太陽光発電投資の近隣トラブルと環境アセスメント

太陽光発電は初期費用が高く、投資回収期間が10年にも及ぶ長期的な投資です。より効率よく発電する設備や、設置と維持にかかるコストカット術、自然災害などは投資前にチェックしておられることでしょう。

しかし、太陽光発電投資で気を付けるべき問題点は、もっとほかにもあります。太陽光発電の近隣トラブルです。近隣への配慮をおざなりにすると、将来的に訴訟沙汰にも発展しかねないトラブルが起こり得ます。

  • 雑草による周辺環境の悪化
  • 除草に当たる周囲への影響
  • 景観の変化

太陽光発電はメンテナンスを外注すれば、投資家が手間をかけなくても収益が得られる投資です。しかし、他者とのトラブルが起これば、かかる時間とコストが収益を大きく圧迫するでしょう。施工前の設置計画で、いかにリスクを排除できるかが、成功するポイントのひとつなのです。

本記事では、語られることが少ない「投資用太陽光発電のご近所問題」について、事例や対策法を解説していきます。

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裁判にも発展! 反射光のトラブル

太陽光パネルに反射した光が民家に差し込み、住環境が悪化したとして訴訟が起こった事例をご存知でしょうか。

2015年の姫路市で、約1MWの太陽光発電所から反射した光により、民家の男性が熱中症になったという訴訟です。男性は太陽光発電の開発支援事業者に対し、太陽光パネルの一部撤去と損害賠償330万円を求めたといいます。

提訴から2年後の2017年に訴えは取り下げられましたが、企業側が自主的に背の高い樹木を植えるなどの対応を取ったため、金銭的ダメージがなかったとはいえません。

周囲に民家がある場合、太陽光パネルの反射光を全く当てないことは不可能です。このとき、家屋に差し込む反射光の眩しさや熱が各地でトラブルの元となっています。では、反射光による賠償責任を防ぐために、投資家がやるべきことを考えてみましょう。

太陽光パネルの損害賠償で争われる最大のポイントは、ひとえに「住民の受忍限度を超えたと認められるか否か」です。反射光が当たっても、トラブル発生箇所や時間が限定的であったり、カーテンなどで遮光することで対処が可能である場合、反射光の影響は「適法」と判断されるケースが多くあります。

さらに、施工会社は太陽光発電の設計段階で、反射光について考慮します。これは、住宅用・産業用太陽光発電の設計に使われる「Solar Pro」というシステムの例です。太陽光パネルの角度や位置、方角にあわせて、時間帯と共に移ろう反射光の影響を直感的にシミュレーションできます。

反射光のトラブルを未然に防ぐ施策は、もはや一般的なものです。それでも念を入れるなら、太陽光発電の設置箇所に現地訪問して検証したり、複数の施工会社に相見積もりを取りながらそれぞれの意見を聞いてみると良いでしょう。近隣トラブルへの意識が高く、対策を万全にする事業者を選ぶことが、リスク低減に最も効果があるのです。

放置した雑草が大トラブルに!近隣トラブル事例

空き地で行う太陽光発電には、雑草問題がつきものです。雑草は自身の収入に悪影響をもたらすだけでなく、近隣にも迷惑をかけてしまう可能性がある、実は厄介な存在なのです。

たとえば雑草が成長し、太陽光パネルに影を落とすと発電量が低下してしまいます。さらに、ガラスでコーティングされていない太陽光パネルの裏側に、地面から伸びてくる雑草がぶつかると故障する恐れもあります。ツタ植物が発電機材をショートさせた事例もあるのです。

こうした、投資家への直接的な被害のほかにも、雑草の存在により害虫・害獣などの二次被害が起こり得ます。雑草に沸く虫を目当てに、ヘビやねずみなどの害獣が集まってきて住み着いてしまうのです。小さい害獣や虫が太陽光発電をショートさせて、機材を故障させたという事例がいくつも報告されています。

雑草が隣の農地や敷地を侵害してしまえば、上記に挙げた害虫・害獣問題を周囲に拡大してしまいます。周囲が居住地であっても問題がありますが、農地への経済的被害があれば訴訟を起こされることも大いにあり得るでしょう。

たかが雑草といって侮れません。対策を怠れば、周辺とのトラブルにも悩まされることになってしまいます。

除草対策で起こりうる近隣への影響も

雑草によって地域の景観が損なわれ、農作物に被害が及び、対処に費用がかかるとなれば、周辺住民との大きな摩擦を生むことになるでしょう。

しかし、雑草対策がさらなるトラブルにつながってしまう恐れもあります。茂った草を根本的に解決しようと散布する除草剤が、周辺環境によってはトラブルに直結するのです。

ひとつは、雨で除草剤の成分が周辺の農地に流入してしまう危険性です。雑草が枯れることで、裸になった土が流れ出すことも懸念されます。除草剤によるトラブルも起こっている点には注意が必要でしょう。

