太陽光発電に投資している発電事業者にとっては、自己で所有する発電所を将来的に廃棄・撤去・処分する際にかかるコストを積立てする事が義務付けられるのは耳が痛いニュースかもしれません。
対象は10kw以上となるので、一般住宅の屋根に設置されている太陽光発電ではなく、あくまでも10kw以上の太陽光発電に限った積立制度になります。その積立はいつはじまるのか?
詳しい積立制度内容については後ほど詳しく説明しますが、なぜこのような制度が義務化となったのか?日本全国には約60万件の太陽光発電所が建設されていますが、そのほとんどが全量固定買取制度(20年間)を活用した投資目的の発電所ばかりです。
国はFIT期間が終了する20年後に、日本中にメンテナンスもされずに野ざらしとなった太陽光発電所が点在して、社会問題化する事を危惧しております。そして、その時に撤去する費用を発電事業者が捻出できない場合はとても大きな問題となります。こういった背景から、国は将来的に太陽光発電所を撤去する費用を今から積立てる事を義務化しました。
当たり前ですが、どんなものでもいつかは廃棄することになるからこそ、太陽光発電投資している方は廃棄方法や費用の積立について知っておくことが必要である。
まだ、あまり知られていない太陽光発電の廃棄費用の積立制度を詳しく知って、太陽光発電投資に備えよう。
パワコンの一括見積もり比較ならPCS交換見積り比較サービス
信頼性の高い電気工事会社を最大5社紹介可能
※全国対応!
※パワコン交換やリパワリングも対応
※1台~全台交換まで対応
太陽光発電設備の廃棄費用積立制度とは?
2022年4月に再エネ特措法が改正されることで、実際には2022年7月から将来的に太陽光発電所を廃棄・撤去する費用を積立てる事が義務化されました。
あまり知らない人がいるかもしれませんが、そもそも売電単価の中には廃棄費用を盛り込まれているが、実際に発電事業者の中で将来的な廃棄費用を計画的に積み立てている事業者は少ない。
積立方法は原則的に外部積立が主流になるが、一部事業者に限り内部積立が可能となる。これはある一定の要件を満たした事業者に限るので、太陽光発電所のオーナーの大半は外部積立制度になるだろう。
内部積立を希望する事業者は、資源エネルギー庁が内部積立に関する事前相談を始めたので、相談したほうが良いだろう。
積立制度の対象発電所は?いつから積立がはじまるのか?
対象発電所 | 10kw以上のFIT認定を受けた発電所 ※住宅用は除く |
---|---|
積立開始・終了時期 | FITの売電期間が終了する 10年前からFIT売電終了日まで |
積立種類 | 源泉徴収的な外部積立 ※一部事業者に限り内部積立可 |
積立金額の支払い方法 | 外部積立 (毎月の売電収入から積立金額が引かれて入金される) |
積立金額 | 認定FIT価格により異なる |
FIT価格によって毎年積立てる金額が異なるというのは、事業者にとって複雑な心境ではあるがFIT価格が安い事業者にとっては当然かもしれない。
ここで経産省がガイドラインで公表しているFIT価格別の積立基準額の一部を紹介します。
FIT価格別の廃棄費用積立額
40円/kWh | 1.62円/kWh |
---|---|
36円/kWh | 1.40円/kWh |
32円/kWh | 1.28円/kWh |
29・27円/kWh | 1.25円/kWh |
24円/kWh | 1.09円/kWh |
21円/kWh | 0.99円/kWh |
18円/kWh | 0.8円/kWh |
14円/kWh | 0.66円/kWh |
この表を見る限り、FIT価格の3%~4%が 廃棄費用の積立として売電収入が減る形となる。
実際は、売電期間が終了したからといって即廃棄する人は少ないと考えている。ただ、太陽光発電所を安定稼働する為には更なる設備投資をFIT終了前にする必要性がある事を考えると、売却もしくは積立てた廃棄費用を活用して発電所を閉鎖する人もいるだろう。では、実際に廃棄にどのぐらいの費用がかかるのか?
