「中小企業経営強化税制」2017年4月に始まった制度のため、太陽光発電設備がこの税制の対象になるかどうか、混乱した方も多いはずです。

太陽光発電は税制優遇の対象になるのか? 中小企業経営強化税制の仕組みを含めて、詳しく解説します。


【追記】

中小企業経営強化税制とは、会社あるいは個人事業主が設備投資をするときの費用に対して使える税制優遇です。この税制度は、複数の条件を満たした上で経営力向上計画の認定を受ければ、太陽光発電も対象になります。

ただし、事業の電力として使う「余剰売電」あるいは「固定価格買取制度を使わないで自家消費する」発電所と、投資や発電事業に使う「全量売電」の発電所では、適用される優遇措置が異なります。

  • 固定価格買取制度を使わない自家消費型:即時償却または10%(7% ※)税額控除
  • 余剰売電:即時償却または10%(7% ※)の税額控除
  • 全量売電:固定資産税の優遇のみ対象
  • ※ 資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%

上記内容は2021年3月31日(令和3年)までの適用です。必ず最新情報を確認してください。


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太陽光発電を即時償却したいときは、以下の条件を満たしているか確認してください。

  • 2018年度末までに太陽光発電の設備を新しく取得する
  • 中小企業投資促進税制あるいは商業・サービス業・農林水産業活性化税制の対象事業であること
  • 太陽光発電を取得してから60日以内に経営力向上計画の申請をすること
  • 太陽光発電を使い始めた年度内に経営力向上計画の認定を受けること

中小企業経営強化税制は、太陽光発電設備を取得したら60日以内に申請をしなければなりません。時間の猶予がありませんので、自分の事業や太陽光発電の使い方が中小企業経営強化税制の対象になるか、あらかじめ確認しておきましょう。

そもそも中小企業経営強化税制とは?

まずは、中小企業経営強化税制が何なのという点から整理していきます。

中小企業庁が作成したパンフレットには、以下のように説明されています。

中小企業者等が、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得し、指定事業の用に供した場合、即時償却または税額控除
*1を選択し適用することができます。
*1 取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)。

中小企業経営強化税制は、既存の中小企業等経営強化法という認定計画にもとづく制度に改組したものです。既存の中小企業向け設備投資促進税制では、生産性を向上させる先進的な設備や生産ラインなどの改良に役立つ設備投資を対象に、即時償却、もしくは税額控除ができる上乗せ措置がされていました。

新たにスタートした中小企業経営強化税制では、既存の制度では対象外だった器具備品や、建物附属設備を対象設備に追加することにより、サービス業も含めた中小企業の生産性向上を支援する制度になりました。

つまり、中小企業経営強化税制の目的は、中小企業の設備投資(生産性の向上や収益の拡大に発展する) を手助けするというものなのです。

中小企業経営強化税制で受けられる即時償却と税額控除とは

即時償却の場合

設備を取得した時点で、取得価額全額を必要経費(もしくはは損金)に計上できるのが即時償却です。仮に2,000万円の太陽光発電設備を取得した場合、その年(もしくは年度)で必要経費等に計上できるのは、減価償却費のみです。

ですが、中小企業経営強化税制が適用される条件を満たせば、その年(もしくは年度)に2000万円を必要経費にできます。

税額控除の場合

税額控除とは、その名の通り、税金の一部を免除してもらえる制度です。仮に税額控除額が30万円なら、納付する税金が30万円まるごと減るということです。

中小企業経営強化税制では、どのくらい税額控除できるのかというと、下記のようになっています。

個人事業者置:10%

資本金3000万円以下の法人:10%

資本金3000万円超1億円以下の法人:7%

ただし、法人税額又は所得税額の20%が上限です。上限を超えた部分については、翌事業年度に繰り越しができます

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中小企業経営強化税制の適用条件〜納税者〜

納税者が中小企業経営強化税制を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

【個人事業者もしくは中小企業者】

個人事業者か、資本金が1億円以下の法人で、使用する従業員数が常時1,000人以下の場合が対象になります。

ここで注意が必要ですが、上記の条件を満たしていても、資本金が1億円を超える法人に支配されている法人は、対象にはなりません。

【青色申告者】

過去に青色申告承認申請書を税務署長に提出して、承認を受けている青色申告者でなければなりません。つまり、青色申告承認をうけていない白色申告の人や企業は、中小企業経営強化税制を受けることができません。

中小企業経営強化税制の条件〜設備について〜

太陽光発電が該当する設備と取得価額

中小企業経営強化税制には大きく分けて、A類型・B類型という二種類のケースがあります。

一見すると難しい印象を受けますが、簡単に説明すると、A類型は生産性を向上させる設備に対する制度、B類型は収益力を強化する設備に対する制度というわけです。

まず、太陽光発電は対象設備のどれに該当するのか説明します。太陽光発電が該当するのは、「機械装置」です。取得価額は、よっぽど容量が小さな設備でない限り、160万円以上はかかるでしょう。よって、対象設備の条件は満たしています。

A類型の対象設備

◆機械装置(160万円以上/10年以内)
◆測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)
◆器具備品(30万円以上/6年以内)
◆建物附属設備(60万円以上/14年以内)
◆ソフトウエア(情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの)
(70万円以上/5年以内)

※医療保健業を行う事業者が取得する医療機器や建物附属設備、データセンター業を行う事業者が取得する電子計算機は適用外となります。

A類型の対象設備は、上記条件を満たした新品の設備であることに加え、工業会等の証明書(中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書)が発行されたものです。

