地球規模で再生可能エネルギーの必要性が高まるなか、太陽光発電は急速に普及してきた。それに伴い、近年では設置をめぐり各地で周辺住民とのトラブルも起きている。特に、広い用地の確保が必要になるメガソーラーの建設をめぐっては、環境への影響も懸念されているのだ。
環境を保護する目的で、地元自治体が設置に関する規制を設ける動きもある。
自治体による太陽光発電の規制とはどのようなものなのか、規制が必要になった背景や規制の内容、今後の動きについて解説しよう。
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岡山県が条例で太陽光発電の設置禁止区域を定める
太陽光発電の設置規制は、全国各地の自治体で進められている。はじめに、岡山県が定めた設置規制を例に、どのような規制が行われているのかを説明していきたい。
禁止区域に定められていない場合でも、届け出が必要になる土地もあるため確認が必要である。
土砂災害の危険性が高い場所での設置規制
これまで、自治体が条例で設置規制を行うことは少なかった。その中で岡山県は、「土砂災害の危険性が高い急傾斜地」への太陽光発電の設置を禁止する条例案を出したのである。条例は2019年度中の施行を目指すものだ。
この設置規制は、災害が起きた場合に太陽光パネルが破損し、地元住民に被害が及ぶ可能性を受けた対応と考えられる。禁止区域とされたのは、砂防指定地や地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域だ。
例外もある。災害時に被害が及ばないと確認できた場合は、知事へ届け出をして設置が可能になる。これから太陽光発電用の土地を選定するには、日当たりだけでなく安全性も考慮しなければならない。
禁止区域以外でも届出が必要になるケースも
岡山県の条例では、禁止区域の外であっても「設置に適さない区域」については太陽光発電の設置を規制している。
設置に適さない区域とは、土砂災害防止のために既に指定された区域のことだ。禁止区域に比べれば被害予測が低いなかで、災害が発生する危険性が高い土地、太陽光発電の破損によって地元住民へ被害が及ぶ可能性のある土地が、設置に適さないとされる。
こうした区域に50kW以上の太陽光発電を設置するときは、着工前に届出が必要となるので確認が必要だ。
この規制は6月の県議会で条例案が提出される予定だという。
自治体が太陽光発電の規制をはじめた背景
太陽光発電の設置を規制する動きは、どうして始まったのだろうか。これには、各地に大きな被害をもたらした西日本豪雨により、山間部の土地が崩落したことが影響しているようだ。また、建設に反対する住民運動が広がっていることも背景にあると考えられる。
西日本豪雨で山間部の太陽光発電が崩落
2018年6月から7月にかけて発生した西日本豪雨では、一部の山間部に設置された太陽光発電が崩落する事態となった。感電の恐れもあるとして、地元住民への警戒が呼びかけられたのである。
兵庫県では、山陽新幹線の線路近くの傾斜地に設置された太陽光発電が崩落し、新幹線が一時運休となった。この土地には、もともとひび割れがあったとして、地元住民は施工の不備を指摘している。
傾斜地に設置された太陽光発電は、大雨により地盤が流れることによる崩落の危険性が高い。平地に設置するよりも、地元住民や交通への被害に対するリスクは大きいといえるだろう。
太陽光発電の建設に反対する住民運動
香川県の瀬戸内海に位置する豊島では、大規模な太陽光発電の建設計画に地元住民が反対した。産業廃棄物撤去運動を長く続けてきた歴史がある豊島は、環境について敏感という背景がある。
観光に影響する景観の変化や、土砂流出の恐れを懸念する声が高まったのだ。住民の声を受けて、自治連合会が計画の中止を求める運動を起こしたのである。
計画段階にあった2件のうち1件は、産業廃棄物の存在が指摘され、撤去作業が始まった。そのため、太陽光発電の建設着工は先送りとなっている。もう1件の事業は引き継がれているが、実際の動きは見られていない。
太陽光発電の設置により懸念される環境への影響
太陽光発電を設置するには、安定した発電量を確保するため日当たりのよい広大な土地が適している。そのため、南向きの傾斜地や森林への建設も行われているのが実情だ。
傾斜地への設置では、設置面積を増やすための森林伐採や土地の造成が必要になる。その場合には、地形や地質がある程度変化することは避けられない。大規模な土地や傾斜地の利用は、地形の変化による河川や動植物、生態系への影響もあるのではないかと指摘されている。
また、太陽光発電を建設する際に森林の樹木を多く伐採したことで、地盤が緩くなることも考えられるだろう。大きな災害で想定外の大雨などに見舞われた場合、土砂崩れが起こりやすくなる可能性も指摘されている。
太陽光発電事業に対する自治体の規制は今後も進むのか
太陽光発電事業に対する自治体の規制は、今後も進むような動きがみられている。自治体ごとの具体的な条例の制定や、ガイドラインの策定による対応が進められているのだ。
規制の対象となった場合には、設備を設置するための土地開発が難しくなることも予想されるだろう。どのように規制が進んでいるのか、各地の条例による対応について解説する。
自治体の条例やガイドライン策定による対応が広がる
環境や景観の保全などを目的に、太陽光発電事業の手続きを規定している自治体もある。都道府県や市町村などの多くの自治体で、条例の制定やガイドラインを策定し、事業者に配慮を求めているのだ。
長野県では2015年の条例改正により、太陽光発電事業が環境影響評価条例の対象事業と規定された。このような対応は、大規模な開発により森林伐採などによる環境への影響に対処するものといえる。
長野県の事例では、敷地面積が50ha以上または、森林区域における敷地面積20ha以上が対象だ。たとえば、10kWの発電に必要な敷地面積が50平方メートルとすると、50haでは約10万kW、20haでは約4万kWの発電量が目安となる。
そのほか、大分県や福島県、札幌市などでも条例による対応が行われているので、設置にあたっては条例を確認したい。
用地の調達ハードルが上がった今、太陽光投資は土地付き物件が有利
自治体の規制や環境への配慮は高まっているため、今後は土地開発を伴う大規模な太陽光発電事業への参入が厳しくなる予想である。これから太陽光発電事業を始めるなら、土地の調達と造成が済んでいる土地付き太陽光発電がおすすめだ。
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