10年後は廃棄関連の事業者が乱立して、廃棄費用は今よりも安くはなっていると考えられるが参考までに解説します。
土地付き太陽光・風力発電の投資物件はタイナビ発電所へ。
特に人気のある物件は会員様限定のご案内です。
※会員限定物件が多数あります。
太陽光発電システムを廃棄するための基本知識
太陽光発電の廃棄にかかる費用は、撤去費、搬費、処分費の3つである。
現状の住宅用太陽光発電設備では、撤去費は約10万円、運搬費と処分費は合わせて約5万円が相場のようだ。したがって、廃棄全体にかかる費用は15万円ほどとなる。ただし、これはパネルが20枚の時の相場であるため、より規模の大きな太陽光発電設備を設置している場合には15万円以上かかる場合もあるだろう。
産業用太陽光発電の場合は、太陽光パネル・架台の廃棄費用が0.57万/kWとなり、基礎(スクリュー)の廃棄費用:1万円/kWとなっている。ただ、業者により価格が大きく異なる可能性もある。例えば50kwの場合は、資材の撤去だけで78万円ほどの廃棄費用がかかる計算になる。
また、土地を借りた産業用太陽光発電ならば、廃棄費用の他に土地の原状復帰にも費用がかかることになる。
太陽光発電における廃棄物と、それらの処理方法について見ていこう。
太陽光発電の廃棄物とは何か
太陽光発電設備の廃棄物の中で大きな割合を占めるのが、使用済みとなった太陽光モジュールである。太陽光モジュールとは、太陽光エネルギーを電気に変えるパネルのことだ。
太陽光モジュール以外にも、太陽光モジュールを支えるアレイ架台や配線の材料なども廃棄物として考えられる。
これらは家の取り壊しなどにより不要になったときに廃棄処分する必要が出てくる。また、土地を借りた太陽光発電投資では、土地の賃貸期間が終わるときに撤去する必要があるため、この場合も廃棄の必要性が出てくる。
廃棄物の処理方法
太陽光設備の廃棄物は、中間処理業者によって産業廃棄物として処理されることになる。
廃棄物は粉砕・選別され、太陽光モジュールのガラスやアレイ架台に使われた金属などはリサイクルに、それ以外の廃棄物は埋め立てられることになるだろう。
環境省では将来的に起こり得る太陽光発電設備の大量廃棄に備えて、リサイクルの推進に向けたガイドラインを制定している。ガイドラインでは撤去方法から、リユース・リサイクルの方法などについて取りまとめられており、廃棄の際には一度目を通しておくのが望ましい。
太陽光発電の廃棄費用はFITに含まれている
冒頭でも伝えましたが、太陽光発電の廃棄費用は、実は太陽光発電固定価格買取制度(FIT)に含まれている。太陽光発電の放置や不法投棄を懸念して、FITで廃棄等費用をまかなえるようにしたのだ。
廃棄費用は資本費の5%と想定されており、20年間の売電収入で廃棄費用をまかなう設計になっている。制度上では廃棄費用が捻出できない事態は起こりづらいと考えられる。
固定価格買取制度に認定されるための事業計画で、廃棄費用や積立額の記載を求められている。20年間の売電収入で廃棄費用はまかなえるという想定になっているが、売電収入が想定を大幅に下回ったり、廃棄費用が高騰すれば厳しくなるケースもあるだろう。
太陽光発電のリサイクルや中古販売はできる?
過積載の太陽光発電所は、太陽光パネルの廃棄物が大量に出るはずだ。これを中古で売って収入にできる道も模索しておきたい。
太陽光パネルは、大部分がガラスやアルミなどのリサイクル可能な材料からできている。太陽光パネルは貴重な資源になり得るのだ。
また、資源化するリサイクルだけでなく、中古販売によるリユースも注目されている。太陽光発電設備の劣化状態に依存するため一概には言えないが、国内メーカーの製品であれば10年以上使用していたとしても中古販売可能なことが多い。
高く買い取ってもらうには、劣化を少なくすることが何より重要だ。落ち葉の堆積や鳥のフンなどによって起こるホットスポット現象、セル割れ、アルミフレームの劣化などは買取価格低下の原因となるため、日頃から注意しておく必要がある。
また、発電量に変化が見て取れるようになった場合には、何らかのトラブルを抱えている可能性がある。売却を視野に入れるならメンテナンスを継続し、良い状態を保つことが望ましい。
関連記事:太陽光発電所を高額で売却する、手元の物件を早く現金化する方法
土地付き太陽光発電所の売却査定はタイナビ発電所へ。
太陽光業界の売買実績4000件以上の経験と豊富な販路で売却買取・売却仲介・発電事業売却などトータルでサポートいたします。
※税理士相談無料!売却依頼後に24時間以内に簡易査定させていただきます。
太陽光発電の廃棄問題はリサイクル技術の進歩で解決へ
太陽光パネルは特殊な構造から、リサイクルするのが困難だと問題視されていた。従来は太陽光パネルは構造上分離が容易ではなく、リサイクルすることは困難であった。
かし、リサイクル技術が進歩することによってこれらの問題は解消され、現在の太陽光パネルのリサイクル率は約95%と非常に高い値となっている。
2012年から始まった固定価格買取制度によって急激にその数を増やした太陽光発電設備の多くは、寿命とされている20年間は運転し続けることになるだろう。そこで問題になるのが、2032年以降に発生するであろう太陽光発電設備の大量廃棄だ。
太陽光パネルは、電極やシリコンが何層にもなって強力に接着されており、その中には鉛などの有害物質も含まれている。有害な物質が付着したままではリサイクル可能な資源も再利用することは叶わない。
このように特別な事情を抱えた太陽光パネルだ。廃棄処分されている太陽光パネルのリサイクルには、専門的な技術が必要であり困難だとされてきたのも仕方がない。しかし、それはあくまで過去の話である。
現在はリサイクル技術が進歩し、太陽光パネルのリサイクル問題は解決に向かっていると言える。太陽光パネルの適正な回収方法とリサイクル技術の安定供給が可能となれば、大量廃棄にも対応可能となり、廃棄問題が解決に向かうことが期待できる。
廃棄費用まで積み立てられるFIT制度で太陽光発電投資を始めよう
太陽光発電の廃棄費用は住宅用で約15万円・産業用では80万(※規模に応じて)と決して安いとは言えない。しかし、FITによって電気の調達価格に廃棄費用が上乗せされているので、今回の廃棄費用の積立制度もその分を考慮すれば安心して投資を始められるはずだ。
また、今の内に物件を丸ごと中古・売却買取してくれるサービスを利用すれば、廃棄費用を一切負担しないことも可能になるだろう。
土地付き太陽光発電所の売却査定はタイナビ発電所へ。
太陽光業界の売買実績4000件以上の経験と豊富な販路で売却買取・売却仲介・発電事業売却などトータルでサポートいたします。
※税理士相談無料!売却依頼後に24時間以内に簡易査定させていただきます。
環境に優しいとされる太陽光発電はリサイクル技術の進歩により、廃棄後も環境に優しい発電方法となりつつある。そんな太陽光発電になら、安心して投資できるのではないだろうか。
土地付き太陽光・風力発電の投資物件はタイナビ発電所へ。
特に人気のある物件は会員様限定のご案内です。
※会員限定物件が多数あります。