が一、不具合が起きた場合は不具合申請書と遠隔監視データー送り、メーカー側で確認します。
調査後に、施主・施工が起因の不具合の場合は、有償でパワコンを購入する必要があり、メーカー起因の場合は代替えでパワコンを無償で送り使用してもらう流れとなります。
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太陽光発電所を保有する事業者にとっては、パワコン交換は将来避けて通れません。その場合には、安く交換設置する事は当然ですが、タイミングを間違えると大きな出費になります。
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