除草は自力でも行えますが、近隣住民への影響を多角的に考慮しなければならない場面もあります。専門家のアドバイスに従って雑草対策を取るほうが、さまざまなリスクの軽減につながるはずです。

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音によるトラブル

太陽光発電には、パワーコンディショナの動作音によるトラブルが起こる可能性もあります。パワーコンディショナとは、太陽光発電で発生した直流の電力を交流に変換する機器で、エアコンの室外機と同じくらいの動作音が発生します。

冷却するための空調設備の音と合わせた動作音は70dB程度です。70dBは1mほどの距離から聞こえるやかんが沸騰する音と同程度で、うるさいと苦情を受けることもあります。

ほかのトラブル要因と重なった場合や、もともと近隣と折り合いが悪い場合は特にトラブルになりやすいので注意しましょう。

音によるトラブル対策としては、住宅街を避けて設置する、騒音が少ない50dBほどのパワーコンディショナを選ぶといった方法があります。たとえば、安川電機の「Enewell-SOLシリーズ」は、耳障りな高周波音を低減した静音設計なのでおすすめです。

電磁波によるトラブル

太陽光発電による電磁波で「体調が悪くなった」といわれてトラブルになるケースもあります。太陽光発電が発する電磁波の身体への影響度については、科学的に確定しているわけではありません。

ただし、財団法人電気安全環境研究所(JET)の調査では、機械から30cm離れた所で測定した電磁波は、電気カーペットよりも少ないという結果が出ました。

電磁波は携帯電話やWi-Fi、電子レンジなど、さまざまな生活必需品からも発生しています。オーナーとしては、電磁波が出ているのは太陽光発電ばかりではないといいたいところでしょう。しかし体調の悪さを訴えるトラブルにまで発展してしまうと対処が難しくなってしまいます。

近隣住民への事前説明を行うなどして風通しのよい関係を作っておくか、人家と接しない位置にパワーコンディショナを設置するなどの工夫も必要です。

台風など強風によるパネルの飛散

台風などで強風が発生したとき、パネルが飛散して近隣トラブルになるケースもあります。太陽光パネルが人や民家に当たった場合、賠償責任を負うほどの被害が生じる可能性もあります。

強風によるパネルの飛散は多く見られますが、強風は太陽光パネルだけでなく、支えるための架台にまで影響することもあります。実際に架台が基礎ごと地面から持ち上がったり、吹き飛んだりする事例が2018年の台風被害でもありました。これらがもし近隣住民に被害を与えることになれば一大事です。

たとえパネルを架台にしっかり固定しても、架台そのものが倒れてしまえば大きなリスクが生じます。

こうした事故を回避するためには、システムを構成するパネルと架台、基礎の施工は、信頼できる施工業者を選ぶことが重要なポイントです。メンテナンスも大切で、トラブルにつながるような変化がないかを定期的にチェックしましょう。売電事業での賠償責任には、保険に入っておくのもひとつの手です。

https://www.tainavi-pp.com/investment/solar/116/

土壌流出

山を切り拓いて設置した「野立て太陽光」の場合は、大雨の後に隣の敷地に土壌が流出し、トラブルになる可能性もあります。

2018年の台風では、全国各地で実際に被害が発生しました。傾斜がある土地に太陽光発電を設置した場合は、特に注意が必要です。設備周辺の雑草対策は欠かせませんが、雑草を除去してそのままにしておけば土がむき出しになり、土壌流出の被害に遭いやすくなります。

芝生よりも手入れが楽な、「グランドカバープランツ」という植物を植えれば雑草対策にもなり、土がむき出しになりません。費用はかさみますが、水路をつくり水の流れをコントロールする方法や、コンクリートで土の表面を覆うなどの対策もあります。

土砂崩れ

豪雨によって砂崩れが起こると、斜面に設置されたパネルが流出しトラブルになる可能性があります。

2015年9月に、宮城県仙台市で太陽光パネルが崩落してバス路線になだれこみ、3カ月以上通行止めになりました。2018年の西日本豪雨でも、土砂崩れによる事故が50kW以上の太陽光発電設備で11件報告されています。

