消費税還付をやるべきか? メリット・デメリットと判断方法

太陽光発電投資は発電設備や工事などの、初期費用が高いことがネックだ。支払う消費税も多く、税率8%で設備費が1500万円の場合なら、消費税は120万円にも及ぶ。

消費税還付は、こうした消費税の一部が手元に戻ってくる制度だ。太陽光発電のように初期費用が高額な投資を始めるとき、欠かさずチェックするべき制度の一つなのである。

消費税還付で現金を手元に戻せば、投資初期のキャッシュに余裕が生まれるだろう。ただし、消費税還付を受けるには条件や諸々の手続きが必要なうえ、状況によっては損をする可能性がある。

ここでは太陽光発電の消費税還付を検討するにあたって、最低限知っておくべきことを解説する。メリット・デメリット、やるべきか否かを判別する方法について確認していこう。

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消費税還付とは

消費税還付を理解するために、消費税の基本的な仕組みを振り返ろう。

事業者から見た消費税は、仕入れなどに対する消費税と課税売上高に対する消費税の2タイプだ。太陽光発電所を運営するオーナーは、設備費用などと一緒に消費税を支払い、売電額とそれにかかる消費税が電力会社より振り込まれる。

原則として、売電額にかかった消費税は、太陽光発電所の収入にはならない。本来は税務署に支払われるものを、一旦預かっているというイメージだ。設備費用として太陽光発電の販売会社などに支払った消費税も、最終的に税務署に納められるのが原則だ。

あらゆる会社を行き交う消費税を整理すると、売電の課税売上高に対する消費税(預かり分)から、設備費などに支払った消費税(仕入れ分)を差し引いて、税務署への納税するのである。この計算方式を原則課税という。

消費税還付を使うと、売上にかかる消費税よりも仕入れにかかる消費税が多いときに、超過分が還付されるのだ。

原則課税の計算方法

太陽光発電は、高額な初期費用を売電収入で相殺し、約10年で回収した上で利潤を追求する投資だ。設備投資費用に比べれば毎年の売電収入のほうが低く、消費税還付で返ってくる金額は100万円単位になると期待できる。前向きに検討する価値は十分にあるだろう。

還付額は?太陽光発電の仕入れ分の課税対象

消費税還付は、仕入れ分(設備費)の消費税が売電収入(売上分)の消費税を上回った金額が返ってくる。つまり、設備費用が高額で、支払った消費税が多いほど、還付される金額は増えるということだ。

設備費用は太陽光発電に必要で、購入した設備やサービスのことである。太陽光発電を行うためには、パネルなど設備を購入し、土地を整え、工事を行わなければならない。その中で消費税の課税対象になるものの一例を挙げよう。

  • ソーラーパネル
  • 架台(パネルを支える台)
  • パワーコンディショナー
  • 設置工事費用
  • メンテナンス費用 他

土地の購入代金は消費税の対象ではないので、計算に含まない。消費税の還付金額は、以下の式で計算できる。

消費税の還付金額=(年間の太陽光収入-太陽光発電の運用にかかる諸経費)÷1.1×10%(消費税)

太陽光発電を始めるにあたり、購入する物品やサービスはたくさんある。消費税還付で戻ってくる金額を予測しながら資金計画を立てよう。

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消費税が還付された場合のシミュレーション

太陽光発電では、一定の条件に当てはまる場合には消費税還付が受けられる。条件は、1000万円以上の売電収入のある法人や個人事業主であることだ。

消費税が還付された場合、還付を受けなかった場合と比べて、どれくらいの差額になるのかをシミュレーションしてみよう。

【条件】

  • 消費税がかかった投資額 2000万円(支払う消費税 200万円)
  • 年間売電収入 200万円(預かり消費税 20万円)
  • 年間諸経費 30万円。(支払う消費税 3万円)

この条件のケースでは、以下の式で消費税の還付金額を算出できる。

預かり消費税(20万円)-支払い消費税(203万円)=-183万円

上記の計算からは、183万円が還付されることが分かった。ただし、3年間は消費税を納める必要があるので、その金額を考慮すると次のような計算になる。

3年分の預かり消費税(60万円)-支払い消費税(209万円)=-149万円

このシミュレーション結果では、149万円の消費税が戻ってくることになる。

消費税の還付を受けなかった場合は?