最新の設備である必要はありません。ただし、対象設備の種類が「機械装置」のため、A類型を適用するなら、10年以内に販売開始した設備を購入しなければなりません。

太陽光発電のシステム価格は昔よりも格段に値下がっているため、わざわざ型式が古いものを導入することはないでしょう。発電効率と価格のバランスで、太陽光パネルやパワーコンディショナーを選定してください。

B類型の対象設備

◆機械装置(160万円以上)
◆工具(30万円以上)
◆器具備品(30万円以上)
◆建物附属設備(60万円以上)
◆ソフトウエア(70万円以上)

※B類型も、医療保健業を行う事業者が取得する医療機器や建物附属設備、データセンター業を行う事業者が取得する電子計算機は適用外となります。また、対象の設備は新品でなければなりません。

実際に見比べると一目瞭然ですが、A類型とB類型では対象設備に関する違いが大きく分けて3つあります。

販売開始時期の制限

A類型の対象設備には、「機械装置(160万円以上/10年以内)」などと表記されています。この「/〇年以内」とは、設備の販売開始時期を指します。機械装置ならば、最低160万円以上、販売開始されてから10年以内のものでなければ駄目というわけです。

このように、A類型には販売開始時期が設けられていますが、B類型には設けられていません。これがまず、第一の違いです。

提出書類

A類型は、工業会等が発行した証明書を提出します。B類型の方は、証明書は提出不要ですが、代わりに経済産業局の確認書を提出しなければなりません。

対象設備の範囲

工具とソフトウェアに関する対象設備で、B類型は特に定められていませんが、A類型は上記記載の設備でなければなりません。

中小企業経営強化税制の条件〜対象になる業種〜

適用できる業種は幅広いですが、「電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等」は適用外です。

全量売電を目的とする太陽光発電は「電気業」にあたりますので、上記の制度が使えないということです。

売電収入だけが目的の太陽光発電は対象外

ここが一番重要な点です。
中小企業庁が公開しているQ&A集によると、

売電のみを目的とした太陽光発電設備の導入は対象になるのか。

全量売電の場合には、電気業の用に供する設備になると考えられます。電気業については中小企業経営強化税制の指定事業に含まれておらず、対象となりませんのでご注意ください。
但し、その営む事業が指定事業に該当し、全量売電ではなく発電した電気の一部をその指定事業に使用している場合(例えば製造業の工場で使用)については、対象となります。

と記載されていました。これがどういうことなのか、順に整理してみましょう。

まず、太陽光発電の買取制度には、余剰買取制度と全量買取制度の二種類があります。余剰買取制度では、発電した電力から自分で使った電気を引いた分しか売電できず、国が保証している売電価格も10年間しかありません。それに対して、全量買取制度では、自分で使った電力とは関係なく、発電した電力を全て売電でき、売電価格は20年間です。

太陽光発電

そのため、投資としてどちらが儲かるかというと、もちろん全量買取です。しかし中小企業庁によると、全量売電は電気業の設備に分類されると明記されています。中小企業経営強化税制において電気業は、指定業種の対象外です。

ただ、全量売電ではなく発電した電気の一部をその指定事業に使用する、自家消費が前提の太陽光発電は対象に含まれます。

自家消費をしたあとの電気は、固定価格買取制度(FIT制度)を使えば売る(余剰売電)ことができます。

10kW以上も余剰売電できる

10kW以上の太陽光発電

余剰売電といえば、10kW未満の住宅用太陽光発電のみと思われがちです。実は、10kW以上も余剰売電できます。発電容量が10kW以上の産業用太陽光発電は、余剰売電と全量売電を選択できるからです。

全量売電にして売電収入と固定資産税の特例を使うのと、余剰売電で各種税制優遇を使い、自家発電によるメリットを享受するのと、どちらが得かはケース・バイ・ケースです。

売電収入だけなら全量売電の方が得ですが、再生可能エネルギーを事業に取り入れるという付加価値も、企業にとっては大きなメリットとなります。

中小企業経営強化税制を受けるための手続き

手続き

A類型の手続き方法:工業会等からの証明書の発行を受ける

B類型の手続き方法:設備を購入する前に、経済産業局へ投資計画確認申請を行い、確認書の発行を受ける

※申請する際は、公認会計士もしくは税理士の確認書が必要です。

A類型・B類型共通の手続き

・経営力向上計画が認定される

・税務申告で即時償却か税額控除が適用される

太陽光発電を格安で設置するなら相見積もり

太陽光発電の相見積もり

中小企業経営強化税制の説明は以上となります。まとめると、売電目的の導入では適用されませんが、自家消費なら適用され、即時償却又は取得価額の7%(資本金3,000万円以下は10%)の税額控除を選択適用できます。

しかし、ここで注意したいのは、太陽光発電を設置する施工会社の選び方です。選んだ業者が悪ければ、設置費用が高額になったり、工事完了後に思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

設置費用が割高になるのは、施工品質の高さが裏打ちされるのであれば良いでしょう。しかし、効率の悪い工事方法をとっていたり、発電設備を安く仕入れる能力の無さであるなら問題です。

太陽光発電ブームが落ち着いた現在、能力が低い施工会社は生き残るだけで精一杯です。アフターフォローの約束をしても、果たされないまま姿を消してしまう危険性もあるでしょう。

長期にわたって使いつづける太陽光発電は、優良な施工会社を見つけることが成功の第一歩なのです。

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優良な施工会社は、相見積もりが有効です。一般的に、相見積もりを嫌がる企業が多いですが、相見積もりが前提の環境だと、見積り額とサービスに自信がある企業しか存在しません。見積額やサービスを出し惜しみせず、他社に負けないように臨んできます。

そのように、太陽光発電の施工会社の競争環境を整えたのが、一括見積りサイトの『タイナビNEXT』です。

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