土砂崩れは、最悪の場合には近隣住民が巻き込まれてしまうことも考えられます。斜面に設置するケースでは特に注意が必要で、地盤を整備するコストもかかるためおすすめしません。太陽光発電設備を設置する前には、「危険性がない立地か」について専門家による十分な調査が必要です。

メガソーラー開発計画のトラブル事例

メガソーラーは、発電容量が1MWを超える大規模な太陽光発電です。太陽光パネルを敷く面積が広く、周囲への影響も大きいことから、近隣住民とのトラブルが頻発しています。メガソーラーの具体的な近隣トラブル事例を見ていきましょう。

静岡県富士宮市では、メガソーラーによる景観の変化が問題視されました。富士宮市では市内のあらゆるところから富士山を眺望することができ、景観自体が街の大切な観光資源となっています。メガソーラーの存在は景観を損ねるとして、開発(設置)を規制する条例を制定しました。

兵庫県では、業者と住民の間でトラブルが起きています。開発計画通りにメガソーラーを設置した場合、山間にある住宅の四方が太陽光パネルで囲まれることになり、住環境が悪くなるとして住民から反発されました。

業者側は住民の反対にも関わらず開発を強行しようとしましたが、発電事業を行う会社が住民の同意なしには事業はできないとして、開発をとりやめたようです。

このような近隣トラブルを回避するには、太陽光発電所の規模と周辺環境、条例に注意する必要があるでしょう。

特に大規模な太陽光発電は環境アセスメントの対象に

2020年4月より、40MW以上のメガソーラーが環境アセスメントの対象となりました。環境アセスメント法は、環境の保全について配慮を求めるための法令です。大規模な開発を伴う事業などに適用され、環境へ及ぼす影響について調査や今後の予測、評価、報告と、さまざまな手続きが必要になります。

風力発電や地熱発電などは規模に応じてすでに義務化されていましたが、太陽光発電はこれまで対象外でした。環境省は2018年ごろから制度設計をすすめ、このほど改正法が施行されたのです。

太陽光発電では、パワーコンディショナの騒音対策や景観など特有の問題についての事前調査が求められると予想されます。投資対象となる多くの太陽光発電は対象外ですが、注目すべき動きといえるでしょう。

近隣トラブルを避ける方法は?

ここでは、太陽光発電で起こりうる近隣トラブルを避けるにはどうしたらいいのかを説明します。

近隣に住宅が面していない物件を選ぶ

ひとつには住宅が面していない物件を選ぶことです。周辺環境への配慮を十分にすれば、多くのトラブルを避けることができます。

住宅街の中には作らないことで、野立て太陽光発電で多い反射光のトラブル、音によるトラブル、災害時の予想できない被害や、近隣住民を巻き込むトラブル回避につながります。

中古の太陽光発電を選ぶ

すでに発電を開始している中古の太陽光発電を選んでトラブルを避ける方法もあります。前のオーナーが稼働していたときにトラブルが起きていなかったのなら、立地が原因の反射光や土地境界、音などのトラブルが新たに起こるとは考えにくいでしょう。

このようなトラブルが起きないように対策が施されている物件なら、さらに追加で対策をする必要もありません。

中古物件のなかには、本業の支出や新規の投資にキャッシュが必要で売りに出されている物件や、消費税還付が終わって売却される物件もあります。

なかには優良物件も多く含まれているため、実は中古物件は狙い目なのです。発電実績が明らかというメリットに加え、中古物件は過去のFIT価格で運用できるため、高い買取価格で運用できます。

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太陽光投資の土地付き物件を選ぶ

土地付き太陽光発電は、土地の取得から事業認定まですべてが済んでいます。立地や周辺環境が確定しているので、すぐに事業が開始できるというメリットがあるうえに、10%前後という高利回りも魅力です。オプションで防草シートなどの雑草対策や、遠隔監視も用意されている物件もあります。

トラブル回避のためにチェックすべき項目や、取るべき対策については、すでに用意されているため安心です。すぐに事業を始めたい人やトラブルを回避したい人は、太陽光投資の土地付き物件を選びましょう。

近隣トラブルを避けるなら、土地付き太陽光発電が正解!

太陽光発電投資をするなら、近隣トラブルを起こさないに越したことはありません。とはいえ、条件の悪い場所でトラブル対策のコストが発生すれば、収益が圧迫されるリスクもあります。長期間の投資を何事もなく進めるには、最新の情報収集が不可欠です。

リスクを回避するためには、トラブル防止策がすでに取られている土地付き太陽光発電をおすすめします。タイナビ発電所なら、太陽光発電システムの詳しい情報や航空写真をチェックしてから物件が探せます。会員限定案件の配信も受けられるので、ぜひ会員登録をしましょう。

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