消費税の還付を受けなかった場合には、消費税に関する計算はどのように変わるのだろうか。

上記の条件で消費税還付を受けなかったときは、売電収入にかかる消費税のうち20万円を納める必要がなくなる。3年間で60万円の消費税を納税しなくてよくなるが、手続きをすれば、還付を受けられる額は149万円なのだ。

つまり、3年分の消費税60万円を納税しないかわりに、149万円の還付金を受け取る機会を放棄するということだ。この差額は89万円である。これだけの金額を損してしまうことになる。

このシミュレーション結果では、消費税の還付を受けた方が実質の利益は大きい。

消費税還付を受けられる太陽光発電の条件

消費税還付が使えるのは、消費税を納付する義務を負う「納税事業者」だけだ。個人事業主なら前々年、法人なら事業年度中の売電収入が1000万円未満の場合、原則として消費税納付を免除される「免税事業者」になる。

さらに、消費税の計算方法は「原則課税」が必須条件である。納税額の計算方法には「原則課税」と「簡易課税」があり、どちらでも選べる。しかし、「簡易課税」を選択したら、2年間はこれを適用し続けなければならない。消費税還付を使う可能性があるなら、 気をつけたいところだ。

基準期間内における課税売上高が1000万円を超える事業者

太陽光発電事業で消費税還付を受けられるのは、基準期間内における課税売上高が1000万円を超える事業者という条件がある。

「基準期間」とは、個人事業者や法人の納税義務について、国税庁が判定するための基準になる期間を指す。消費税の納税義務の免除や、課税制度の適用についての判定を行うために定められているのだ。

基準期間は、対象になる事業者の課税期間から2年前の期間のことをいう。令和2年に確定申告をする場合は以下の期間となる。

  • 個人事業者 平成30年の1月1日~平成30年12月31日
  • 法人(3月決算の場合) 平成30年の4月1日~令和元年3月31日

事業者は、この基準期間を課税に関する期間として意識しておかなければならない。

特定期間内における課税売上高と給与収入額1000万円を超える事業者

消費税還付を受けられる太陽光発電事業の対象になる期間には、ほかにも条件があるので解説していきたい。 ラウk

特定期間内に、課税売上高と給与収入額が1000万円を超える事業者も消費税還付の対象になるのだ。

「特定期間」とは、以下の期間を指す。

  • 個人事業主 前々年の1月1日から6月30日
  • 法人(3月決算の場合) 前々年の4月1日~9月30日

この期間内で、課税売上高と給与収入額が1000万円を超えると消費税課税事業者となり、課税対象者として消費税還付が受けられるのだ。

ただし、課税売上高が1000万円に満たない場合でも、資本金や出資金が1000万円以上の法人を設立すると消費税課税事業者となる。法人を立ち上げる場合は、この点を忘れずに消費税還付の手続きをしよう。

「消費税課税事業者選択届出書」を提出した事業者

上記2つの条件に当てはまらない場合には、消費税還付が受けられないのだろうか。

「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、消費税課税事業者となる方法もある。消費税課税事業者選択届出書を提出すると、次の年の消費税還付を受けることができる。

この措置を受けられるのは1年間分で、その後は消費税を納めることになる。

ただし、消費税課税事業者になるには、初期投資をした年の12月31日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければならない。期日までに届出をしないと消費税課税事業者とならず、消費税還付は受けられない。

太陽光発電事業を始める際には、かかった設備費などの初期投資分の消費税は還付しておきたいところだ。書類の提出期限には注意が必要だろう。

消費税還付を受けるメリット

最も大きなメリットは、利回りがよくなるということだ。初期投資における消費税が還付されれば、数年間単位でみても消費税の支払金額よりも還付金額が高くなり、差し引きのメリットが大きい。

また、償却資産税の負担が軽減されることも大きなメリットのひとつだ。太陽光発電で投資を行う場合、資産である設備に対して1.4%の償却資産税がかかる。消費税還付を受ける場合、申告により経費処理を税抜金額か税込金額かを選ぶことが可能だ。

計算すると償却資産税は、税込金額よりも税抜金額の方が高くなり、税込金額を選択することで負担が軽減される。

消費税還付を受けるデメリット

消費税還付を受けることによって、デメリットも生じるので注意が必要だ。まず、消費税を2〜3年間は支払わなければならないことがひとつのデメリットだ。

/ その間、あわせて消費税還付の申告をし続ける必要性があり、経費処理や消費税申告といった複雑な手続きを行うか、専門家に依頼する手間もある。免税事業者ならば、消費税分も利益になるが、これは負担だ。

また、税務調査が入る可能性が高いこともデメリットである。一般的に消費税還付を受ける場合は、税務調査が入る可能性が高く、日程調整や業務停滞の手間がかかり、もしミスが見つかればペナルティもある。

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消費税還付の手続きをする場合の注意点 

ここでは、消費税還付の手続きに関する注意点を紹介していきたい。税務調査や事業開始日、年間収支といったポイントに分けて、それぞれの注意点について詳しく解説していくので参考にしてほしい。

税務調査を受ける場合の注意点とは?

国税庁からの税務調査を受けるときの注意点を押さえておこう。

まず、契約書や領収書などの証拠書類には、それぞれ内容によって決められた保存期限がある。証拠書類の種類別の期限は以下のとおりだ。

【保管期間7年】

  • 帳簿
  • 決算関係書類
  • 現金預金取引等関係書類

【保管期間5年】

  • 請求書
  • 見積書
  • 契約書
  • 納品書
  • 送り状

※前々年の所得が300万円以下の場合は、証拠書類の保存期限はすべて5年間

消費税還付を受けるには、事業を開始した年の12月31日までに届出を提出する必要がある。そのため、事業開始日を説明できることも重要なポイントになるのだ。

税務調査を受ける場合には、事業開始日も説明できるようにしておきたい。

事業開始日は状況によっても異なることに注意

消費税還付の手続きを適正に行うには、事業開始日の説明が重要だ。

なぜなら、消費税還付の手続きは、事業を開始するまでに行わなければならない。一口に事業開始日といっても、実際に定義するのは難しい場合もあるだろう。事業の運用状況によっては、事業開始日が異なることに注意が必要だ。

2019年までは給与収入のみで、2020年に太陽光発電の事業を開始した場合は、基本的に2020年が事業開始日となる。

太陽光発電の事業開始日は

ただし、太陽光発電事業では、事業の準備を始めた日も事業開始日に含まれる。そのため、太陽光発電の売買契約日や融資の申込日も、事業開始の基準となる点に注意が必要だろう。

事業開始は2020年でも、売買契約や融資の申し込みが2019年だった場合は、2019年末までに届出が必要になるのだ。

キャッシュフローが赤字にならないように注意

「消費税課税事業者選択届出書」を提出すると、3年間は売電収入に含まれる消費税を納税しなければならない。太陽光発電事業で得られた、毎年の収入分から消費税を支払うことになる。このことを念頭に入れながら、キャッシュフローを考える必要があるだろう。

毎年の収支から消費税分を引いたときに、赤字になりそうなケースでは、どうすればよいのだろうか。この場合は、還付された消費税を使い切らずに、一部は3年分の消費税支払い分に回す必要がある。

売り上げは赤字にならないよう注意したいところだが、このような方法もあることを知っていれば対処できる。一時的にキャッシュフローが赤字になっても、適切な対処をすれば大丈夫であることも押さえておきたい。

売電収入1000万円未満で消費税還付をする方法

免税事業者が消費税還付を使うには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になろう。太陽光発電の売電収入で1000万円を超えるには、初期費用が億単位に及ぶほど規模の大きい事業になるためだ。

まずは、免税事業者が消費税還付を受けるのに必要な、課税事業者になる手続きだ。「消費税課税事業者選択届出書」を税務署へと提出しなくてはならない。

届出書を提出する申請時期は要注意だ。原則として課税事業者になろうとする課税期間開始初日の前日までに申請することが必要である。つまり、太陽光発電事業を行う前年の12月31日までに書類を提出していれば、課税事業者になることができる。

なお届出書は、作成し税務署へと持参するか送付する。手数料はかからない。書類の作成は素人では厳しいものがあり、不備があればタイムロスが痛い。なれないうちは、税理士と相談しながらすすめよう。

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還付が終わった後、免税事業者に戻る方法

還付を受けるために課税事業者となったら、3年間は消費税を支払う義務が生じる。その間に消費税還付を受けることによってメリットを受けることができるが、4年以降となると払う消費税が負担となり、免税事業者へと戻す方がメリットとなる可能性も高い。

その場合は、売電収入が1000万円以下ならば、「消費税課税事業者選択不適用届出手続」を提出することで免税事業者に戻ることが可能だ。この届出手続も、前年までに提出することが必要で、手数料はかからない。

消費税還付を使うには条件が定められており、必要な手続きがある。税務に明るくない者には、負担になるからだ。

太陽光発電で消費税還付を受けるべきか 判別する方法

太陽光発電の初期費用が早く取り戻せる消費税還付だが、免税事業者から課税事業者になってまで使うべきかは慎重に判断しよう。消費税還付を検討するときは、支払う消費税と手続きにかかる労力コストを考える。

2期目までは課税事業者でいなければならないので、2年〜3年間の消費税を支払えるかがチェックポイントだ。特に消費税還付を受けた後、追加で新しい投資用太陽光発電を購入する予定がある場合は、資金繰りについてじっくり考える必要がある。

また、消費税還付は自分で手続きすることもできるが、書類の難易度が高い。税務調査が入る可能性が高く、太陽光発電投資と税金関連に明るくない場合は税理士に相談することが勧められる。その税理士費用の負担も、判断のポイントだ。

消費税還付を受ける場合は税理士に依頼するべき?

消費税還付を受ける場合には、いろいろな条件や注意点もあることが分かった。自分で手続きするのが不安な場合、税理士に相談することも大切である。税理士に税務関係の手続きを任せれば手間も減り、決算や確定申告でのミスを防げる。

引き換えに、年間で数十万円程度の支払いが発生する。その分のコストを計上できるかについても、事業計画の予算を立てる際には検討しておきたい。

消費税還付の相談もできる税理士つき投資物件へ

太陽光発電には消費税還付がある。無条件に受けることができるわけではなく、かつメリットもデメリットもあるので、判断に迷った場合は税理士に相談することが勧められる。

タイナビ発電所では税理士に相談可能な物件販売セミナーに関する情報をLINEやメルマガで配信している。太陽光発電に関する悩みがあるならば、タイナビ発電所へと相談することがよいだろう。

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